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ホットな台湾を味わって欲しい──『祝宴!シェフ』チェン・ユーシュン監督インタビュー

祝宴!シェフ

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『熱帯魚』『ラブゴーゴー』など台湾映画界のヒットメーカー、チェン・ユーシュン監督が、16年ぶりにメガホンをとったコメディ映画『祝宴!シェフ』が、11月1日より公開。本作は、美食の街・台南を舞台に、”人々を幸せにする究極の料理“を巡って繰り広げられる大喜劇。個性的で愛すべき登場人物たちと、見た目も美しく食べたくなること必至の絶品料理の数々が映画を鮮やかに彩る。映画の公開を前に来日した、チェン・ユーシュン監督にお話を伺いました。
ホットな台湾を味わって欲しい──『祝宴!シェフ』チェン・ユーシュン監督インタビュー
──16年ぶりの長編新作となりましたが、なぜ映画業界から離れていたのですか?
監督:『ラブゴーゴー』('97)の頃ですが、当時の台湾の映画市場は不景気で、映画館に客が来なかったんです。私が撮ってきたのはコメディ映画ですが、コメディはお客さんがいなければ成り立たないものですし、観てもらわなければ映画を撮る意味がないんです。自分の映画の方向性にすごく悩みました。その後、脚本を2本書きましたが、プレッシャーももの凄くて、どうやったら受け入れてもらえるのか、必死に考えて書くので、以前のように自分の好きなコメディが描けなくなったんです。誰も観てくれないかも…と思うと余計に書けなくなって、映画への興味が薄れていきました。

でも、生活しなくてはならないので、CM業界へ転向したんですが、数年だけやって映画に戻ろうと思っていたのに、知らぬ間にこんなにも時間が経っていたんです(笑)。
──そのブランクを経て、今作で食をテーマにとりあげたのは?
監督:私が食いしん坊だからです(笑)。年齢を重ねてあまり大食いできなくなると、より美味しいものが大好きになるんです。でも何よりも、台湾のローカルな映画が受け入れられるようになったのが大きな理由です。宴会料理人は台湾の伝統文化の一つですが、今は少なくなっているので、今こそ撮らなければならないと思いました。
──宴会料理人は少なくなっているのですか?
監督:私が小さい頃の台北には、結婚式やお祝い事など宴会を取り仕切るシェフが沢山いて、よく祝宴が開かれていました。今は都市化していて、宴会もレストランで行うことが多くなって、あまり円卓を設けてやる方式が少なくなってしまいました。伝統的な文化が廃れていくのが残念なので、これをテーマに描きたいと思ったのです。
──登場する料理のラインナップはどれも美味しそうでした。
監督:伝統的な台湾料理をアレンジしました。今ではもうレシピが失われたものもありますが、リサーチで再現しました。決勝で鬼頭師が出す料理は、私の創作です(笑)。台湾料理は屋台で食べる軽食のたぐいが有名ですが、他にも沢山の美味しい料理があることを知ってもらいたかった。台湾の伝統料理と言っても、大陸から沢山の人が渡ってきて、それぞれの味を各地域でアレンジし、なかには台湾だけに残っている料理もあります。
──審査員の“美味しい”の表現が工夫されていて面白かったですね。
監督:観客は映画を観ている時に食べられませんから、その美味しさをどうやって表現するのかとても大事でした。ただ言葉で表現したのではつまらないし、映画として通じません。多少オーバーかもしれませんが、目と耳で味わって共感して頂けると思います。
『祝宴!シェフ』 『祝宴!シェフ』 『祝宴!シェフ』
──登場人物は皆、個性的でしたが、中でも宴会料理人“蠅師”の妻アイフォンを演じたリン・メイシウさんのコメディエンヌぶりが秀逸でした。
監督:彼女は、私が手掛けたテレビCMシリーズでブレイクしました。それ以来長い付き合いですが、私と性格も演技の捉え方も似ているので、あうんの呼吸で意思疎通が出来ます。ずっと、映画の主役として起用したいと思っていたので願いが叶いました。この母親役は彼女しか出来ないし、リアクションやセリフも彼女が演じることを念頭に書いたものなんです。

ほかの登場人物も皆、際だった個性を持たせたいと思って、話し方や動きを演出しました。トニー・ヤンが演じた料理ドクターは、愛らしくて不可思議な雰囲気を持っている男で、日本では分からないかもしれませんが、台詞回しが特徴的なんです。普通の中国語とは違って、色んな方言をミックスした独特の言葉なんですが、おかしなドクターがおかしな言葉で卵の恋愛を語ったり歌を歌ったりするので、台湾人はそれだけで笑ってしまうんです。
──エンドロールでもその楽しさが伝わってきました。ほかにも美術や小道具なども可愛らしくて温かい雰囲気でしたね。
監督:色にもすごくこだわりました。これまでの台湾映画は保守的で、カラフルなものが少なかったと思いますが、そこを変えたいと思っていました。実際に台湾は亜熱帯なわけで、素敵な色がたくさんあり、人も国もとてもホットなんです。特に料理が題材の映画なので、美味しい料理も鮮やかに表現したかった。総合して台湾人の人情や温かさ、ホットな街の雰囲気がとても良く出たと思います。是非この映画でそういったところも感じて頂いて、台湾に行かれたら、料理の中に残っている色んな文化も味わって欲しいですね。
2014年10月27日
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『祝宴!シェフ』
2014年11月1日(土)シネマート新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
公式サイト:http://shukuen-chef.com