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アニミズム的な視点で描かれる“王子の罪”──『美女と野獣』クリストフ・ガンズ監督インタビュー

美女と野獣

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醜い野獣と、美しい娘が織り成すファンタジーの傑作「美女と野獣」。これまで小説・絵本・アニメーション・映画・ミュージカルと様々に形を変えながら愛されてきた物語が、『ジェヴォーダンの獣』『サイレントヒル』の気鋭監督クリストフ・ガンズにより実写映画化。11月1日(土)公開の『美女と野獣』では、1740年に書かれた原作小説を元に、野獣の<隠され続けてきた>過去に光を当て、切なくも悲しい物語を紐解いていく。なぜ、王子は野獣になったのか?彼はどれほどの罪を犯したのか?映画の公開を前に、クリストフ・ガンズに直撃しました。
アニミズム的な視点で描かれる“王子の罪”──『美女と野獣』クリストフ・ガンズ監督インタビュー
『美女と野獣』 『美女と野獣』
──この物語はベルが野獣を再生させる物語として捉えられますが、女性の視点から描かれていますね。
監督:『美女と野獣』はジャン・コクトー版が有名で、私も大好きです。コクトーがジャン・マレーと親しかったせいか、あの映画は野獣の視点から描かれていますが、今回私はベルの視点から描きたいと思いました。『美女と野獣』には原作と呼ばれるものが二つあり、長編と短編ですが、どちらも女性が書いているので、女性の視点で語られるのは自然なことだと思います。

脚本を一緒に書いたのも女性ですが、脚本を書いている時に、この物語は「ジェーン・エア」に似ていると話していました。ジェーンとベルとの共通点は、どちらも身分の高い年上の男性に恋をし、相手には悲恋の過去があるということ。ロチェスターにとってのジェーンも、今回の野獣にとってのベルも、自分が生まれ変わる最後の切り札なんです。この物語のなかで女性の存在は大きいので、女性を主人公に描きました。
──主演のヴァンサン・カッセルとレア・セドゥのキャスティングについて
監督:脚本を書いている時点で、2人以外考えられませんでした。まず、ヴァンサンなら、野獣のマスクで顔を隠していても、感情の起伏を表現することが出来る。退廃的な王子とワイルドな野獣の両者を一人で演じることが出来るのは、フランス国内でヴァンサンしかいないと確信がありました。

レアが演じたベルは、父のために身を捧げ、やがて悲痛な生き物の瞳の中に愛を見つける、強くて若いヒロインです。時代に左右されない魅力を持ち、モダンで有りながらクラシカル、ナチュラルでいながら洗練されているレアは理想的でした。
──物語は、王子が過去に犯した罪に焦点が当てられますが、神話や日本のサブカルチャーの影響も感じました。
監督:最初にヴィルヌーヴ夫人が書いた長編は、ギリシャ神話やローマ神話からのインスピレーションが色濃く残っています。私はこのヴィルヌーヴ夫人版をベースにして、偉大な神々の要素を物語に反映させながら、人間と自然の力との繋がりを描きたいと思いました。

そもそも私の考えの根底にあるのが、自然の中に崇高さがあるというアニミズム的思考です。人間の登場によって自然が脅かされることになりましたが、人間と自然が共存するには、人間のほうが変わらなくてはいけないのです。カトリックでは「人間こそが崇高である」という教えがあるので、ヨーロッパではなかなか私の考えは理解されず、アニミズムというよりエコロジストと思われることが多いです。

私の前作『ジェヴォーダンの獣』もそういったアニミズム的な要素がありますが、日本では宮崎駿監督の『もののけ姫』などもそうですね。今回の『美女と野獣』で王子が犯した罪としてそういった題材を取り入れ、“黄金の鹿”のエピソードを描きました。狩りの女神であるディアナのエピソードにもインスピレーションを得ています。

また、最後の巨人が闘うシーンでは、自分たちの領地を守ろうとする姿が描かれていますが、人間が行きすぎたことをすると超人的な力がそれに抵抗するのだと私は思っています。三隅研次監督の『大魔神怒る』の巨大な石の侍や、宮崎駿監督の『天空の城ラピュタ』のロボットのように。日本では精霊信仰やアニミズムがあるので、自然とこういった話が出来るのは嬉しいですね(笑)。
──“タドゥム”も可愛らしいキャラクターでした。
監督:最後に正体が明かされますが、彼らも同じ罪を受けて呪われているのです。アニミズム的なことを描こうと思った時、宮崎作品からの影響を受けます。大きいトトロと小さいトトロ、まっくろくろすけや猫バスなど色んなサイズのキャラクターが出ていて、子供たちも楽しめますよね。色んな世代の方に楽しんでもらいたいし、様々なキャラクターが登場するのはお伽話の楽しみだと思います。
2014年10月28日
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『美女と野獣('14)』
2014年11月1日(土) TOHOシネマズ スカラ座ほか全国ロードショー
公式サイト:http://beauty-beast.gaga.ne.jp