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今回の指原はカワイイ!──映画『薔薇色のブー子』福田雄一監督インタビュー

薔薇色のブー子

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2013年度AKB総選挙第1位、本年度の総選挙も堂々の1位スタートを切った指原莉乃が主演を務める映画『薔薇色のブー子』。本作は、『コドモ警察』『俺はまだ本気出してないだけ』『女子ーズ』など、今や飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍中の福田雄一監督がメガホンをとり、自分を変えようと一念発起するも、さまざまなハプニングに見舞われる女子大生を描いた抱腹絶倒のコメディ。これまで映画やドラマ、バラエティなどで福田作品に出演してきた指原は、今作で主演として“最強タッグ”を組み、トップアイドルらしからぬコメディエンヌぶりを見せつける。本作の公開を記念し、福田雄一監督にインタビュー。主演女優・指原莉乃の魅力や撮影の舞台裏、そして映画に込めたメッセージを伺いました。
今回の指原はカワイイ!映画『薔薇色のブー子』福田雄一監督インタビュー
──本作の出発点が、矢口史靖監督の『裸足のピクニック』のヒロインのイメージだったそうですね。
監督:指原に初めて会ったその日に、『裸足のピクニック』のヒロインの子にたたずまいが似てるなと思ったんです。指原は表情が作れないんですよね。ヘタくそだから(笑)。でも、そのいわゆる“能面ヅラ”が似てるんですよ。僕はそういうインスピレーションを根に持つタイプなので、どんどん不幸に見舞われていくヒロインを指原でやったら面白いんじゃないかって思いました。確か『ミューズの鏡』(2012)あたりから秋元さんに言ってましたね。
──ヒロインは指原さんをイメージして脚本を書かれたと思いますが、意識した点は?
監督:実は今回、指原を想定してますが、“当て書き”したっていう意識はあまりないんですよ。普段ブーブー言っている奴が一念発起して頑張るっていう姿が、たまたま指原に合っていて、僕が書いた台詞が、彼女が言いやすい言葉で、普段の彼女に近かったんだと思うんです。僕はいつもは当て書きするタイプなので、他の映画やドラマで彼女に出演してもらう時も当て書きして、ダメ出ししたことがなかったんです。でも、今回はそうじゃないので「今までよりは難しいけど頑張って」って、クランクインの時に彼女に話していました。なので、今回は結構何テイクも撮って頑張ってもらいましたね。
──アンラッキーゆえに、指原さんは色んなことをやらされていましたが、撮影中の様子はいかがでしたか?
『薔薇色のブー子』
監督:クソ寒い中で水の中に入ったり、大変だったと思いますよ。でも「大変だ」っていう意識を僕が持っちゃうと、彼女も本当は平気かもしれないのに「結構大変なことなんだ」って思っちゃうから、そこは堪えてたんですよ。僕が「別にこれ、大変なことじゃないよ」って示すことで、割と普通にやってくれましたね(笑)。アイドルが、アスファルトの上に白目むいて倒れてるってのも、相当なことなんですけど(笑)、「じゃ、この上で寝てくださ〜い。例のやつ(白目)で…」って(笑)。池から這い出してくるところも普通に、「はい、じゃぁ入って〜」って(笑)。嫌だと言わせぬ!って感じでしたね。
──実際、嫌だとは言わなかったんですか?
監督:今回の指原は、嫌なことも普通に受け入れてましたね。いつもは嫌だ嫌だしか言わないんですけど、今回は1回も言わなかったんですよ(笑)!
──今回の作品で指原さんの新たな一面や変化が見られたんですね。
『薔薇色のブー子』『薔薇色のブー子』
監督:以前の彼女は、ずっと女優の仕事に興味がなくて、とりあえず現場に来てお仕事をして帰るって感じの子でした。でも、総選挙で1位をとったからなのか、映画に関して言うと、責任感をもって仕事をしている感じになりましたね。この映画で初めて座長を意識したのか、今回はスタッフや共演者に積極的に話しかけて遊んでいました。撮影の2日目ぐらいに指原に、「映画ってたくさんの人が動いているけど、この人たち全員が指原のために来ていて、指原が面白く見えるためにみんな頑張っている」というような話をしたら、珍しく真面目に聞いていたんです。そして撮影する中で「スタッフもいい人達だし、なんかこの映画、凄く楽しい」って言ってました。僕のスタッフはいつも同じ人たちなのに(笑)。たぶんそれは、彼女が今回の映画でスタッフにそう接したから、スタッフがいい人に見えたと思うんですよ。主演女優に話しかけられたら当然スタッフだって嬉しいし、そのおかげで彼女も楽しくなったんですね。色んなことが意外でした。

あと、今回の指原は朝から元気だったし、カワイイ(笑)!今までは女優の自覚がないから、顔も作ってこれなくて、朝からどうしようもないブサイク顔してたんですけど、今回はそれがなくて「朝からカワイイけど、どうした?」って言ってたくらいですから(笑)。そしたら指原が「ちゃんと夜帰ってからお風呂に浸かって、余分な水分を抜いてから寝るようにしてる」って言うんですよ。そこ頑張ってんだ!って(笑)。それだけでも十分な進歩だと思ったんですよね。朝一の集合でも顔パンパンで来ることは1回もなかったので、嬉しかったですね。

実は撮影に入る前に、指原がブスだって言ってる場合じゃないぞ…って思ってたんですよ。観客は、大きいスクリーンで指原の顔を延々と見るわけですから、ブサイクなままではさすがに難しい。僕が監督として、モニターを通して指原に恋してしまうくらい可愛くなければダメだと思うんですけど、さすがにそれは無理だなって思ってて(笑)。でも、今回は何か可愛く見えましたよ!
──映画の撮影は「指原の乱」(テレビ東京のバラエティ番組)と同時期で、昨年秋からTVと映画でがっつりとタッグを組みましたね。
監督:「指原の乱」は、ほぼ“オフ”で、たぶん彼女は仕事だと思ってなかったんじゃないかと(笑)。TVのほうは、かなり油断モードでしたね。移動車であいつのクソみたいな愚痴を延々と聞いてましたから、そこで相当(ストレスを)吐き出せてたんだと思います。秋元さんも、「話聞いてあげてください」とか「最近、指原が生意気だから説教しておいて」とか、何故か僕に言ってきます(笑)。あなたがやりなさいよ!って思ってますけど(笑)。
──今後は、指原さんとどんなタッグを組みたいですか?
監督:「女優やりたくない」って言ってますからね…これが遺作だって(笑)。僕もなかなかバラエティをやれる時間がなくなってしまって、「指原の乱」も秋の陣・冬の陣とかやりたいけど、なかなかスケジュールが…。女優をやってくれるなら、いくらでもお呼びしたいんですけど。でも、舞台の話は乗り気でしたね。指原でミュージカルやれたら面白いですよね。主演なのに歌ヘタだな〜って(笑)。
──指原さん演じる幸子の父親役にユースケ・サンタマリアさんを起用したのは?
『薔薇色のブー子』
監督:幸子の父親は、仕事をクビになってアルバイトを掛け持ちしていて、商社マン時代の給料に追いつこうとしている。状況的には悲惨じゃないですか(笑)。でもそれが悲惨に見えたら終わりで、むしろ今のほうが楽しそうと思えるような悲惨さがいいと思ってました。ユースケとの付き合いは長いんですが、割と最初の段階で、父親役に考えていましたね。偶然にも同じ中学校出身の2人になったわけですが、大分が生んだ“テキトー”二大巨頭ですよね(笑)。後半で、撒菱(まきびし)が出てくるんですが、その時のユースケの台詞が大爆笑で、あの台詞をあんなにナチュラルに言える役者はいないと思います(笑)。本当に稀有な存在ですね。
──映画では、幸子のアンラッキーな一日を描いていますが、この中で監督が伝えたかったのは?
監督:確かにアンラッキーで、中には“幸福なことなのに幸子にとっては不幸”って出来事もあって、彼女はこれを乗り越えることによって自分が変わるから、彼女にとっては逆説的にいいことだと捉えて欲しい。幸子も“自分を変えよう”と一念発起して不幸に見舞われ、挫折して慰められ、また一念発起して車に跳ねられ、直後にお金を得るとか(笑)、良いことと悪いことが交互に続いていくので、人生ってそういうものだよね…って訴えたかった。
──この一日の中に人生が凝縮されていると。監督の経験が活かされているとか?
監督:完全に僕を投影しているところはありますね。大学一年の時に完璧な引きこもりになって、誰とも口をきかず、親が借りたアパートの一階に住んで雨戸も閉め切ったまま外にも出ない、ごはんは出前…という時期があって、このままだとこの先真っ暗人生だな…と思ってました。そんな時期のある深夜、「小劇場が流行っている」というニュースを見たんです。お笑いが好きな親父の遺伝子もあって、お楽しみ会では確実に僕はヒーローだった。そんなことを思い出して、すぐに外に出て「ぴあ」を買い、地図で下北沢の劇場を調べて当日券を買って観たんです。そして翌日には大学に行って演劇部に入りました(笑)。それが、たった一日の出来事だったんです。その後、毎日大学に通い、稽古でランニングしたり台詞を大声で喋ったり。そこから今の僕に繋がっているんです。プロゴルファーを目指して挫折した後だったので、とんだ急カーブですよね。

幸子も“スパロウさんに会う”というのは口実であって、“自分が変わらなきゃいけない”というモチベーションで、幾多の困難を乗り越えるんです。観ている人は「たった一日で…」と思うかもしれないけど、僕もたった一日、もっと言えばたった5分のVTRを見て人生が変わっているので、そこを僕自身が信じているんです。たった一日で人はこんなに変われるし、未来が開けるって。
──今回の映画を振り返ってみていかがでしたか。
監督:久しぶりに純然たるバラエティ作家の頭を使ったなって感じでしたね。元々の職業がそっちなので、コント案を考えるのは得意だしいくらでも出せるんですけど、その1コント案をいかにスピーディーに繋げていくかが今回は勝負だったので、楽しい作業でしたね。「33分探偵」とか「勇者ヨシヒコと魔王の城」、『HK/変態仮面』もそうですが、最近の僕の作風は固定されていて、カッコいい人が格好つけてくだらないことを言う、それを誰かが突っ込んで笑いになる、というのを何年かやっていたので、今回みたいに素直に“笑ってください”という提示が久しぶりでした。音楽やSEも、“びよよよ〜ん”とか、普段の映画では考えられないようなコミカルな音にしてます。指原のファンは還暦を過ぎたお年寄りから子どもまで幅広いので、誰もが楽しんで、地方のシネコンでも家族みんなで観れるべきと思いながら製作していました。
『薔薇色のブー子』
──バラエティもドラマも舞台も映画も、これからますます忙しくなりそうですが、一貫してこだわられていることとは?
監督:“笑い”以外はやっちゃいけないとは思ってますね。よく「手広くやるね」って言われるんですが、そんなことはなくて、やっていることは一緒だけど、メディアが違うだけ。“笑い”以外やったことがないし、“笑い”の質が違っても、あくまでも笑ってもらうことを基点にしているので、これからもそれ以外はないだろうと思います。

でも、僕が子どもの頃から師と仰いでいるのがザッカー兄弟(ジェリー・ザッカー&デビッド・ザッカー)で、彼らは『裸の銃を持つ男』や『フライング・ハイ』というくだらない映画を作ってきたのに、突然『ゴースト/ニューヨークの幻』を作ったんです。あれはザッカー兄弟のボケだと思うんです(笑)。誰かに「何故お前らが!」って突っ込まれたくて作ったとしか思えない(笑)。最高のボケだと思うんですよね…ああいうボケをいつかやってみたいですね。今は大いなるフリの段階です(笑)。
2014年6月2日
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『薔薇色のブー子』
2014年5月30日(金) 全国ロードショー
公式サイト:http://bu-ko.jp/