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背景の違う人々が生き残るため“平等な姿”に立ち返る ──『ナインイレヴン 運命を分けた日』マルティン・ギギ監督インタビュー

ナインイレヴン 運命を分けた日

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2001年9月11日に発生しアメリカと世界に大きな衝撃をもたらした米同時多発テロ事件を題材にした映画『ナインイレヴン 運命を分けた日』が、9月9日(土)より公開。本作は、運命の朝、標的となったNYワールドトレードセンタービルで、内部のエレベーターに閉じ込められた5人の運命を描いたヒューマン・ドラマ。ニューヨーク出身のチャーリー・シーンやウーピー・ゴールドバーグのほか、ジーナ・ガーション、ルイス・ガスマン、ウッド・ハリス、オルガ・フォンダ、ジャクリーン・ビセットが出演する。映画の公開を前に、プロモーションのため来日したマルティン・ギギ監督にインタビュー。本作に込めた想いや、キャスティングについて伺いました。
背景の違う人々が生き残るため“平等な姿”に立ち返る ──『ナインイレヴン 運命を分けた日』マルティン・ギギ監督インタビュー
──監督自身は、2001年9月11日はどのような状況にいて、どんな気持ちで事件を見ていたのでしょうか。
監督:当時私はロサンゼルスにいて、ワールドトレードセンターで働いていた友人から電話で「私は無事だから」と連絡がありました。なんの事か分からずテレビをつけてみて状況を知りました。その後の2〜3時間は唖然とした状態で、涙が止まらなかったです。
──そこから16年がたち、今回911の出来事を映画にしようと決心したきっかけとは?
監督:この作品はもともとは2007年に発表された戯曲でしたが、2011年に、プロデューサーのウォーレン・オスターガードから「映画化してみないか」と声をかけられました。当初は「今これを映画化する必要があるのか」と思いましたが、この物語が頭から離れませんでした。この恐ろしい事件にまつわる問題を掘り下げるだけでなく、その状況から生まれる人間性を描くチャンスだと思うようになりました。そこで脚本を書き始め、しばらく経ってから私自身が監督することになり、企画が走り出しました。
──映像化するうえでリサーチも行ったと思いますが、どのようにストーリーを練り上げていったのですか。
監督:「ビルの内部のエレベーターに閉じ込められた5人」という戯曲のコンセプトはそのままですが、映画はだいぶ違っていると思います。脚本は5〜6回書き替えました。ニューヨークへ行って証人や遺族の話を聞いて脚本を書き替え、途中から共同脚本としてスティーヴン・ゴルビオスキが加わり、さらにチャーリー・シーンが企画に乗った段階で、また書き替えました。ちなみにチャーリーの兄、エミリオ・エステベスも脚本作りに参加しているんです。複数人で共有しながら進めていき、参加した俳優たちにもそれぞれアイデアを持ち込んでもらって、キャラクターに深みを持たせていきました。
──主演のチャーリー・シーンは、最近、俳優業とは別のところで騒がれていますが、久しぶりにスクリーンで見ることが出来て嬉しかったです。彼をキャスティングしたのは?
監督:たまたま近所にチャーリーの元マネージャーが住んでいて、彼を介して紹介してもらいました。脚本を読んでもらったら、最初の答えは「NO」だった。どうしても諦めきれなくて、数週間後に彼の元に直接乗り込み、「あなたなしではこの映画を作れない!」と言って口説きました。彼自身も“真剣に演技と向き合う俳優”として認知されたいという思いもあり(笑)、最終的にOKしてくれました。彼は自分たちの子供のために、その後生まれるであろう孫達のためにもこの映画に参加したいという気持ちがあったようです。この物語と役のために必死に再生しようとする彼の情熱を感じました。
──彼が演じたジェフリーはウォール街の帝王で、最初は傲慢に見えますが、実際の危機にあった時は周囲を落ち着かせたり仕切ったり、人物として深みが出ていました。エレベーターの中で、人種も職業も生き様もバラバラな5人が、衝突しながらも一丸となる姿に感動しました。
監督:まさにそれがこの作品の核の部分です。色んな人種や、社会的・経済的背景を持った人たちが、とにかく生き残るために一丸となっている。みな平等な姿に立ち返るのです。それが描きたかった。
──狭いエレベーターの中で、5人のアンサンブルを演出するのは大変だったと思います。どのように演出したのですか。
監督:この映画を作るのは本当に気持ちが揺さぶられるものがあったし、大変な作業でした。わずか90分の時間に起きた出来事を、1ヶ月かけて撮影しました。キャストの皆もチャレンジングだったと思う。同じ服を着て同じ顔をして、箱の中で演技をする。あの空間の中でリアルに圧迫感を感じただろうし、フラストレーションも相当あったと思うけど、それが良い感じに滲み出ていたんじゃないかな。
──エレベーターの中の5人と声で接触し励ますメッツィー役をウーピー・ゴールドバーグが演じました。彼女もまた、テレビでは活躍してますが、日本では久々にスクリーンで見ることが出来て嬉しかったです。
監督:ウーピーの役は、もともとの戯曲にはなかった役で、実在の人物をもとにしています。ビルの地下コントロールセンターで、上階の人々に最後まで指示を出し救助に当たった人物で、実際に収録された声も聞きました。

ウーピーをキャスティング出来たのはチャーリーのおかげです。二人は長年の友人で、脚本を読んでもらい、その後私も直接会って、どんな物語にしたいのか話し合いました。彼女がスクリーンにカムバックしてくれたのは私も嬉しかったし、それがこの作品だったことは光栄です。そうだ!撮影の最終日、現場を出る直前にウーピーがくれたメッセージがあるんだ。
(ここで監督が、iPhoneを取り出し、ウーピーの動画メッセージを披露)
「サヨナラを言うのは嫌だから、これでバイバイするけど、一緒に働けて光栄だったし、皆優秀なスタッフよね。また会いたいわ(by ウーピー)」
──素敵ですね。ここから思わずウーピーにハグしたくなります(笑)
監督:本当だね!彼女との仕事は楽しかった。いつか日本で映画を撮りたいと思ってるけど、その時はチャーリーとウーピーを連れてくるよ!
──是非お願いします!では最後に、これから観る方にメッセージをお願いします。
監督:この映画を作れたのはとても光栄ですし、日本公開にこぎ着けたのは本当に嬉しい。 16年前、この悲劇を通して私たちは同じ感情と反応を分かち合いました。16年が経ち、私たちはそれを忘れかけています。だからこそこの物語に挑戦しました。この映画が、皆さんにとってポジティブなインパクトを与えるようなものであって欲しいと思っています。


2017年9月7日
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『ナインイレヴン 運命を分けた日』
2017年9月9日(土)、新宿武蔵野館、丸の内TOEI他全国ロードショー
公式サイト:http://nineveleven.jp