ニュース&レポート

マッツ・ミケルセン『残された者-北の極地-』オフィシャルインタビュー

残された者-北の極地-

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイートする
  • Facebookでシェアする
『ハンニバル』『ドクター・ストレンジ』『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』で知られる“北欧の至宝”マッツ・ミケルセン主演作、『残された者-北の極地-』が11月8日(金)より、新宿バルト9ほか全国公開。本作は、飛行機が墜落し北極で窮地に立たされた男を描くサバイバル・ドラマ。映画の公開を前に、プロモーションのため来日したマッツ・ミケルセンのオフィシャルインタビューが到着しました。
マッツ・ミケルセン『残された者-北の極地-』オフィシャルインタビュー

──本作への出演の決め手は?
マッツ・ミケルセン(以下、マッツ):エージェントから、いくつか読んでほしい脚本が送られてくるんですけど、今回は『ハンニバル』のマーサ・デ・ラウレンティスから電話があり “今読むべき脚本だ”と言われて。他の脚本の束の中からそれを一番上に持ってきて読んだんです。すごいな、美しいなと。シンプルで誠実に書かれているなと思ったんです。それから監督のジョー・ペナとミーティングをしたんだけど、僕が感じたことを彼も同じように感じていました。2か月後にはアイスランドで撮影をしていました。ただラッキーだったのは、この企画は最初は火星が舞台だったので、そのままならアメリカ人の役者が配役されたかもしれないので、よかったなと思いました。
──主人公オボァガードについて
マッツ:彼はサバイバルの達人というわけではなくて、エンジニアなんです。毎日のルーティーンでただ生き延びている。劇中、あまり表情を作らないが、ちょっとした感情が見えた瞬間に彼という人物を一気に感じられると思うよ。
──本作はとてもセリフが少ないですが
マッツ:セリフが多くても少なくても作品が成立していればいいのです。僕はセリフが少ない作品も楽しめる方です。この作品はセリフが少ない方が正解だと思います。実際にこういったシチュエーションになったらほとんど独り言さえ言わないと思う。リアルだよ。

作品の終盤で「ハロー」というセリフがあるが、セリフが少ない分とても意味があるんですよね。もしかしたらこの作品で一番重要な言葉かもしれません

マッツ・ミケルセン『残された者-北の極地-』オフィシャルインタビュー

──撮影は過酷だったとおもうのですが
マッツ:これまでクレイジーな作品を沢山やってきたけど、今回がこれまで経験した中で最も過酷な撮影でした。自然、風、雪、寒さというものが常に付きまとっていたんです。撮影に何時間もかかってしまうような作品で僕は出ずっぱりでしたからね。身体的だけでなく、心情的にも大変でした。

常に事件が起きているという状況で、35日間の予定が、19日しか撮影ができなかったんです。例えば作品で嵐のシーンを撮ろうとすれば、突然お日様が出てきたり。天気の中で撮影しようとすると雪が降ってきたりして。だから途中からあきらめて、天気に合わせてフレキシブルにやろうということになりました。北極圏では、寒さよりも風の強さの方が大変でした。風が吹くととても寒くなるんです。
──本作で長編監督デビューしたジョー・ペナについて
マッツ:監督はブレないビジョンを持っていました。エネルギーとビジョンについては初監督の方がいい時があると思います。過酷な撮影環境にも関わらず、流れるように撮影は進み、一度も新人監督だなと思うことはありませんでした。

マッツ・ミケルセン『残された者-北の極地-』オフィシャルインタビュー

──『残された者』では“孤独”がひとつのキーワードです。マッツさんにとっての孤独とはどのようなものですか?
マッツ:孤独というのは自ら選んでそういう状況に自分を置いていることが私の場合多いです。子供の頃、別荘の近くに大きな森があって、その中で迷子になるのがとても好きでした。“誰も自分を見つけられなくなる”、その感覚が自分にとって凄く魅力的なものでした。その感覚が楽しかったし、何かこう自分が消失するということにすごく魅力を感じていました。しかしこの映画の主人公と一緒で、そういう場に身を置いたとしてもいつだって自分が行動すればそこから出られると思っていました。
──撮影で実際に孤独を感じたか?
マッツ:スタッフ自体も少人数でみんなが仲間同士という感覚はありました。でもスタッフは僕からかなり離れての撮影が多く、嵐や吹雪が始まるとスタッフのところに戻れず自分は消えてしまうんじゃないかと思うこともありました。でも逆に良いなと思ったのは、この巨大な世界の中で人間は大きな存在ではないと実感できたこと。地球という惑星が僕一人のことなんて気にかけないということを改めて感じられたんです。でも吹雪の中、雪原の中を歩くと自分自身も自然の一部になるんです。

マッツ・ミケルセン『残された者-北の極地-』オフィシャルインタビュー

──撮影で印象に残っていることは?
マッツ:今となっては止めてくれて良かったと思っていますが、山の上の方での撮影に向かっているときに、車から降りようとしてドアを開けたらそのドアが風で谷底の方まで吹き飛ばされたことです。とても美しい場所なので私も監督もそこで撮影しようとしたけど、危険だということでプロデューサーがその場所での撮影を許可しませんでした。
──命を落とすかもしれないと感じたことは?
マッツ:自分が気づいてないだけでそういう危険な状況というのは経験しているんじゃないかと思うけど、それはそれでいいんじゃないかな、だってずっと何か起きるんじゃないかって考え続けているのならば、進めないと思います。

今回のアイスランドの撮影では今自分が行動しなければ誰も自分を見つけられないとう状況は何度かあったが、それを感じることは良いことだと思います。何度も言うが、大きな自然の中で自分がいかにちっぽけな存在なのか、重要じゃないのかが分かる。それを改めて自覚することができるから。

マッツ・ミケルセン『残された者-北の極地-』オフィシャルインタビュー

──1人でいるときはどうやって過ごしていますか?
マッツ:体を動かすことが好きで基本的には自転車に何時間も乗ってます。何も考えないようにして空っぽにする、肉体的な行動が好きなのでそれを通して頭をクリアにします。あとは、殺風景なところを一人で眺めているのも好きです。
──過酷な撮影が終わって何かご褒美に欲しいものは?
マッツ:この作品を終わって、次の作品の撮影も終わった後は8か月間何もしなかったんです。何もしないのは得意なんです。オフの時はスポーツが大好きなのでテニスや自転車、そして家族と過ごすことがご褒美でした

マッツ・ミケルセン『残された者-北の極地-』オフィシャルインタビュー

──本作で注目してほしいポイントや、マッツさんが考えるクライマックスはどこですか?
マッツ:注目してほしいのは、表面的にはオボァガードが女性を救うように見えているかもしれないけど、少し深く掘り下げて観てほしい、すると女性の方が彼を救ったのだと読み取ることができます。彼はそこから動けずに何の選択もすることができないままそこに座って死を待つだけのルーティーンを繰り返しているだけだったのが、彼女が登場したことによって行動することになったのです。この映画は、生き残る事と生きる事の違いを描いた作品です。やはり人は一人では生きていけない。誰かがいないと駄目なんです
クライマックスはいくつかあります。もちろん女性の登場というのもその一つだと思う。作品自体にとっても彼女が登場した瞬間からギアが変わったと思います。
2019年11月6日
『残された者-北の極地-』
2019年11月8日(金)より、新宿バルト9ほか全国公開
公式サイト:http://www.arctic-movie.jp/