ニュース&レポート

『オレの獲物はビンラディン』ラリー・チャールズ監督オフィシャルインタビュー

オレの獲物はビンラディン

  • Yahoo!ブックマークに登録
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイートする
  • Facebookでシェアする
米同時多発テロの首謀者とされるテロリスト、オサマ・ビンラディン誘拐を企てたとして2010年にパキスタン当局に拘束されたアメリカ人の、にわかに信じがたい仰天の実話を映画化した『オレの獲物はビンラディン』。ビンラディン捕獲という無謀すぎる巨大ミッションにたった独りで挑んだ実在のアメリカオヤジ、ゲイリー・フォークナーを、ニコラス・ケイジが熱演する。本作のメガホンをとったラリー・チャールズ監督のオフィシャル・インタビューが到着しました。
『オレの獲物はビンラディン』ラリー・チャールズ監督オフィシャルインタビュー
──ゲイリー・フォークナーという人の物語のどこに一番惹かれましたか?
監督:彼のことは全く知りませんでしたが、彼について書かれた記事を読んで、非常に興味を持ちました。ゲイリーは、変態的な意味でのアメリカンヒーローだと思ったのです。非常に混乱していて、神の声を聞いたと信じていて、パキスタンがどこかも知らないのにものすごい使命感とやる気に満ちていて。ある意味、アメリカそのものです。なので、ゲイリーの映画を作れば、自然とそこからアメリカそのものについても語れると思いました。
──ゲイリー本人に感じた印象を教えてください。
監督:映画を作るにあたって、私はニック(※ニコラス・ケイジ)と一緒にラスベガスに行ってゲイリーに会い、彼にインタビューをしました。とてもチャーミングで、魅力にあふれた人だなという印象を持ちました。ただ、ゲイリーは一旦話し出すと止まらなくなってしまうので、結果としてインタビューは6時間くらいかかってしまいました。

インタビュー中、こんなことがありました。最初の質問が「9.11の時に何をしていましたか?」というものだったのですが、彼はそれについて1時間くらい色々と話していたのだけれど、1時間後にもう一度「で、結局9.11の時に何をしていたか?」と聞いてみたら、「あ、寝てた」と答えたんです(笑)。

ゲイリーはとても妄想じみている人でもあります。というのも、彼は神が自分に話していると信じているわけですが、私はそういうことを信じていないのです。また、恐れを知らない人だとも思いました。そして、恐れを知らない度合いがソシオパスっぽい。もう少し恐れを知った方がいいんじゃないかな、っていう感じがしましたね。既に身体は病気を患っていて、人工透析をしなければならない状態なのに、神からの使命を果たそうとしている。それは非常に自己破壊的なのですが、それほど信じているものがある、使命感があるというのはすごいことだとも思います。だから、彼がすごく二項対立的な、対局的なものを抱えた人だと思いました。
『オレの獲物はビンラディン』『オレの獲物はビンラディン』『オレの獲物はビンラディン』『オレの獲物はビンラディン』『オレの獲物はビンラディン』『オレの獲物はビンラディン』
──本作を撮られた後、トランプ政権が誕生しましたね。トランプを当選に導いたとも言われる<怒れる白人>の象徴のような人物にも見えますが、本作は、今のアメリカ社会に対してどんな批評性を持つとお考えですか?
監督:この映画は予言的な作品だったと思います。アメリカという国のメタファーだと考えてこの作品を作っていましたが、トランプが選挙で勝つことで、まさにそのメタファーが体現されてしまったんです。ゲイリー自身はとてもチャーミングな人です。しかし、彼は無知でもあり、誤解に満ちていて、歪んでいて、偏見に満ちていて、怒っていて、抑圧されていると思っている。まさにコインの両面のように、非常に両極端なものを持っているんです。それはアメリカそのものでもあります。
──実話を映画化するにあたって、一番力を入れたことはなんですか。具体的に行った取り組みがございましたら、教えてください。
監督:一番気に入っているアイディアは、神様がキャラクターとして登場するというところです。この映画は実話に基づいていますが、神様が出てくることで、フェアリーテイルのような要素が入ってくる。フィクションと現実の境が曖昧になるような物語を作ってみたかったので、すごく良い機会になりました。
──ニコラス・ケイジと仕事をしてみて、いかがでしたか?
監督:私は心からニコラス・ケイジを賞賛しています。ゲイリー・フォークナーという矛盾に満ちた人物を演じきる情熱と才能を持つのは、彼しかいません。ニックは元々愛すべきチャーミングな人なので、ゲイリーのチャーミングさは、ニックの本来の人柄からが滲み出ている部分が多いと思います。また、彼は様々な感情を豊かに表現することができます。そのおかげで、ゲイリーというキャラクターに観客がより共感できるし、より感動できるのだと思います。

さらに、彼は演技をする上で自ら進んでたくさんの冒険や実験をしてくれます。リスクを厭わないのです。なので、彼と一緒に仕事をしている全ての瞬間が楽しくて仕方ありませんでした。
──気に入っているシーンはありますか?
監督:気に入っているシーンはいくつかありますが、それはだいたい神を演じたラッセル・ブランドとニコラスが、哲学や、政治や、神学について色々と議論を戦わせるところがすごくユニークでエネルギーがあって自分としても誇りに思っているシーンです。
──本作をつくる上で、参考にした作品はありますか?
監督:映画から音楽まで、様々な作品を参考にしたのですが、とりわけ、私が幼い頃に観てきたブラックなコメディですね。戦争や暴力や政治に関してブラックかつユーモラスに語っている作品、『キャッチ22』や『M★A★S★H』といった、キャラクターが矛盾に満ちていて、でも存在自体が当時のアメリカのメタファーになっているような作品を参考にしました。
──日本の観客に、この映画を通じて何を感じてほしいですか?
監督:大笑いして、ゲイリーと一緒にこの旅を楽しんでほしいです。同時に、映画に込められた皮肉というか、風刺の要素に気がついてほしいし、風刺の下にあるものにも気がついてほしい。劇場から出た後に少し考えたり、一緒に観た人と語り合ったりと、表面的に楽しむ以上の価値を楽しんでもらえたらと思います。


ラリー・チャールズ監督 プロフィール

1956年、ニューヨーク・ブルックリン区でユダヤ系の家庭に生まれる。ニュージャージーでラトガース大学に進学するも、スタンダップ・コメディアンを志し中退。その後、TV業界に入りいくつかのコメディドラマに脚本家として参加しキャリアを重ね、2003年、『ボブ・ディランの頭のなか』で長編監督デビュー。2006年、『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』を監督。アメリカを皮肉る人種差別や性差別ネタ、過激な下ネタをふんだんに盛り込んだそのブラックさは国際問題にまで発展した。その他、『レリジュラス ~世界宗教おちょくりツアー~』(08)、フェイク・ドキュメンタリー『ブルーノ』(09)、ブラック・コメディ『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』(12)といったサシャ・バロン・コーエン主演作を監督。


公開初日となる12/16(土)の来場者限定で、先着で国際版ビジュアルデザインのチラシをプレゼント!(先着順/数量限定/実施劇場:シネマート新宿、シネマート心斎橋)
2017年12月15日
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
『オレの獲物はビンラディン』
2017年12月16日(土)よりシネマート新宿ほか、全国順次ロードショー
公式サイト:http://www.transformer.co.jp/m/finding-binladen/