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“主演男優”とハートで向き合う──『LOVE まさお君が行く!』大谷健太郎監督インタビュー

LOVE まさお君が行く!

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全国で愛されたテレビ番組「ペット大集合!ポチたま」の人気コーナーの実話から生まれた物語『LOVE まさお君が行く!』。SMAPの香取慎吾主演で映画化された本作は、食いしん坊なダメ犬まさお君(ラブラドール・レトリーバー)と、売れない芸人松本君(香取)コンビが、全国行脚の旅を通して成長していく姿を描いたハートフル・ドラマ。本作の公開を前に、メガホンをとった大谷健太郎監督にインタビュー!撮影の様子やキャストの魅力、犬映画を手がけて感じたことなど伺いました!
“主演男優”とハートや素の部分で向き合う──『LOVE まさお君が行く!』大谷健太郎監督インタビュー
──この映画のメガホンを託された時はどう感じましたか?
監督:僕はこれまで『NANA』とか『ランウェイ☆ビート』といった若者向けに発信した映画が多かったんですけど、今、4歳になる子供がいて、そろそろ親子揃って楽しめるような映画を撮りたいと思っていました。そこへちょうどいいタイミングで、この「ポチたま」のまさお君と、香取さん主演という企画を聞いて、まさに「これだ!」と思いました(笑)。
──バラエティ番組の人気コーナーを物語としてどのように組み立てたのですか?
監督:「ポチたま」の番組の中では、動物と人間は仕事仲間で、同じ価値という大前提がありました。その中で張り合ってぶつかったり上手くいかなかったり、そこから出来ていく絆っていうのが、今までにない犬モノの映画だなと思っていました。

僕が監督として加わる前に、取材を経てある程度の脚本は出来上がっていたので、僕はオンエアされた番組をひと通りチェックして、記憶に残っているシーンや名場面を活かしながら、まさお君と松本君の6年間の軌跡やエピソード、カメラには映っていないバックストーリーを軸にしていきました。
──撮影では、「動物」と「赤ちゃん」は思うようにいかないと思いますが…
『LOVE まさお君が行く!』
監督:『ジーン・ワルツ』で赤ちゃんの撮影を経験してますから(笑)。前回は4人の赤ちゃんを使って何とか撮影したんですが、今回のまさお君は個性が際立っていて、実物のまさお君と一番そっくりなワンちゃんを選んでいたので、そうもいきませんでした。撮影用にもう一匹のワンちゃんがいたんですけど、やはり毛の色や体つきや表情は、どんなに遠くから見ても誤魔化せないので、結局はラブ君だけで撮影しました。言葉が通じないという意味では、赤ちゃんも動物も一緒で大変でしたね。
──最も大変だったというエピソードは?
監督:「待て」とか「伏せ」とか、一度頼んだことはちゃんとやってくれますが、二度三度とは同じタイミングで律儀にやってくれないので、リハーサルからカメラを回して、本番で一発OKを狙うのが基本スタイルでした。出来なかったらもう、「鳴くまで待とうホトトギス」で、みんなが徳川家康みたいな状態になっていましたね(笑)。神社のシーンでは20テイクを超えたあたりで、ラブ君が飽きちゃって、全てを振り切って現場から逃げ出しました(笑)。スタッフみんなで追いかけて何とか撮影しましたけど…。
──そんなこととは知らずに、神社のシーンは素敵でした。
『LOVE まさお君が行く!』
監督:ラブ君もよく付き合ってくれたと思います(笑)。現場のスタッフもキャストも、みなワンちゃんの不思議なパワーというか魅力にハマっていましたね。普通に人間が20テイクも演じていたらピリピリしてくるけど、今回は、映画人として何度でもトライしてみようという気持ちになって、逆にいい雰囲気でした。思い通りにならないっていうのは最初からわかっていたので、名だたる俳優さんたちも、ワンちゃん待ちで3時間でも4時間でも待っていてくれましたね。
──香取さんは忙しい中で、まさお君とコミュニケーションをとって、同時に役作りもお芝居もしなければいけない。大変だったのでは?
監督:香取さんはプロフェッショナルでしたよ。実物の松本君と香取さんは、似てはいないけど、すごくポジティブで元気で、犬が大好きという根の部分が同じでした。

香取さん自身は10代でデビューしていて、長い芸能活動の中でいろいろな芸人さんを見てきてるので、そんな方々の個性を取り入れながらキャラクターを作っていました。香取さん自身もバラエティ番組を持っているし、エンターテイナーで引き出しが多いんですね。すごくいい感じで撮影できました。
『LOVE まさお君が行く!』 『LOVE まさお君が行く!』
──広末涼子さん、光石研さん、成海璃子さんもぴったりはまるキャスティングでしたね。
監督:ワンちゃんの撮影が大変なので、そこは適材適所で「楽」ができるキャスティングでしたね(笑)。広末さんとは初めてご一緒したんですが、撮影前に1〜2時間ぐらい何でもない雑談をして、「その感じで」とお願いしたので、普段の印象がそのまま出ていると思います。光石さんは、“仕事をサボって競馬をやるのが楽しい、ちょっと怪しいディレクター”というキャラを作りましたけど、それでも本人の人柄や良さが出ていると思います。

何しろ“主演男優”がワンちゃんですから、キャストもスタッフも、言葉ではなくハートや素の部分で向き合うことになるので、役柄や立場はあっても半ばドキュメンタリーのように、本人たちの「人となり」を尊重しながら撮影しました。
──撮影は昨年の秋でしたが、その真っ最中に、実際の“まさお君”の息子である“だいすけ君”の訃報が飛び込んできましたね。何か撮影に影響しましたか?
監督:やはり、気持ちが入っていた時だったので、すごくショックでしたね。スタッフも皆、家族の訃報を聞くような感じでした。映画の中にも別れのシーンがあるので、いつか別れがくる、動物は先に逝ってしまうんだという寂しさや喪失感を感じるさなかだったので、「ショックとはこういうことか」と…。僕自身は犬を飼ったことがありませんが、この映画を通して、犬という存在が人にとって、どれだけかけがえのない存在なのか、何を与えてくれるのかを知りました。実は映画の中で、だいすけ君にもゲスト出演してもらおうと考えていて、その前に入ってきた訃報だったので寂しかったですね。でも、そこを乗り越えて前向きに行こうと思いました。

──監督自身について伺いますが、映画監督になるきっかけになった作品や、心の糧にしている映画はどんな作品ですか?
監督:たくさんありますけど、作品というより、やはり小津安二郎監督ですね。ハリウッド映画とは違う映画の面白さがあって、映画ってこんなに深い深い表現ができるものなんだと知るきっかけとなりました。日本映画というものが、アメリカやヨーロッパに負けない歴史と技術と才能があると知るうえで、まずは小津監督だと思います。クランクインする前には、必ずお墓参りをするんです(笑)。同じ墓地に木下恵介監督のお墓もありますが、今年は生誕100年なので木下監督もお参りしました。
──先ほど、お子さんが出来てからファミリー映画を撮りたかったと仰っていましたが、今後はどんな作品を考えていますか?
監督:今まで自分自身がやったことのないジャンルには、チャレンジしたいです。日本映画としても、今回の映画は、犬モノでファミリー向けの大作映画という実写ではあまりなかったジャンルだと思うので、新しいものを切り開くところに立ちたいという意識はあります。元々オリジナル作品もやっていたので、メジャー映画とは別にそっちもやりたいとも思うけど、観客がその時代時代で求めているものをすごく感じるようになったので、映画を作るときには観客の顔を思い浮かべながら作るようになりました。ひたすら自分の作りたい映画を作るという若かりし頃とは違ってきたかな(笑)。
──最後に、これから『LOVEまさお君が行く!』をご覧になる方にメッセージをお願いします。
監督:笑って、泣いて、感動していただいて、最後には温かい気持ちで映画館を後にしてもらえる作品です。小さいお子さんから年配の方まで、家族揃って楽しめる国民的エンターテイメント映画を目指しました。日本映画としてこういうジャンルも成功してほしいと思っているので、是非たくさんの方に観ていただきたいです。
2012年6月20日
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『LOVE まさお君が行く!』
2012年6月23日(土)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
公式サイト:http://www.love-masao.com