ニュース&レポート

包容力を持ち続けることで幸せになれる──『更年奇的な彼女』クァク・ジェヨン監督インタビュー

更年奇的な彼女

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイートする
  • Facebookでシェアする
日韓両国で爆発的なヒットを記録した『猟奇的な彼女』のクァク・ジェヨン監督の最新作『更年奇的な彼女』が4月8日(金)より公開。本作は、大失恋のトラウマから若年性更年期障害と診断されたヒロインが、ひょんなことから元クラスメイトで冴えない男ユアンと同居生活を送り、彼の献身的に支えによって立ち直っていく姿を描いたラブストーリー。ヒロインのチー・ジアを『小さな中国のお針子』のジョウ・シュンが演じ、日本語吹替版を藤原紀香が担当する。映画の公開を前に、プロモーションのため来日したクァク・ジェヨン監督にお話を伺いました。
包容力を持ち続けることで幸せになれる──『更年奇的な彼女』クァク・ジェヨン監督インタビュー
──韓国が舞台の『猟奇的な彼女』、日本が舞台の『僕の彼女はサイボーグ』に続き、今回は中国を舞台に破天荒なヒロインを描きました。どういったアイデアから生まれたのですか?
監督:元々のアイデアは、中国のシナリオ作家が書いた物語です。シナリオ作家といっても、書いた当時は女性警察官でしたが(笑)。ある女性が、卒業式にウェディングドレスで恋人にプロポーズして断られ、それが原因で若年性更年期障害になってしまう。苦しむ彼女を温かく見守る男性がいるというストーリーでした。このアイデアを頂いて、アップデートしながら脚本を描いたのです。
──若い女の子が主人公でありながら「更年期」というキーワードはなかなか思いつかないですね。監督はご存じでしたか?
監督:もちろん「更年期」は知っていましたが「若年性」もあるとは知りませんでした。私の妻が更年期障害になったことも理由のひとつですが、女性の重い痛みに関心をもって欲しい思いもありました。でも、ことさら「更年期」を重く扱うつもりもなく、本当の愛とは何なのかということを伝えたかった。登場人物たちは、他人への包容力を持ち続けることで最終的に幸せになるんです。

ちなみに中国では、若年性更年期障害を表す言葉がなかったみたいで、この映画がヒットしたことで「早更」という言葉が生まれたんですよ。
──ヒロインのチー・ジアを演じたジョウ・シュンさんはキュートで、コロコロ変わる表情も印象的でした。どんな経緯で起用したのですか?
監督:彼女は中国の四大女優の一人で、スポンサーが紹介してくれました。私自身は、演技が上手くて経験豊富な女優さんを望んでいなかったけど、実際に上海で彼女に会って食事したら、演技や更年期についてよく考えてくれていて、他の女優さんと違って監督の意見を尊重してくれる方だと分かったので、一緒に仕事をしてみたいと思いました。実際に演じてもらったら、演技が素晴らしくて感情表現も的確。その上、周囲への気配りが出来る方でした。お酒も強いし(笑)。劇中で酔っ払って千鳥足になっているシーンは、実際にお酒を飲んで演じているんですよ(笑)。
──髪型も可愛かったです。監督のリクエストですか?
監督:最初は、『ラブストーリー』のソン・イェジンのような“おさげ”にしてきたんです。ちょっとイメージが違うと伝えたら、彼女自身が色々試してみて、『僕の彼女はサイボーグ』の綾瀬はるかさんをイメージしたようです。
──日本語吹替版では、ヒロインの声を藤原紀香さんが担当されています。
監督:藤原さんのファンなので嬉しいです。ジョウ・シュンさんの声はハスキーで、少し男性っぽさや年齢が上の印象があったことは少し残念だと思ったんですが、藤原さんが声を担当してくれたことによって、より女性らしい魅力的なキャラクターになりました。お願いできてよかったし、観客の方にも気に入ってもらえると思います。
──チー・ジアと、彼女を見守るユアンのキスシーンも印象的でした。
監督:チー・ジアとユアンは同居しているけど、密接した距離にいてお互いに惹かれ合いながらも気持ちを抑えている状態でした。話す時も顔が近いし、腹筋のシーンもある意味ベッドシーンを連想させますよね。そんな仕掛けをいくつも入れていたら、いざキスシーンの時に二人とも我慢できなかったらしく(笑)、「アクション!」と言った途端、かなり濃いキスをしていました(笑)。私としては、ほんの少し唇をつけてもらえば良かったけど、「待ってました!」とばかりに盛りあがっちゃったんですね(笑)。撮り直して、あのキスシーンになったんです。
──ロケーションも良かったです。発展目覚ましい中国の風景と、庶民的かつ美しい町並みが混在していて素敵でした。
監督:主人公の二人は特に豊かな暮らしではなく、地方の大学を卒業して職場に通っている庶民なので、それをイメージして厦門(アモイ)という都市で撮影しました。厦門は都会的な姿もあるし、埠頭や伝統的な町並みも美しい観光地なんです。日本もそうだど思うけど、北京や上海のような大都市の撮影は苦労するんですが、地方都市はとても協力的なんです。

地元のエキストラの方もたくさん参加しました。結婚式のシーンは、文化財にもなっている教会で撮影したんですが、予め選んだエキストラのほかに、時間がたつにつれて野次馬が席に座りはじめて、どんどんエキストラが増えていくんです(笑)。彼らにも演技をお願いしたら、下手だけど一応出来る。下手だけど本人は大満足しているのが面白かった(笑)。行き過ぎるときもありましたが、中国の撮影は面白かったですね。

あと中国は、美術チームが良い仕事をしてくれました。道や床、石一つでも、発泡スチロールでディテールに拘ってしっかり作る。“バッタもん”を作る技術というか(笑)。本物そっくりに上手に作るんです。“投げられる亀”も作りものだし、豪雨のシーンも大学に40m四方のセットを作ってプールの中に町並みを再現してくれました。
──これまで韓国・日本・中国で撮影していて、役者を演出する上でそれぞれ違いは感じましたか?
監督:3カ国とも似ているけど違いますね。演出というよりも、中国の俳優さんはすごく契約が厳しくて、1日12時間以上演技をしてはいけないし、2時間以上の待機時間があってもいけない。撮影回数も決まってるんです。今回は39日で休まず撮影し、その中で俳優が演技するのは30日。俳優も他のスケジュールがあるので、タイトな中で仕事をこなしていましたね。それに比べると、日本や韓国は条件面では接しやすいと思いました。
──監督の作品には、強い女性というか破天荒なヒロインが多く登場しますが、監督自身が惹かれるヒロイン像なのでしょうか。
監督:惹かれるというか、強く見えるけど、実は内面に弱さを持っているキャラクターを描写するのが好きなんです。実際のところ強い女性ってたくさんいて、特に中国の女性は想像を絶するくらい強いんです(笑)。それに比べると、私の描くヒロインは全然強くないんですよ(笑)。
──最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。
監督:久しぶりに映画を持ってくることが出来ました。この映画を日本映画と同じように愛してくれたら嬉しい。この作品が愛されて、また私も日本で映画が撮れたら嬉しいです。
──次回作『風の色』(現在、北海道で撮影中)も楽しみにしています。
監督:『風の色』もよろしく!古川雄輝さんが良い仕事をしてますよ。
2016年4月7日
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
『更年奇的な彼女』
2016年4月8日(金)よりTOHOシネマズ日本橋・新宿他全国順次公開
公式サイト:http://kounenki-girl.jp