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ウォンビンは、よく慕ってくれる“弟”──『アジョシ』イ・ジョンボム監督インタビュー

アジョシ

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心に傷を負い、世間に背を向けて生きる男が、唯一心を通わせた少女を守るため、命がけで危険な組織に戦いを挑む姿を描いた『アジョシ』。主人公・テシクを演じたウォンビンが、これまでの繊細で無垢な青年のイメージから一転、鍛え抜かれた肉体を駆使した迫力のアクションを見せ、第47回 大鐘賞で主演男優賞を受賞、2010年の韓国No.1ヒットを記録した。メガホンをとったのは、本作が長編第2作目となるイ・ジョンボム監督。9月17日の日本公開を前に、プロモーションのために来日したジョンボム監督が、直撃インタビューに応じてくれました。
ウォンビンは、よく慕ってくれる“弟”──『アジョシ』イ・ジョンボム監督インタビュー
──本作は監督のオリジナル脚本ですが、どんなアイデアからストーリーを練り上げたのですか。
監督:シナリオを書く時は、エンディングのイメージが浮かび、そこから書き始めるんです。最初に想定していたのは60代の老人で、もう命を終えようとしている男が、これから命を花開かせようとする少女を救うために犠牲になる、というアイデアから始まりました。しかし、ウォンビンが主人公を演じることになり、役のコンセプトを変えたのです。
──主人公のテシクにウォンビンさんが適役かどうか、最初は心配だったと聞きました。
監督:すぐにその心配は晴れました。最初にウォンビンと話をして、別れた頃にはもう彼と一緒にこの映画を撮りたいと思っていましたから。何故なら、ウォンビンはとても正確にキャラクターを分析していた上に、役に対するもの凄い意気込みを感じたんです。その後は、2人で日本酒を飲みながら色んなことを話しました。役柄に関しては、元々のテシクというキャラクターにウォンビンを閉じ込めるのではなく、テシクに肉付けをし、ウォンビンに近づけていくという作業をしました。
──具体的にウォンビンさんのどんな部分を活かしたのですか?
監督:少女ソミと関わり合うなかでは、彼の表情や目を通じて感情を伝えたほうがよさそうだったので、ウォンビンと話し合いながらセリフを減らしていきました。アクションシーンについても、彼が表現したいアクションもあったので、アクションのサンプルを観ながら彼の意見を聞き、それに合わせて調整していったのです。
──ウォンビンさんは今回、本格的なアクションに挑戦していますが、監督として、このアクションシーンをどのようにこだわりましたか?
監督:緊張感を保ちながら、爆発するようなエネルギーで撮りたいと思ったので、とてもこだわりました。本物の火気も使ったので危険度も高く、ウォンビンもアクションの大半を自分でこなしていたので、緊張しながらも何度も練習を重ねました。

劇中でテシクが着ている黒いスーツも、後半ではボロボロにすり切れ、テシクが乗り越えた激しいアクションと、彼の気持ちの象徴となっています。
──アクションシーンの中でも、ベトナム人の殺し屋ラムとの格闘は、短いシーンですがとても印象に残りました。オーバーアクションではないのが意外でしたが、テシクの背景にリアリティが出ていて素晴らしいアクションでした。
監督:個人的に、中国や韓国映画で描かれるオーバーアクションには少し飽き飽きしていたので、変化が欲しかったんです。マット・デイモンの『ボーン』シリーズや、リーアム・ニーソンの『96時間』などからも刺激を受けました。

実際の特殊部隊の格闘は、華やかなものではないんです。軍隊では、自分自身のエネルギーを最小限にとどめながら、相手に最大限の一撃を加えて制圧するというのが武術です。もっと長く撮ったほうが良いという意見もありましたが、格闘のプロは短い時間で勝負を着けるので、短い時間にとどめました。
──この映画でウォンビンさんと一緒にお仕事をしていて、どんな印象を受けましたか?
監督:近寄りがたいイケメン俳優というイメージがありますが、親しくなってしまうとジョークも言うし、本当に気楽な人です。謙虚で無口ですが、私にとっては“顔立ちのよい弟”のような感じで、一緒にいると居心地が良いんです。彼の家にも遊びに行ったりしますし、映画を撮り終わった後も親しく付き合っているので、俳優と言うよりは、よく慕ってくれる“弟分”という感じですね。
──キム・セロンさんはどんな経緯で起用されたのですか。
監督:彼女のデビュー作である『冬の小鳥』を見ました。私のデビュー作で主演をつとめたソル・ギョングさんが出ているという理由だったのですが(笑)。キムの演技は、学校でトレーニングされたものではなく、本当に自然体な演技だったので驚きました。子供らしい屈託のない表情を浮かべながらも、どこか大人びた表情を持っている。それが、本作のソミのような辛い境遇に置かれた子供が持つ、特有の雰囲気に合っていたのです。
──監督のデビュー作『熱血男児』もそうですが、監督は男気あふれる作品が得意のように感じます。これまで監督自身にもっとも影響を与えた監督や作品など教えてください。
監督:日本の監督でいえば、北野武監督や黒澤明監督です。ジョニー・トー監督にも影響を受けていますし、ハリウッド映画では、マイケル・マン監督作品も大好きです。あとは、『ダイ・ハード』『リーサルウェポン』といった大作も(笑)。
──次回作は何か具体的に進めていますか?
監督:まだシナリオの段階で、具体的には明かせませんが、「殺さなければならないターゲットを守ることになった殺し屋の物語」とだけ(笑)。今は、映画のコンセプトに合わせてキャスティングも進めている所ですので、楽しみにしていてください。
──次回作も期待しています!最後にこれからご覧になる方にメッセージをお願いします。
監督:この作品は、アクション映画として2時間退屈しないで見て頂けると思います。映画の中でのウォンビンとキム・セロンの触れあいも心に残るので、観ている間はアクションを楽しみ、見終わった後に胸に温かい余韻を感じて欲しいと思います。
2011年9月12日
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『アジョシ』
2011年9月17日(土)より全国ロードショー!
公式サイト:http://www.ajussi2011.jp/