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誰しも持っているであろう“青春の尻尾”を感じてほしい ──映画『あさひるばん』國村隼インタビュー

あさひるばん

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大人気コミック「釣りバカ日誌」の原作者やまさき十三が、初監督に挑戦した映画『あさひるばん』。本作は、高校球児だった浅本・日留川・板東、略して“あさひるばん”と呼ばれた3人組が、30年後、1枚の手紙をきっかけに再会し、かつてのマドンナ・幸子とその娘・有三子のために奮闘するホームドラマ。主人公の元高校球児・浅本役に國村隼。その同級生の日留川と坂東に板尾創路と山寺宏一、マドンナとその娘を斎藤慶子と桐谷美玲が演じ、『釣りバカ日誌』ワールドを彷彿とさせる人情コメディが展開する。本作の公開を前に、主演の國村隼にインタビュー。撮影時のウラ話や役作りについて伺いました。
誰しも持っているであろう“青春の尻尾”を感じてほしい ──映画『あさひるばん』國村隼インタビュー
『あさひるばん』 『あさひるばん』
──久々のホームコメディとなりましたが、出演されることになったいきさつを教えて下さい。
國村: 3年前ぐらいに、やまさき十三さんから「映画を撮りたい」とお声かけ頂いたのが始まりでした。その頃はまだ脚本も固まっていない初稿の段階で、今回のような物語ではなかったんですが、『釣りバカ』のやまさきさんの脚本ですから、その世界観の映画になるなら面白いだろうなと、(出演の)準備はしていました。
──以前からやまさきさんとはお知り合いだったのですか?
國村: 最初にお声かけ頂くまでは個人的なお付き合いはなかったので、「やまさきさんが僕に?」という感じで、僕自身はちょっと意外で驚きました。何をご覧になったんでしょうね(笑)?
──プライベートで釣りがお好きとのことで、今作には釣りのシーンもあったので、“釣り仲間”かと思っていました。以前『釣りバカ日誌』にも出演されていましたね。
國村: 三國連太郎さんが大好きで、いつかご一緒したいと思っていたら、たまたまオファーを頂きました。なので、実は『釣りバカ日誌』に出演しているというより、三國さんにお会いしてるんだという意識のほうが強かったんです(笑)。
──今回演じた浅本(あさ)という人物には、共感できる部分はありましたか?
國村: そうですね。釣りは好きですが、野球は遊びで草野球程度しかやっていなくて、むしろ縦社会な運動部が苦手なタイプでした(笑)。でも、今回に限らず色んな作品で、理解できる部分と全くそうじゃない部分が出てきますが、根っ子としての自分自身は消すことが出来ないんです。だから、自分じゃない部分とどう折り合い付けて、リアリティを持った人物として存在させるか、常にイメージはしています。
──女性に対しても煮え切らないタイプでしたね。
國村: そこは、非常に近い部分があるかもしれません(笑)。女性が苦手なわけじゃないんですけど、口説いたりアプローチするのが上手なほうではないと思います。
──ヤクザのような特殊なキャラを演じるよりも、今回の一般的な人物を演じるほうが、むしろ難しかったりするのですか?
國村: ヤクザって、映画を観てくれるお客さんの中に、あらかじめイメージがある。ステレオタイプなヤクザのイメージをいかに崩すかとか、色んなアプローチもできるけど、普通の人物像をエンターテイメントの中の登場人物として存在させて、それを楽しんでもらえるか考えるのは、ある意味難しいかもしれませんね。今回の“あさ”も、野球児だった高校三年生から30年後、芸能プロダクションの社長に収まるまでは色んな人生を歩んだと思います。でも、どんな役柄でも、そこに至るまでの人生と、その先の人生があり、僕はそこに興味を惹かれるんです。極悪人だったとしても、生まれた時から極悪人ではないはずで、こいつがどの時点でこうなったのか、どういう家に生まれてどんな両親に育てられ、どういう人生を歩いてここに至ったのか、そういう部分を妄想しているのが楽しいんです。
『あさひるばん』 『あさひるばん』 『あさひるばん』
──大好きな釣りのシーンでは、こんな風に撮って欲しいとか、ご自身の提案が活かされている部分もあるのですか?
國村: 釣りのシーンは最初からあったんですが、どんな釣りなのかは決まっていなかったので、「“あさ”がやるならフライフィッシングにして欲しい」とだけ希望しました(笑)。キャスティング(フライを投げる動作)にも色んな方法があるので、撮影ではこちらの希望というよりも、カメラがどこにあるか、そのフレームをイメージしながら投げ方を工夫していました。
──30年ぶりに会う同級生役の山寺宏一さん、板尾創路さんとの共演はいかがでしたか?エンドロールで映し出された撮影現場は楽しそうでした。
國村: 画面のままですね。まさに“3バカ”だったと思います(笑)。例えばプロレスのシーンなんかは、3人で話していて、「ええ年したオッサンが3人集まったら、すっと10代の時に戻っちゃうよね。だったらプロレスだよね」となって、コブラツイストをやっていたんです。板尾君は監督でもあるので、撮りやすさを考えて4の字固めになり、そうこうしているうちに8の字固めになっていきました(笑)。台本には「3人がじゃれ合っている」としか描かれていませんでしたから、ああいうシーンは現場で生まれましたね。監督に見てもらって、そのまま採用になりました。
──役作りは、監督と細かく相談しながら作り上げていくのですか?
國村: 作品の世界観や、自分がその中に立ち上げなければいけないキャラクタ−、それが映画の中でどういった機能を果たすのか、そういった根っ子の部分は初めに話しますが、現場に入ってしまうと、あまり監督と言葉でコミュニケーションをとらないタイプなんです。まずは、勝手に演じちゃいますね(笑)。そのほうがギャップを最小限に抑えられるというか、言葉でやりとりしても表現するものが違ったりするので、一度演じてみて、方向を修正します。それが監督と被写体の無駄のないコミュニケーションのとりかただと思ってます。
──これまで様々な役柄をこなしていますが、役柄を選ぶ基準はありますか?
國村:あまり役柄にこだわらず、むしろ撮り手が「國村隼という役者にこんなことをさせてみたい」と思ってもらえるような、イメージを刺激する存在でありたいと思ってます。

そういう意味では今回も、やまさきさんが彼自身の世界観で、僕と映画を撮りたいと仰って頂いたので、僕自身が楽しみにしていました。日本映画でこういった世界観は少なくなってきていますし、観ているお客さんがほっこり出来てジーンとして、観終わって映画館を出たら「面白かった」と、その後はどんなお話か忘れてしまって良いくらい(笑)、良い意味でのプログラム・ピクチャーが出来たと思います。
──最後にこれからご覧になる方にメッセージをお願いします。
國村: 『あさひるばん』は、お客さんに興味をもってもらえる要素がいっぱいあります。やまさきさんが72歳にして初監督に挑みましたが、『釣りバカ日誌』を作った方の世界観として楽しんでもらえると思うし、“あさ・ひる・ばん”という3人のおじさんが、久しぶりに会った途端10代の子供の頃に戻ってマドンナのために奮闘する、ほっこりできるようなお話です。僕らの年代になっても、誰しも持っているであろう“青春の尻尾”を感じて頂ける映画になっているので、是非その“尻尾”を確認しに映画館に来てください。
2013年11月25日
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『あさひるばん』
2013年11月29日(土)全国ロードショー
公式サイト:http://www.asahiruban.jp