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結果が出た時、何を思うか…自分に耳を傾けたい──水嶋ヒロ『黒執事』インタビュー

黒執事

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2006年から月刊「Gファンタジー」で連載され、海外分を含む累計発行部数1,800万部突破の大人気コミックを映画化した『黒執事』。時代設定を一新した完全なオリジナルのストーリーで描かれる本作は、男装して清玄と名乗り、巨大企業ファントム社を経営する幻蜂汐璃と、清玄(汐璃)に仕えるスーパー執事・セバスチャンが、世界を巻き込む怪事件を追う。知識・教養・品位・料理・武術・容姿、すべてにおいて万能で完璧な執事・セバスチャンを演じるのは、3年ぶりの映画主演復帰となる水嶋ヒロ。主演のほか、共同プロデューサーにも名を連ねた水嶋ヒロに直撃インタビュー。今作に込めた熱い想いを伺いました。
『黒執事』
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──最初はセバスチャン役のオファーを断っていたそうですが、最終的に演じてみようと思ったのは?
水嶋ヒロ(以下、水嶋):スタッフとして携われたのが一番大きかったですね。良い作品を作りたいという一心で1年半かけて台本を作りました。作品に対する愛着もそうですし、この作業は、自分が出たい作品を作っていることとイコールだと思っていて、最終的に出来上がった作品を前に、改めて出演のオファーを頂いた時には、断る理由はなくなっていました。自分がセバスチャンを演じるには、ハードルが高いという思いは変わらなかったんですが、役作りの時間もたっぷり取れましたし、自分の出来る範囲を伝えられる環境にあったので、最終的には、勇気を出してやってみようという気持ちになりました。
──具体的にはどんな部分がハードルが高いと感じましたか?
水嶋:まず、セバスチャンは「全てにおいて完璧」と言われてしまっている役柄で、それを演じるということは、常に気を張っていないといけないし、漫画が原作なので、ビジュアルも既に出てしまっている。そこに寄せていくのは今までやってきた経験上とても大変だし、すごく難しいとわかっていました。漫画を実写化する難しさ、実写化する意味、実写化するからこそ良いという部分を作ることの大変さをよく分かっていたので、気が遠くなる作業だと思いました。はじめから全てが備わっている人がやったほうが良いんじゃないかと思って、最初はお断りしていたんです。
──執事であり悪魔であるセバスチャンを演じるために、50kg台まで絞り込んだそうですね。
水嶋:極言お腹が出た悪魔って満足そうで嫌じゃないですか(笑)。見た目を極力シャープに見せたかったのと、180cmの僕にとって50kg台は未知の世界だったので、もしかしたら病的に近い状態なのかもしれない。その状態が、この役作りにプラスに働くんじゃないか、今まで僕が到達してないところに行くことによって出せる雰囲気を期待できるんじゃないかと思いまして、イチかバチかでやってみました。
──どのように減量したのですか?
水嶋:アクションのトレーニングも減量に繋がったんですが、基本的には食事制限でしたね。現場に入っても続けなければならないので、撮影中はずっとお腹がすいた状態でした。
──執事を演じるための準備は何かされましたか?
水嶋:執事のトレーニングはそれほど多くはなかったんですが、執事指導の方に基礎的なことは教わって、姿勢や優雅さ、上品さはその他から参考にしました。できる限り全身に気を張って、少しでも気の緩みがないように居続けることを意識していました。
──華麗なアクションも見どころでしたが、アクションはどんなトレーニングをしたのですか?
水嶋:4ヶ月間、特訓を重ねました。残酷なシーンではあるんですけど、女性も楽しめるアクションシーンにしたいと思ったので、残虐な動きの中に優雅さや上品さを感じられるアクションを、事前にアクション監督と打ち合わせて作っていきました。

過去にアクションの経験もあったので、どうすれば自分が最高の形で本番を迎えられるか分かっていたので、練習開始時までに本編でやる3つのアクションを全て完成した状態で用意してもらいました。そこから4ヶ月、本番でやることをひたすら反復練習して体にたたき込むという練習方法にしてもらいました。
──アクションシーンには、それぞれコンセプトを設けていたんですか?
水嶋:後半に進むにつれて、対峙する人数が減っていくんです。初めのアクションは、悪魔だということを証明するアクションにしたいので、1対多数、人間を数段上回るアクションで相手を倒していく。その直後に明かされる実は「悪魔」ということに説得力を持たせる必要があるんです。警察署でのアクションは、コミカルとまではいかなくても、少し滑稽なように見えてしまうものにしたくて、気楽に楽しめるアクションにしました。最後はやはりクライマックスなので、1対1の人間を超越した者同士のぶつかり合いに見えるような差別化をはかりました。
──剛力彩芽さん演じる幻蜂家の当主・清玄(汐璃)との主従関係も面白さの一つだと思いますが、この関係性はどういう風に出していこうと思いましたか?
水嶋:人の前では従順な執事に見えるようでも、二人きりになるとそうでもない。形は執事のようなことをやっているけど、精神的には遥か上から見下ろす姿勢でいること。そういった部分を常にもつことで自然と生まれる仲違いが、物語にとって良いスパイスになればと考えていました。
──撮影中に共演者の方々とどう過ごされましたか?
水嶋:この作品に携わるキャストの皆さんには、この現場が楽しい思い出として心に残って欲しかったので、ずっとお話したりしていましたね。
──共同プロデューサとしては、どんな思いで携わりましたか?
水嶋:今回は、俳優出身のプロデューサーという形で携われたんじゃないかと思います。例えば仕上げ作業の時には、俳優出身であることがとても役立ちました。台本を読んだ時に、演じ手側と作り手側が抱くイメージには何かしらのギャップがある。お芝居も演じているからこそ演者の気持ちや狙いが見えたりする。例えば、ある芝居で、感情をピークに持って行きたいところを表現するには、その手前からの芝居が重要だったりする。その大事な手前部分を編集でカットされてしまい、ピーク部分だけを使われてしまうという苦い思いを役者はしていると思います。僕はその演じる人にしかわからない部分を、スタッフとして介在することで埋めたいと思っていました。今回も、お芝居に関して「この役者さんのお芝居はここから使わないと本意の表現じゃなくなる」といった意見を何度も伝える機会がありました。

最終的に、自分がやった作業が共同プロデューサーとしてクレジット出来るものだということでクレジットしてもらったんですが、作業中はそんな意識はありませんでしたね。とにかくいい作品にしたいと思って取り組んでいました。
──ハリウッドでは、役者が監督やプロデュースをすることも多いですが、日本ではまだ少ないですね。水嶋さんは、いずれは監督をしてみたいという思いもありますか?
水嶋:全然考えてないですね(笑)。監督をやるには、人間としてもっと成長しないといけないと思っています。
黒執事
──今回の作品で最も苦労したことは何でしたか?
水嶋:台本を作る作業が、楽しくもあり苦労でもありましたね。なかなか出来あがらないし、キャストが決まるにつれ、書き換える部分も出てくる。撮影中も物理的に難しいことが出てくると、次の日の撮影の部分も書き直して提出したりしました。やはり本作りは一筋縄ではいかないなって思いました。
──今作は20代最後の作品になりました。30代では、俳優として、また、クリエイターとして目指すところは?
水嶋:20代は3年ごとに目標を決めて進もうとしていたんですが、30代は、今やれることを精一杯やるという気持ちが濃くなってきているので、ちょっと受け身になるのかもしれません。とにかくこの作品を観て頂けるように頑張って、その結果が出て、その時自分が何を思うかというところに耳を傾けたいと思っています。
2014年1月15日
『黒執事』
2014年1月18日(土)新宿ピカデリー 他 全国ロードショー
公式サイト:http://kuroshitsuji-movie.jp