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原作以上にウザいけど、彼は天使 ──『グッモーエビアン!』原作・吉川トリコインタビュー

グッモーエビアン!

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麻生久美子&大泉洋が共演する映画『グッモーエビアン!』が、12月15日(土)よりテアトル新宿他にて全国公開される。本作は、2004年に新潮社・女による女のためのR-18文学賞の大賞と読者賞を受賞しデビューした吉川トリコの同名小説を原作に、若くして娘を産んだクールでROCKな未婚の母親・アキと、お調子者でおバカだけど、人一倍優しいヤグ、そして二人とは対照的に真面目で冷静な娘・ハツキの3人が織り成す、ちょっと変わった家族の物語。本作の公開を前に、原作者の吉川氏にインタビュー!原作小説に込めた想いや映画の感想を伺いました。
原作以上にウザいけど、彼は天使 ──『グッモーエビアン!』原作・吉川トリコインタビュー
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──「グッモーエビアン!」の物語はどんなアイデアから書き始めたのですか?
吉川:最初は、「マラソンを走ってプロポーズする」っていうラストだけ思いついたんですが、ただのカップルの話として書いたらノロケ話になっちゃうので、マラソンを走ってプロポーズするような人は…って考えていったら、ヤグの底抜けキャラとかロックやパンクが自然とできていきました。ラストから逆に考えて物語ができました。
──映像化は念頭にあったんですか?映画化の話を聞いたときはどう思いましたか?
吉川:映像化は全く考えてなかったです。最初にこの話を聞いた時も、「え?うそ!嬉しいー!!」って思ったんですけど、すかさず担当者から、「…とは言っても映画化の企画はなかなか実現しないから」って釘を刺されて(笑)、嬉しいと思いながらもあまり喜ばずに抑えてました(笑)。
──映像化が実現して、完成した映画をご覧になっていかがでしたか?
吉川:すごく良かったです。自分の原作なのに客観的に観ることができて、原作のエッセンスもうまく掬い取って頂いていて、すごく感謝してます。小説を書いていた時は、自分はハツキの視点で書いていたんですが、ハツキがずっとふくれっ面して怒っているのが可笑しくて、ハツキが出てるシーンは大好きです。
──大泉さんが演じたヤグは、原作以上にウザいキャラになっていました(笑)
吉川:ほんとにウザいですよね(笑)。原作を書いたときは、パンクとかロックって格好いいイメージで描かれることが多いんですけど、そうではなくてダサイもの・格好悪いものとして描いたら面白いんじゃないかと思って書いていました。映画で大泉さんが演じることによって、ヤグのウザさが倍増していて、「これはすごい!」って思いながら観ていました(笑)。実際は、働かずに女に食わしてもらってるってキャラなのに、生々しさがなくていい感じに浮世離れしていて、良かったです。
──あれだけ地に足がついてないとファンタジーになりますね(笑)
吉川:ヤグは天使だと思います(笑)。
──一方で、麻生さんが演じたアキはクールで格好良く、ヤグとの掛け合いでは同じレベルでバカに付き合いますね。
吉川:原作はハツキ視点で書いたというのもあって、アキという人物に踏み込んで書けなかったんですけど、映画でのアキはすごい深みが出ていました。働いて帰ってきた時の疲れた感じとか、甲斐性のない男を養っている感じとか、すごく素敵な女性になっていて、たぶんこれも麻生さんが演じてくれたからだろうなと思っています。
──撮影現場に足を運んでみましたか?
吉川:名古屋のロケと、ライブハウスのシーンは見に行きました。名古屋のロケではハツキとトモちゃんがクレープを食べてるシーンでした。自分が作ったキャラクターが動いているって、すごい不思議な気分でした。現場では監督も「三吉さん」じゃなくて「ハッちゃん」って呼んでたので、私もついつい「ハッちゃん」って呼んじゃいました(笑)。
──原作にはないエピソードも入りましたが、映画を観て、新しい面を発見したことはありますか?
吉川:原作はかなり前に書いたものなんですが、当時は「もっと面白く自由に生きればいいんだ」って本気で信じて書いていたんですが、最近ではその考え方を青臭くて恥ずかしいことのように思いはじめていたんです。若かったんだなあ、みたいな。もうちょっと地に足をつけて生きなきゃだめだよって(笑)。でも今回、映画を観たら、彼らは別に「子どものまんまでいたい!」とか、「社会の歯車にはなりたくないぜ!」とか言ってるわけじゃなくて、そういう考え方すら型にはまったものだと言っているように見えました。好き勝手に面白おかしく生きているだけのように見えて、彼らは彼らなりに大人になる方法を模索しているんだなあって。刊行時にくらべるとここ数年で日本の状況が大きく変わってしまって、こんなのただの夢物語に見えるかもしれませんが、こんな時代だからこそ夢物語が必要なんだと私は信じています。
──「グッモーエビアン!」の後も何作か書いていますが、ご自身の著書で映画化してほしいものをあえてあげるなら?
吉川:私の作品は、たぶんどれも映画化に向いてると思うんですけど(笑)、『少女病』と、7月に出た『東京ネバーランド』は絶対良いと思います。映画化すればいいのに…(笑)。
──実現したら、ご希望の役者さんはいますか?
吉川:嵐のメンバーならだれでもいいです!(笑)厳密にはイメージちょっと違うんですけど絶対文句言いません(笑)!そういえば、大泉さんに新刊をお渡ししたら、「この役、僕できますよね」って言ってました。「美形の役なんですが…」って言ったら「いけるいける!」って言ってましたけど、大泉さんではないかな〜(笑)
──最後に、「グッモーエビアン!」という作品を通して、伝えたいメッセージをお願いします。
吉川:家族でも何でも、「こうじゃなきゃいけない!」っていうことは全然なくて、自分で「こうしたい」とか「こうありたい」とか考えたことを、誰がなんと言おうとそのまんますればいい(笑)!そういうことを描いた小説であり映画であると思うので、今、自分を狭めている選択や生き方をしているならば、この映画を観てちょっと立ち止まって、今のあり方を考え直すきっかけにしてもらえたら嬉しいです。
2012年12月11日
『グッモーエビアン!』
2012年12月15日(土)テアトル新宿他全国ロードショー!
公式サイト:http://gme-movie.com/