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『ザ・マスター』フィリップ・シーモア・ホフマン インタビュー

ザ・マスター

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現在公開されているポール・トーマス・アンダーソン監督の最新作『ザ・マスター』。本作は、第2次世界大戦後の混沌としたアメリカを舞台に、人生の目的を失い、やがて信仰にすがりつく元兵士の姿を描き、人間をあらがえない力で服従させる教祖”マスター”とその妻も絡みあい、人間の深層心理をえぐり出す、刺激的で芳醇なドラマ。劇中で、新興宗教の教祖”マスター”を貫禄たっぷりに演じ、第69回ヴェネチア映画祭で優秀男優賞を受賞、本年度アカデミー賞でも助演男優賞にノミネートされたフィリップ・シーモア・ホフマンのオフィシャル・インタビューが到着しました。
『ザ・マスター』フィリップ・シーモア・ホフマン インタビュー
──この物語は初期のサイエントロジーを参考にしていることで話題を呼びましたが、どんな印象を持ちましたか。
フィリップ・シーモア・ホフマン(以下、ホフマン):僕自身はこの役を演じるにあたって、具体的に誰かをモデルにしたくはなかった。もっと純粋なクリエーションにしたかったんだ。ただ50年代が舞台ということで、当時の人々がどんな雰囲気だったか、ということは参考にしたよ。たとえばノーマン・メイラーの小説に出てくるような人々とか、オーソン・ウェルズなんかをイメージした。とくに気を使ったのは話し方や声のトーンだ。この映画はサイエントロジーそのものに関して描いているわけではない。僕自身はこの作品を父と息子、あるいは指導者と弟子のような関係にあるふたりの男を描いたものだと思っている。べつにカルト的な宗教でなくても、どんなタイプのリーダーシップにも当てはまる物語だろう。人々が権力によって導かれるという現象も含めてね。
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──あなたの演じたランカスター・ドッドは、指導者にしては完璧ではなく、むしろ弱さや脆さが見え隠れします。まるで彼自身もフレディ(ホアキン・フェニックス )を必要としているような。あなた自身はこのキャラクターをどんな風に捕らえましたか。
ホフマン:たしかにふたりはお互いを必要としていたと思う。ランカスターは自分自身をもっとコントロールしたいと望み、もがいていたんだ。彼がフレディに惹かれたのは、フレディが彼の一部にある、ワイルドな面を象徴しているから。フレディもまた、自分自身に対し悩んでいる。だからこそふたりはお互いに惹かれ合い、その邂逅は感動的なんだ。フレディによってランカスターは、自分のパワーを感じることができたのではないかな。
──本作は新興宗教のムーブメントからインスパイアされたことで、アメリカで話題になりましたが、そういう動きをどう思いますか。
ホフマン:それはアメリカに限ってのものではなく、世界の至るところに見られる状況だと思う。つまり人々が権力によって導かれるというね。本来は自分自身を作り変えたい、再創造したいという人がムーブメントを興し、それに感化される者がついていく。アイディアがあって、それによって人々を助けたいという思いもあるのだろうが、それがやがて権力を生み出し、おかしな方向に向いてしまう。ランカスターのやっていることは、多くをフロイトの影響に負っていると思うよ。明らかにフロイト的なセラピーの部分がある。
──ランカスターと妻、彼らの関係についてはどう思いますか。
ホフマン:たしかに彼女は冷静な傍観者で、ランカスターにとってとても重要な人物だけど、彼を完璧に操っているというわけではないと思う。彼女は夫のやっていることを心から信じて、支えたいと思っているんだ。ただ物事をレールに乗せていく上で、彼女はとても重要な役割を果たしていると思う。
──ポール・トーマス・アンダーソン監督、そしてホアキン・フェニックスとの共演はいかがでしたか。
ホフマン:ポールはとても柔軟で、いつもその場の状況に合わせてやり方を変えてくれるから、特に今回だけ事情が異なるようなことはなかったよ。ホアキンとの共演は素晴らしい体験だった。彼はとても献身的で役にすべてを投入する。そういう俳優を見ていると、こちらもとてもインスパイアされるものなんだ。
2013年4月3日
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『ザ・マスター』
2013年3月22日(金)TOHOシネマズ シャンテ、新宿バルト9ほか全国ロードショー