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石黒英雄インタビュー「役者自身が成長しないと、役も成長しない。だから、僕自身が成長して行く。」

彼岸島

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松本光司による人気原作マンガを韓国のキム・テギュン監督が映画化した『彼岸島』。行方不明の兄を探すために無人島へやってきた高校生とその仲間らが、吸血鬼と化した住民が支配する島で命がけのバトルを繰り広げるサバイバル・アクション。兄や仲間のために危険を省みずに戦う主人公・明を演じた石島英雄にインタビュー。自身に似ているというキャラクターや映画について熱く語っていただきました。
画像:『彼岸島』石黒英雄インタビュー
──原作をお読みになっていかがでしたか?
石黒:出演が決まってから読んだんですけど、すごくテンポが良くてどんどん読めるし、ドキドキが止まらなかったです。「明!がんばれ!お兄ちゃんを助けるんだ!雅を倒すんだ!」って感情移入出来て、それがこの映画でも出来たらいいなと思いました。明が強くなった瞬間は嬉しかったですね。
画像:『彼岸島』 画像:『彼岸島』画像:『彼岸島』画像:『彼岸島』画像:『彼岸島』画像:『彼岸島』
──役作りで特に心がけたことは?
石黒:実際には存在しない吸血鬼とどう共存するか考えて、リアルな芝居を追及しました。吸血鬼に襲われた時の気持ちの振り切り方とか、感情をリアルに表現出来たらと思いました。オーバーリアクションではなく、友達が亡くなった時の悲しさ、好きな子が誘拐された時の驚き方、そういうもののリアルさを追求しました。
明については、僕自身が、男三人兄弟の末っ子で、次男がデキル男だったので、小・中学校とそれがコンプレックスだったんです(笑)。今はそんなことないんですけど、それが学生の時だったので、明に対しては感情が入りやすかったですね。好きな子が友達の彼女になって、3年間告白できなかった、そんな痛い気持ちも同じだったので、凄く似てました。原作を読んでても、役作りしなくてもいいくらい共感できたので、あとは筋力トレーニングするだけでしたね。
──どんなトレーニングをしたんですか?
石黒:監督が、本番前に疲れるのを嫌う方で、撮影前にある程度の体力をつけて来いって念押しされていたので、3ヶ月間ジムに通って筋力トレーニングしました。でも、いざ撮影に入ると、要求されるのは気力でしたね。タイトなスケジュールでどこまで自分が追い詰められた芝居をして、その中でアクションをしていくのか、最後は精神力でやってました。
監督はとても要求が高い方で、まず、疲れた格好を画面に映すのはダメ、テスト以下の動きを見せたらもっとダメ。お兄ちゃんと並ぶ時も弟っぽさを見せるように求められました。とにかく内側からくる“情熱”を大事にしろと言われました。監督がそれを伝えてくるし、ちゃんと伝わってくるんです。その辺はすごくハードでしたね。
──自分から「こうしたい」とか言ったことは?
石黒:監督曰く、僕が「もう一回やらせてくれ」って言ったらしくて(笑)。僕は無我夢中で全然覚えてないんですけど、「絶対次はよく見せるから」って言ったらしいです。疲れる芝居の時は、「一分だけ時間ください」って言って、撮影所の外を全力疾走で走って、実際に息切れしているのをそのまま撮影したっていうのは何回もあります。
──山本耕史さんから殺陣も教わったとか?
石黒:山本さんは、剣さばきがすごくうまいんですよ。カメラに対しての見せ方、動き方が秀逸で、山本さんぐらいの年になったら、自分もこう動くようになりたいなと思いました。絶対に弱さを見せなくて、現場でもまさに雅でしたね。山本さんは、全身白塗りでカツラかぶってるので、入り時間も僕より1時間半ぐらい早いんですよ。だから、山本さんとは雅の姿しかあってなかったので、普通の山本さんにお会いした時に、初対面のような気持ちでした(笑)。たぶん今お会いしたら初対面みたいになるでしょうね。
──CGでのアクションシーンはグリーンバックでしたね。見えないものと戦うのは苦労しましたか?
石黒:慣れていないので、CGに対しての動き方をもうちょっと勉強するべきでしたね。ある程度はCGのほうが処理してくれるんですが、もうちょっとうまくやりたかったです。今も取り直しできるならやりたいですね。
──クライマックスのシーンは、衝撃的でしたね。どういうことを考えながら演じていましたか?
石黒:あの時は終わりが見えなかったんです(笑)。一週間かけて撮影していて、朝から朝までやる日もあったし、150カットの予定がどんどん増えて、最後には250カットぐらいになってたので、いったいいつ終わるんだ?って思っていました。終わりに近づくと、スタッフの顔ががだんだん明るい顔になっていて、「ここで終わりだから!これだけだから♪」って(笑)。見所のシーンだから、気合入れてたんですけど、体力は無くなっていく一方で、「これでやっと終わる!」って思いでしたね。
──韓国の釜山国際映画祭に出てみていかがでしたか
石黒:暖かかったですね。みんな酒飲んでるんじゃないかってくらいテンション高いし、自由なんです。聞いてる人は座席に関係なく身を乗り出して聞いてるけど、聞かない人は携帯いじってたり、よそ見してたりするんです。すごく自由で構えてなくて話しやすかったですね。
──韓国ではどんなことを聞かれましたか?
石黒:兄弟間のコンプレックスとか、監督に助けられたことですね。あるシーンで泣けなくなってきたので、監督に「泣けないんですけど」って言ったら、手を握って「力」をくれたんです。精神的にもヤバイっていう時に監督の元に行くと、「お前ならできる」って、グッと手を握ってくれました。そしたら僕にも力がみなぎってくるんです。
あと、好きな俳優のことも聞かれました。ソン・ガンホさんと『チェイサー』のハ・ジョンウさんが好きなんですけど、実際に韓国でパーティーでハ・ジョンウさんにお会いして、「『チェイサー』観ました、素晴らしかったです。」って言ったら「ナルホドー」って日本語で答えてくれました(笑)。
──これまで高校生の役柄が多かったですが、これから挑戦したいジャンル、役柄は?
石黒:何でも挑戦していきたいですね。年を重ねていくごとに、今まで後輩キャラの芝居だったのが、今度は先輩キャラとか上に立つ人に変わっていくと思うので、自分の中で新しい自分を出して行きたいです。まだ、自分の中では考えがうまくできていなくて、ここが第一の壁だと思っています。
でも、この『彼岸島』に出演して、もっとアクションをやって行きたいと思いました。もし、「2」があるならば、進化したアクションとか、最初から強い明を見せたいと思いましたね。でも、役者自身が成長しないと、役も成長しないので、僕自身成長して行きたいです。
──『彼岸島』は人気コミックですが、映画化したら出演したいコミックはありますか?
石黒:よくぞ聞いてくれました(笑)!!スピリッツで連載している「RAINBOW-二舎六房の七人-」です!! 安部譲二さんが原作で、絵は柿崎正澄さんなんですけど、終戦後あたりの日本を描いていて、命の尊さ、友情、愛情の一つ一つが熱く描かれているんです。登場人物7人ともにかっこいいんですけど、その中の主人公“マリオ”を演じたいです。弓削智久さんに「マリオっぽい」って言われて嬉しかったですね。実写化するならぜひオーディションしたいです。絶対やりたいです!!命がけでやりたいです!!!(←かなりアピール)
──これから鑑賞する皆さんにメッセージをお願いします
石黒:すごくハラハラドキドキする映画です。アクションや、兄弟の絆、好きな人に対する気持ちとか、普段生活していて刺激が足りないという方は、明に感情移入すると観やすいと思います。カップルの方もこれで親密になれると思いますよ(笑)。沢山の人に観て頂けると、「2」ができるかも(笑)、よろしくおねがいします!
役作りが必要ないほど、主人公の明に感情移入出来たと語る石黒は、役者をやっていく上で『アルマゲドン』のハリー(ブルース・ウィリス)の生き様に憧れたのだそう。役者としての理想像をしっかり持ち、ひとつひとつの質問に対して、身振り手振りだけでなく、時には全身を使って伝えたいことを表現する姿から、ピュアで誠実ながらも、妥協しない強さと熱い思いが伝わってくるインタビューでした。
2009年12月26日
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『彼岸島』
2010年1月9日(土)新宿バルト9ほか全国ロードショー
公式サイト:http://www.higanjima.jp