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『ダンケルク』クリストファー・ノーラン監督オフィシャル・インタビュー

ダンケルク

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『ダークナイト』『インセプション』と、新作ごとに圧倒的な映像表現と斬新な世界観で、観る者を驚愕させてきたクリストファー・ノーラン監督が、実際に起きた史上最大の救出作戦を描いた最新作『ダンケルク』が、9月9日(土)より全国公開。圧巻のリアル映像で全世界興収4億5千万ドル突破の大ヒット、海外メディアでは「オスカー候補となるべき今年No.1の映画。(Variety)」、「ノーラン最高傑作。(The Guardian)」など、早くも2018年のアカデミー賞最有力候補の大本命と激賞されている。本作の公開を前にクリストファー・ノーラン監督のオフィシャルインタビューが到着しました。
『ダンケルク』クリストファー・ノーラン監督オフィシャル・インタビュー
──ダンケルクの戦いと撤退は、第二次世界大戦、そして20世紀において重要な出来事の一つと言えます。どこに魅力を感じて映画化に至ったのでしょうか?
監督:多くの英国人と同じように、私もこの物語を聞いて育ちました。英国人は、この出来事を神話やおとぎ話のように捉えている。骨まで染み込んでいるんです。私は深く知れば知るほど、シンプルな神話という以上に、リアルな人間たちの物語に感動を覚えました。

 20年くらい前の話です。妻エマと私は、友人の小船でダンケルクへと渡りました。撤退作戦と同じ時候で、海峡はとても荒れていました。本当に大変な体験で、とても危険を感じました。頭上から爆弾も降ってこない、戦時下でさえないのにも関わらず。救出をしようと海峡を横断した人々への敬意と憧れがその時生まれ、ダンケルクで実際に起こったことに深い興味を抱きました。それが心の中に留まりこの物語を映画化したいと思うようになったのです。この素晴らしい物語について、今を生きる観客のための映画を作ろうと思いました。しかし、リアルに描ける手法を手にするまで待つことを考えたのです。あまりにも壮大な物語ですから。
──本作は壮大な物語です。観るもの心に響くそして見応えたっぷりのエンターテイメント作。まるで観客自身が戦闘機や船上にいるかのように描いていました。映画化するにあたって、壮大さと同時に臨場感は―重要な要素でしたか?
監督:『ダンケルク』は臨場感ある壮大な映画です。空と海と大地が混ざり合い、壮大な歴史と何十万もの人々がかかわる物語でもあります。しかし、私にとっては主観的な映画。これが、アプローチの鍵でした。私が描きたかったのは、従来の映画製作の枠に収まらない、兵士たちと一緒に観客をダンケルクへ連れていくこと。あの強烈さ、あの恐怖、あの緊張感を体験してもらうことでした。

 『ダンケルク』はサバイバルストーリーです。時間との戦いが、サスペンスをもたらし、主観的でかつ現在進行形の映画を、私は本当に描きたかったのです。ストーリーは、陸と海と空という3つの異なる視点に別れて同時に進行していきます。ダンケルクの壮大な出来事を観客に分かりやすく語りたいと考えた結果でした。そこから脱することなく、主観的な語り口も維持する。観客には常に緊迫感あふれるサスペンスの中にいてほしい。部屋で地図を相手に問答する将軍たちに画面を切り替えたくはない。いまその場で起こっている状況の中で描きたかったのです。同じ出来事の異なる側面を交互に見せながら、異なる視点間を行き交う。この手法なら、観客も、より広い視野を持てます。たとえそれが、主観的な語り口であったとしても。
──映像も素晴らしかったです。IMAXフィルムでの撮影はどのような体験でしたか?それは、この映画に何をもたらしてくれるのでしょうか?
監督:IMAXフィルムで撮影したのは最高解像度のフォーマットだからです。映像フォーマットの中で最高水準の色彩です。それは、IMAXスクリーンで観るとより鮮明に分かります。透明度と緊迫感のある映像で、その場にいるように感じられるでしょう。巨大スクリーンと澄み切った映像と大音響、このフォーマットはそれを提供します 。観客が夢中になれる体験を用意するために大きな助けとなってくれました。
『ダンケルク』クリストファー・ノーラン監督オフィシャル・インタビュー
──素晴らしいアンサンブルキャストです。実力派のベテラン俳優から才能ある若手俳優まで映画出演の経験がない方もいます。キャスティングについてお聞かせください
監督:キャスティングは重要な要素でした。30歳の俳優が18歳を演じるような、従来のハリウッド式のキャスティングはしたくありませんでした。実際の戦地には、若い青年が送り込まれました。18~19歳の青年です。その年齢を配役したかったのです。きっと観客は差し迫る恐怖を感じ、浜辺にいる青年たちに共感するはず。そこで、オーディションという素晴らしいプロセスを踏みました。演劇学校にも行き、エージェントも何もついていない才能ある若手俳優を違う組み合わせで、来る日も来る日も、オーディションしました。誰がその役に合うのか見ながら役を交換し、違う組み合わせを試しました。昔ながらのキャスティングだったし私も初めて経験したがとても有意義でした。素晴らしい発見をしたと思います。
フィオン・ホワイトヘッドは主人公を演じていますが、驚くべき才能の新人です。
トム・グリン=カーニーもバリー・コーガンも―並外れた才能だの持ち主です。
そこに、物語を支えるベテランを混ぜました。当代最高の俳優の一人マーク・ライランスが船に乗り、並外れた才能の持ち主ケネス・ブラナーがダンケルク撤退を指揮する。
トム・ハーディも、キリアン・マーフィーもいます。以前仕事をした俳優、したかった俳優たちが集まってくれました。そして映画初出演の若手俳優たちを本当に支えてくれました。
──陸海空3つの視点だけでなく、異なる3つの時間を組み合わせています。1時間に起こること、1日に起こること、そして1週間に起こること。行き来しながら時間を操る。それは、難しかったに違いありません。
監督:主観性を保ち、より広い視点を与えてくれる構造を模索しました。陸から事象を捉えたい。海からも、空からも浜辺からも、民間船からも。これは長い時間がかかります。戦闘機スピットファイアの操縦席に乗り、空中戦を繰り広げます。彼らは1時間ダンケルクの上空で戦いました。だから、それぞれの時系列になるタイムスケジュールを配せば、全体像を描けると考えました。

1時間の熾烈な空中戦が映画全体に広がる。パイロットにとって勇ましい1時間です。浜辺にいる兵士たちは対照的に、緊張と恐怖と退屈の中にいる。彼らは身動きが取れず、この先何が起こるのか分からない。この状況がリアルな恐怖を生み出すのです。1週間、1日、1時間、異なる時間で展開します。そしてすべてが切り替わり、ある時点で交差するのです。
──飛行機に乗った経験はいかがでしたか?
監督:戦闘機で飛んだのは人生最高の経験でした。とても素晴らしかったです。


2017年9月4日
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『ダンケルク』
2017年9月9日(土)全国公開
公式サイト:http://dunkirk.jp