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CMディレクターから映画監督へ!初の長篇で「心が折れそうな瞬間も」 ──『ジャッジ!』永井聡監督インタビュー

ジャッジ!

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1月11日(土)より公開される、妻夫木聡主演の映画『ジャッジ!』。本作は、テレビCMの世界一を決める国際広告祭を舞台に、上司に押し付けられて審査員になってしまった落ちこぼれ広告マンが、自社のCMをグランプリにするべく奔走する姿を描いた、笑いあり感動ありの極上コメディ。脚本は、「ホワイト家族」などを生み出したCMプランナーの澤本嘉光。監督は、CMディレクターとしてトヨタや、サントリーなど話題作を多数手掛る永井聡。映画の公開を前に、永井監督にお話を伺いました。
『ジャッジ!』永井聡監督インタビュー
『ジャッジ!』
──監督はもともとCMディレクターで、脚本の澤本嘉光さんもCMプランナーです。最初から二人で組んで、CM業界を舞台にした映画を作ろうと思っていたのですか?
監督:最初はそうでもなかったらしいんです。でも、澤本さんが書いた脚本が広告業界のディープな部分に入り込んでいたので、やはり(監督も)広告業界の人間じゃないと難しいんじゃないかということで、澤本さんと親交のあった僕が呼ばれたという感じです。
──最初にその脚本を読んだとき、どう思いましたか?
監督:ビックリしましたね。まず、澤本さんって、ソフトバンクのCMのようなギャグも好きですけど、映画は『時をかける少女』とか好きだし、そういった青春ものが来るのかと思っていました。でも良い意味でふざけているし、しかも自分たちが働いている業界のことだったので、ちょっと……嫌だなと思いましたね(笑)。
──内情がばれてしまう(笑)?
監督:そうですね。しかも、これを描いて一般の方々が分かるのか?という気持ちはありましたね。映画祭ならともかく、“国際広告祭”があることすら一般的には知られていないので、特殊な世界すぎて伝わらないんじゃないかと戸惑いました。
──企業名のエースコックやTOYOTA(トヨタ自動車)など、実名で登場するのは珍しいと思いました。
監督:一般的に知られていない広告業界の話だし、コメディなので、架空の名前で例えば「“オイシイ堂”のラーメンです」ってなると、すべてが悪ふざけに見えてしまうと思うんです。観客に対してどうやったらリアリティを感じてもらえるかと考えた時に、やはりエースコックやTOYOTAなど実際の企業名が出ると入り込めると思うんです。エースコックの人って本当にあんな感じだろうか…とリアルに想像したりできると思うので、譲れないポイントでしたね。
──劇中のCMも心に残るCMでしたが、監督自身が手がけたのですか?
監督:エースコックのCMは、コンテを描いて別のCM監督に撮ってもらいました。本編の中でもちょっとだけトーンが違う方が良いと思ったんです。TOYOTAのCMはもともとあったもので、実際にCMで流れたこともあります。今ではほとんど観ることが出来ないマニアックなものですが、実際に海外で賞を獲った作品で、その時の審査員が脚本の澤本さんです。
──映画の中では何故「ちくわ」のCMだったのでしょう?
監督:まず、外国人が「ちくわ」を知らないんです。見たことないし、食べ物かどうかもわからない。それを海外に持っていったら面白いだろうと思いました。それと「ちくわ」のCMって地方だと流れているかもしれないけど、東京では見ないですよね。なので、変わった記号的にものになるし、「ちくわ」には失礼かもしれませんが、どうしても絵にならないので(笑)、むしろそこが面白いんじゃないかと思いました。
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──主演の妻夫木さんは、すごくハマっていたというか、妻夫木さんだからこその役柄だと思いました。妻夫木さんを想定して脚本が出来たのでしょうか?
監督:僕が参加した時点では妻夫木さんで決まっていたので、たぶん澤本さんも妻夫木さんを意識して書いていたと思うし、あのキャラクターは妻夫木さんじゃないと厳しかったと思います。観ている人がイライラしちゃったり、応援する気になれないかもしれませんから。
──妻夫木さんとの現場はいかがでしたか?
監督:彼は色んな監督の現場を経験していて、映画界においては彼のほうが大先輩ですが、監督としての僕を尊重してくれて、全てを委ねてくれたので、すごくやりやすかったです。撮影はやはり生ものですし、僕はもともと現場で新しいものを考えるタイプなので、脚本にはない演出もありましたが、それにもついてきてくれました。
──脇を固めるキャストも、豊川悦司さんやリリー・フランキーさんなど贅沢でした。
監督:キャスティングの方に「どういうイメージ?」と聞かれて、「例えばリリーさんとか豊川さんのような人」と希望したら、実際にご本人がキャスティングされて驚きました(笑)。スケジュールが厳しい方ばかりで大変でしたが、色んな方がご厚意で出てくれて、お祭り騒ぎになりましたね。
──松本伊代さんのシーンは、かなり爆笑しました。
監督:脚本の段階で「経理の松本伊代さん」って書かれていました(笑)。松本さんがNGならどうなるかと思ったんですけど、快く引き受けてくれました。
──外国人キャストはオーディションなのですか?
監督:日本にいる外国人を全部見たんじゃないかと言うくらい見ました(笑)。プロの役者さんじゃない人も多いので、外国人のキャストに関しては、キャストが決まった上でキャラクターを決めました。台詞もある程度の基本は出来ていたけど、会ってみて組み合わせてみないと分からないし、無理なことをやらせると途端に下手になってしまうんです。
──登場するキャラクターにはモデルがいそうです。実際にCM業界で会った人や経験したことも反映されているのですよね。
監督:名前は出せませんが、モデルはいます(笑)。上司の無茶ぶりも日常茶飯事なことですし、広告祭のロビー活動など舞台裏もあんな感じです。外国人のキャラクターも、彼らは広告業界の強者で相当な自信家が多いので、それを意識して話し方にカリスマ性を出して欲しいと伝えて撮影しました。
──CM監督から、2005年の映画『いぬのえいが』を経て、今作では長編映画デビューとなりました。時間や予算の違いはありますが、決定的な違いはどんな部分でしたか?
監督:映画は一つのストーリーラインに沿って皆で進めるので、撮影段階では全て準備されていたりするんですけど、CMの場合は15秒〜30秒しかないので、たったワンカットを変えるだけで作品が良くなったり悪くなったり、想定していたものと違うものになってしまう。たった一人の意見で衣装を変えたがために全体のイメージが崩れたりという危うさがある。そこは、映画とCMではちょっと違いましたね。

前作『いぬのえいが』はオムニバスでしたし、短期間でCMのスタッフとCM感覚で撮った感じでした。今回は全責任が僕にのしかかってきて、全部の決済を自分でしなければいけない。約1ヶ月に渡って、全く仕事したことない人たちを説得しながら引っ張って行かなければいけないのも、ストレスであり、決定的な違いでしたね。
──初めての現場で、心が折れたりすることも?
監督:折れそうになる瞬間は何回もありました(笑)。でも、CMのデビュー作も色んなプレッシャーの中でやりましたし、CM監督としては経験もあるけど、映画監督は初めてなので、色んな摩擦があって当然のこと。むしろそれをバネにして集中して出来た部分はありますね。
──映画監督というのは想定していた道のりなんですか?
監督:自分が描いていた道のりでした。いつかは映画を撮ってみたいと思っていました。
──長篇を一本撮り終えて、次回作はまた考えていますか?
監督:もう1本、今回のようなコメディを撮りたいですね。笑わせておいて最後にジーンとさせるような、ちょっと新しいコメディがもう一度出来たらいいなとは思っています。
──最後にメッセージをお願いします。
監督:一般的には知られていない業界を描いたものですが、どんな世界でも共感できるような主人公の葛藤を描いているので、難しく考えず、楽に観て頂いて、映画館を出て、たくさん笑ったねって言ってもらえるのが一番嬉しいので、是非楽しんでください。
2014年1月10日
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『ジャッジ!』
2014年1月11日(土)全国ロードショー
公式サイト:http://judge-movie.com/