ニュース&レポート

日本の反応を息を呑んで待っている『9 <ナイン> ~9番目の奇妙な人形~』シェーン・アッカー監督インタビュー

9 (ナイン) ~9番目の奇妙な人形~

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイートする
  • Facebookでシェアする
ツギハギだらけの麻布と、腹部を覆うジッパー、そして大きな丸いガスマスクの目。背中には数字の“9”。この奇妙な主人公はじめ、9体の人形たちが、荒廃した未来で機械獣に立ち向かう姿を描いたファンタジック・アドベンチャー『9 <ナイン> ~9番目の奇妙な人形~』。監督は、本作が長編初監督作品となるシェーン・アッカー。「感情に響く、驚くべきディテールと記憶に焼きつくほど美しい世界観」と、ティム・バートンが唸った才能とは? 来日したシェーン・アッカー監督にインタビューを敢行しました!
画像:日本の反応を息を呑んで待っている『9 <ナイン> ~9番目の奇妙な人形~』シェーン・アッカー監督インタビュー
画像:『9 <ナイン> ~9番目の奇妙な人形~』 画像:『9 <ナイン> ~9番目の奇妙な人形~』 画像:『9 <ナイン> ~9番目の奇妙な人形~』画像:『9 <ナイン> ~9番目の奇妙な人形~』画像:『9 <ナイン> ~9番目の奇妙な人形~』画像:『9 <ナイン> ~9番目の奇妙な人形~』画像:『9 <ナイン> ~9番目の奇妙な人形~』画像:『9 <ナイン> ~9番目の奇妙な人形~』画像:『9 <ナイン> ~9番目の奇妙な人形~』
────最初に短編映画『9』を思いついたのは?長編映画にたどり着くまでのプロセスを教えて下さい
監督:UCLAの卒業制作のテーマとして何か作ろうと思った時、映画作家としての象徴となるようなものを作りたかった。

まず頭に浮かんだのがキャラクターだったんだ。人類が滅び、人間のいない荒廃した世界に生まれた彼らは、マシンと人間の魂の両方を持っていて、ガラクタを集め、自分なりにアレンジして装飾品にしている。機械獣(ビースト)と比べると、人間だけが持つクリエイティブなひらめきを持っているんだ。彼らのそんな行為は、新しい文明を築こうとしているように見える。しかし彼らは、彼らから人間の魂を奪おうとしている機械獣(ビースト)に追われてしまう…それが元のアイデアだったんだ。

そこから短編映画が様々な映画祭へ旅立ち、ジム・レムリー(プロデューサー)と出会って長編企画が立ち上がった。短編の製作に4年半を費やした後だったから、若干戸惑ったけど、すぐに『9』の世界とキャラクターに夢中になったんだ。そして、ティム(バートン)から直接電話がかかってきて、その場で「こんな物語にしたいんだ」と言ったら、「僕も手伝うよ」と言ってくれたんだ(笑)!
──ティム・バートンはじめ、声優にいたっても錚々たるメンバーですね。自分の表現をする上で意見の食い違いや葛藤などはなかったのですか?
監督:Nooooh!あるわけないじゃないか(笑)。とてもスムーズだったんだ。ティムとティムール(ベクマンベトフ)、素晴らしい声優たち…、すべてが作品に影を落とすことなく、素晴らしいものに仕上がったと心から思うよ。

ただ、いい映画を作る事とは別な意味でプレッシャーはあった。お金関係や時間的な制約には、もちろんフラストレーションが溜まったし、政治的・ビジネス的なプレッシャーもあった。その中で「妥協しなければ」と思う瞬間もあるし、「自分を守らなければ」とも思うから、この企画が注目を集めたことは祝福でもあるし、呪いでもあるんだ(笑)。監督として何をすべきか、たくさんある戦いの中で、どれを本気で押し進めるべきかは悩んだね。
──大学在学中には『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』へ参加されていますよね?この経験があなたにもたらした事は?
監督:世界一流のアニメーターチームへ参加できて、素晴らしい経験をしたと思うよ。皆それぞれ違う世界から来ているから、捉え方やアプローチが違うのも面白かった。短編を1人で作っている時は、デザインもアニメもストーリーもすべて自分でやらなければいけなくて、1つの仕事に集中する時間がないんだ。これが、『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』に関わった7ヶ月間は、アニメーターとしてコンピュターの前に座り、キャラクターとパフォーマンスに集中できた。この間にアニメーターとして腕が上がったので、戻った時には効率的に『9』を作ることができたんだ。
──長編製作の3年間で学んだことは?
監督:一番大きかったのは、居心地の悪さに居心地良くなったことかな(笑)。アニメーターは集中して突き詰めていくことができるけど、監督は全てを見ないといけないから「何でも屋」になってしまう。アーティストのスキルが上なんだと自覚したね。あとは、たくさんの人とコラボレーションして仕事することの醍醐味を味わった。映画って、大勢で作るもので、与えるものよりも、返ってくるものが大きいんだ。問題点や思っている事を伝えると、アーティストがより良いものを作ってくれると学んだのは、素晴らしいレッスンだった。そして分からない時は、自分の本能を信じて頼ることも学んだ。これはすごく大切なことだった。
──自身のオリジナリティ、パーソナリティは見えましたか?
監督:自分の長所短所のすべてが分かったから、これからは参考になるね(笑)。ただ、これから全く新しい世界に足を踏み入れるわけじゃないんだ。これまでも、世界観はファンタジックだけど、ヴィジュアル的にも感情的にもリアルなもの、人間には見えないかも知れないけど、共感できるキャラが登場するものを作ってきたし、これからも探求して行きたいと思っている。いきなりファミリードラマは撮らないからね(笑)。
──日本のマンガやアニメに影響を受けたそうですね。この作品を日本人にどう訴えたいですか?
監督:日本で公開されるなんてハッピーだと思うよ。こうして興味をもって取材に来てくれるなんて、それだけでも嬉しくて、謙虚な気持ちにさせられるからね。僕はまさに日本のマンガやアニメの持つ世界観、デザイン性、オリジナリティ、ドラマ性にインスピレーションを受けて来た。同じ性質をもつこの作品が日本の市場でどうなのか気になるよ。日本の反応を息を呑んで待っている、そんな気持ちなんだ。宮崎駿、大友克洋だけではなく、たくさんの日本の作家に影響されているから、この作品はオマージュでもあるんだ。日本の観客も、そういう風に受け入れてくれれば嬉しいと思う。
今回が初来日という監督。日本のアニメや漫画に影響されたとの事ですが、具体的には、大友克洋の『AKIRA』、宮崎駿の『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』ほか、弐瓶勉の「blame」等。他に好きな監督では、黒澤明、山田洋次、テリー・ギリアム、ヴェルナー・ヘルツォーク、ヤン・シュヴァイクマイエル、クエイ兄弟などなどたくさん挙げておりました。本作を製作するうえでも、古今東西様々な作品に影響されたらしく、いたる所で思わずニヤリとするようなシーンが盛りだくさん。監督自身が、「影響されました!」と思わず白状した作品は、『9 <ナイン> ~9番目の奇妙な人形~』特集ページをご覧ください!
2010年4月27日
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
『9 <ナイン> ~9番目の奇妙な人形~』
2010年5月8日(土)より新宿ピカデリー他全国ロードショー
公式サイト:http://9.gaga.ne.jp/