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付け加えるならば、僕もすごく素敵 ─『アントキノイノチ』原田泰造インタビュー

アントキノイノチ

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さだまさしの同名小説を、岡田将生と榮倉奈々主演により映画化した『アントキノイノチ』。『ヘヴンズ ストーリー』の瀬々敬久監督がメガホンをとった本作は、心に傷を負った男女が“遺品整理業”という仕事を通じて出会い、惹かれあい、心を通わせていく愛の物語で、命の繋がりや誰かとともに生きることの大切さを描いた作品。8月に行われた第35回モントリオール世界映画祭では、“革新的で質の高い作品”としてイノベーションアワードを受賞した。劇中で、遺品整理業クーパーズの先輩従業員として、主人公の2人を見守る上司を演じた原田泰造にインタビュー。自身の役どころや共演者について語って頂きました。
付け加えるならば、僕もすごく素敵 ──『アントキノイノチ』原田泰造インタビュー
──完成した作品をご覧になっていかがでしたか?
原田:自分が出ていない部分も通して初めて観た時は、岡田くんと榮倉さん演じる永島君とゆきちゃんがものすごく繊細で傷ついていたことにビックリしました。「ここまで傷ついてたんだ!」って(笑)。永島君の高校生時代の傷とか、僕と一緒じゃない所のゆきちゃんと永島君の会話とか、二人とも本当に頑張ったなと思いました。
──今回、原田さんが演じた佐相さんは、そんな二人の上司で、佐相さんが間に入らなかったら二人は接近していなかったかも…という重要な役柄ですね。
原田:僕もそう思う(笑)。
──「飲みにケーションしてきなよ」と、二人に五千円を渡したりしますが、我ながら、「自分に近いな」と思うところは?
『アントキノイノチ』
原田:全くないと思いました(笑)。佐相さんって、とても人間が出来ていて優しいですよね。この役柄をやってみて、後輩にこういう風に接しなきゃいけないんだなと思いましたね(笑)。あと、普段、人と接していて、その人がどれだけ傷ついている人なのかというのは分からないですよね。どんな人にも優しく接しないといけないなと思いましたね。勉強になりました(笑)。
──遺品整理業という職種はご存じだったんですか?
原田:知らなかったですね。この台本を読んで初めて知りました。
──撮影前に、実際に遺品整理業社で働いて体験したそうですが、大変だったのでは?
原田:実は昔、変わった体験をしてみたいと思っていたことがあって、この仕事が来たときに「僕なら出来るだろう」と思ったんです。

僕が(撮影前に)体験したのは、60代の男性が亡くなって二ヵ月後に発見されたという一戸建てでした。遺品整理業社にアルバイトというかたちで入って手伝っていたんですけど、においと虫の数にはビックリしましたね。先輩方は、「今日は軽い方だよ」と言って、マスクもしないで入って行きました。映画でもそういうシーンがあって岡田くんに説明をしますが、とにかく、すごかった!
──一日体験してみて、続けられそうと思いました?
原田:結果、思いませんでした。引っ越し屋さんなので腰も痛めるし(笑)、瞬時にその人のいい所だけを残して、他は、燃えるゴミ・燃えないゴミ・リサイクル・ご供養品とか判断するわけですから、大変ですね。
『アントキノイノチ』 『アントキノイノチ』 『アントキノイノチ』
──そんな体験はうまく役柄に反映できましたか?
原田:ちょうどいいことに、僕がやった佐相のモデルの方がいたので、その佐相さんと一緒に仕事しながら、彼の動きを全部真似していきました。
──共演者の岡田さんと榮倉さんは、どんな印象を受けましたか?
原田:バラエティでお会いしたことはあるんですけど、一緒にガッツリと仕事をしたのは初めてでした。よく、「少年がそのまま大人になったような人」と言いますけど、岡田くんはまさにそれです(笑)。トム・ハンクス主演の『ビッグ』という映画みたいに、「本当は小学生だろ!」って言いたいくらい、素直なんですね。でも、気がついたら僕も同じレベルで話をしてました。楽しかったです。

榮倉さんは、すごく合わせ上手というか、いつも笑っていて、人間的に出来てる人。お母さんみたいな感じでしたね。岡田くんと榮倉さんは映画の中でも心が通じ合っていますが、現場はまるで親子関係のようでした。
──瀬々監督の現場はいかがでしたか?
原田:瀬々監督は、決して威張ったりしない丁寧な方で、すごく集中する方でした。変な言い方なんだけど、言葉のチョイスが決して上手い人ではなくて、みんなが監督の考えを聞き取ろう、読み取ろうと必死になり、自然に周りが集中していく。この人の頭の中の映像を忠実に作りたいと思わせるので、現場は我を通す人が一人もいなくて、すごいまとまっていましたね。
──最後に、これからご覧になる方にメッセージをお願いします。
原田:傷ついた若者たちが、遺品整理業という仕事をやりながら成長する姿を観て、何か感じてもらえたらすごく幸せです。岡田くんと榮倉さんがとてもいい。付け加えるならば、やっぱり僕もすごく素敵なので(笑)。これを観て「こんな役柄も出来るんだ…」なんて思ってくれたら嬉しいです(笑)。
2011年11月16日
『アントキノイノチ』
2011年11月19日(土)全国ロードショー
公式サイト:http://www.antoki.jp/