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つまらない世間をぶち壊したいという思いを表現した ─『恋の罪』小林竜樹インタビュー

恋の罪

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『冷たい熱帯魚』に続く園子温監督の新作『恋の罪』は、渋谷区円山町ラブホテル街で起きたエリート女性殺人事件からインスパイアされたサスペンス・ドラマ。水野美紀、冨樫真、神楽坂恵が共演し、3人の女の生き様を、SEX・言葉・狂気・生と死・家族を通してセンセーショナルに描いていく。本作で神楽坂恵演じる清楚で献身的な主婦・いづみを、闇の世界へと導く引き金となる男・カオルを演じたのが、本作で映画デビューを飾った小林竜樹。初出演作の公開を前に、自身の演じた役柄や撮影現場について語って頂きました。
つまらない世間をぶち壊したいという思いを表現した ──『恋の罪』小林竜樹インタビュー
──世界的に注目されている園子温監督の作品で映画デビューですね。今はどんな気持ちですか?
小林:ものすごく楽しみです。初号試写を観た時は客観的に観られずに終わって、あまりよく分からなかったんですが、1ヵ月前ぐらいに改めて試写を観て衝撃を受けました。ものすごく面白い作品に参加させて貰ったんだなと感動してます。公開が待ち遠しいです。
──22歳の男性から観た『恋の罪』はいかがでしたか?
小林:きちんと理解できたかって言うと…女性のことは、ただでさえ分からない、まだ青二才ですから(笑)。たぶん、40歳ぐらいになってみたら、全然違う印象を受けるんだろうなとは思いますね。でも、単純に女性って強いなという印象を受けました。
──どんな経緯で出演することになったのですか?
小林:園さんとは同じ事務所で、若手向けにワークショップを開いてくれているんです。ある時、園さんの課題で、2人1組でケンカのシーンを作る課題があり、披露した時に、「おまえ面白かった」と言われ、今回の役に採用してくれました。
──役柄が決まり、カオルという男をどう思いました?
小林:難しい役だなと思ったんですけど、僕と共通する部分というか、分かるな…っていう部分もありました。それは、刺激のない日常を生きていることがつまらないと思ったり、平然と社会が成り立っていることに対して、それをぶっ壊したいと思っている。そういう部分は共感できました。
──カオルはちょっとした二面性も含んでいましたが。
小林:極端な話を言えば誰にでもあるかなとは思います。人間の多面性というか、プライベートになった時は、誰でも違う顔を出すし。読んだ時はカオルに違和感は持たなかったですね。
──渋谷のラブホテル街というアンダーグラウンドに棲息する役柄ですが、演じるにあたって何か特別な役作りは?
小林:風俗関係の本を読んだり、円山町の事件現場や百件店の辺りを3〜4日、昼夜徘徊してみました。実際にそこで事件があったと思うと、怖くて嫌な気分になるんですが、その夜の街の雰囲気を掴んで、ぞくぞくする感じが出せたらなとは思いました。

あと、撮影前に園さんに、「渋谷に行ってナンパしてこい!」と言われて(笑)。全然ダメだったんですけど、「それがダメだからダメなんだ!」と言われました(笑)。「できる奴は簡単に女をナンパできる」と言われたものの…、結局成功しなかったです。
──カオルはピンクのカラーボールが重要アイテムですね。どんな意味が?
小林:園さんからは直接、ピンクのボールだけについての意味は言われてなかったと思いますが、僕がカオルのバックグラウンドを考えながらピンクのボールに対して思っていたのは、つまらない世間をぶち壊したいというカオルの思いを、ボールを潰したり投げつけたりすることによって表現したい。そんな気持ちでやってました。
──潰すのも投げるのも一発勝負じゃないですか。
小林:ホテルのシーンで冨樫さんたちに投げている時は、本当にきつかったですね。投げている間もずっと園さんから「思いっきり投げろー!笑えーー!投げろーっ!!」と怒号が飛び交い、息する間もなく投げたり笑ったりしてました。大変でした(笑)。
──園監督の撮影現場は厳しいという噂ですね。
小林:厳しかったですね。僕と神楽坂さんはしごかれ方はすごかったです(笑)。でも、映画の現場でセリフを言うのも全部初めての経験だったので、ものの言い方ひとつをとっても、得たものは多かったですね。
──ご自身のことを伺いますが、もともと役者を目指していたのですか?
小林:そうです。高校の時に洋画をたくさん観るようになって、スクリーンの中に生きる俳優が格好良かったので、英語で芝居ができたらいいなと思っていました。そこで、親に頭をさげてオーストラリアの高校に行きました。オーストラリアの学校は、大学みたいにカリキュラムがいっぱいある芸術的な高校だったので、そこで演技を学んで、初めてお芝居をしました。
──どんな映画や役者さんに憧れているんですか?
小林:アル・パチーノが好きです。彼の作品では好きな作品がたくさんありますが、「セント・オブ・ウーマン」は特に好きです。日本人では緒形拳さんが好きです。
つまらない世間をぶち壊したいという思いを表現した ──『恋の罪』小林竜樹インタビュー
──今後、挑戦してみたい役柄は?
小林:英語でお芝居をしたいというのもありますが、もう一つ、マイノリティな役柄もやってみたいです。彼らが社会にぶつけるエネルギーやパワーは計り知れないものがあると、オーストラリアにいて凄く感じました。日本で言えば在日の方だったり。エネルギーがあると言ったらどんな役でもそうかもしれませんけど。
──ありがとうございます。最後に、これから『恋の罪』をご覧になる方にメッセージをお願いします。
小林:『恋の罪』は園作品の中でもどれにも属さない飛び抜けた衝撃作だと思います。女性ももちろんですが、男性が観ても、何かを考えずにはいられない余韻を残すと思うので、是非観て下さい。
2011年11月11日
『恋の罪』
2011年11月12日(土)テアトル新宿ほか全国ロードショー
公式サイト:http://www.koi-tumi.com