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『サラエボ、希望の街角』/ヤスミラ・ジュバニッチ監督オフィシャルインタビュー

サラエボ、希望の街角

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『サラエボの花』で、2006年ベルリン国際映画祭金熊賞に輝いたヤスミラ・ジュバニッチ監督の長編第2作目『サラエボ、希望の街角』。前作に引き続き、ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボを舞台にした本作は、過酷な紛争の記憶が今もなお残るなか、明日を信じてひたむきに生きる女性ルナの姿と、新たな歴史を刻もうとしているサラエボへの愛を描いた感動作。2月19日の公開を前に、ヤスミラ・ジュバニッチ監督のオフィシャル・インタビューが到着しました。
『サラエボ、希望の街角』/ヤスミラ・ジュバニッチ監督オフィシャルインタビュー
──ヤスミラ監督が本作を作ろうと思われたきっかけ、そして、どのようなプロセスを経てこのお話しを生み出されたのかを教えてください。
監督:私は恋愛関係において、他人を受け入れるのかということを探ってみたかったのです。日常における些細な障害は、愛しあう二人に違うリアクションをもたらます。人は、日常生活が変化していき、その変化を受け入れるためには違ったリアクションをとるものです。

また、私は恋愛関係の中で自分自身に正直でいられるかということも突き詰めてみたかったのです。一連の感情、習得した知識、恋愛関係を形成する経験や想像を。私たちが信じるこの世界に対する見識は、私たちがセックスをする時、その体のリズムにどれだけの影響を与えるものなのでしょうか。
──前作『サラエボの花』では、紛争中にレイプされたことによって生まれた娘と母の葛藤を描いた作品でした。『サラエボ、希望の街角』では、対照的に子供を産むべきか産まないべきかの選択をする現代女性の繊細な気持ちの変化を丁寧に描かれていますが、前作『サラエボの花』で描いた母親を経て、今回ルナという女性の生き方に込められた監督の想いを教えてください。
監督:『サラエボの花』の主人公エスマには、子供を産むか産まないかという選択肢はありませんでした。収容所でレイプされ、中絶ができない時期までそこで監禁されていたからです。一方、『サラエボ、希望の街角』の主人公ルナは、仕事があり、自分を愛してくれる恋人との幸せな生活を信じ、そして子供を望んでいます。しかし環境が変わってしまい、女性としての根本的な疑問を持つのです。一番大切なことは彼女は自分ことは自分で決められるということです。
──ルナが、紛争で離れざるを得なかったかつて住んでいた家に戻るシーンで、今そこに住んでいる少女に「どうして出て行ったの」と聞かれ、ただ頭をなでるシーンが印象的ですが、ここでルナは語りません。このシーンでルナが考え、受け止めたものとは、何でしょうか?
監督:ルナは、10年以上の間行くことのできなかった昔の家を訪ねます。彼女が子供の頃、町がセルビア軍に占領され家を追い出されたのです。彼女の両親は殺されました。かつての自宅への訪問は彼女にとってはとてもエモーショナルな瞬間なのです。まず、行こうと決心するまでかなりの努力が必要でした。それは今、自分の人生に起こっている目の前の一大事を決心する上で、過去と対峙し過去の問題を解決することが必要だと彼女は思っていたのです。

現在、昔のルナの家に住んでいる少女は敵の「娘」で、その子は「ここは私の家なの」といいます。ルナはすぐに「いいえ、ここは私の家よ」と言い返したかったのです。しかし彼女はこの少女もかつての自分と同じく、子供自身には何の罪もないことに気づくのです。そしてルナは彼女に愛を与えました。彼女はその子に自分自身を発見し、そして自分自身を勇気づけたのです。この愛が彼女を動かす力となりました。
──紛争前のサラエボは、異なる民族や宗教がおおらかに共存する世界的にも稀に見る人々にとって理想の街だったとお聞きしています。不条理で不寛容な社会状況は今や世界的な現象です。監督の考えるサラエボのこれから歩むべき未来、世界がこれから歩むべき未来はどういう姿でしょうか?
監督:この答えは私こそ知りたいのです(笑)。これをクリアに答えられる人も、クリアな答えもないと思います。サラエボはもっとポジティブな形で過去のトラウマ的な経験から抜け出す方法を見つけないといけないですね。これは簡単ではないのです。経済的状況が自由を許さない現状ですから。文化面での寛容さ、異質なものへの愛、他者への恐怖をなくすこと、新しいものや知らないものへの過剰反応をなくすなどでしょうか。私がいつもこれに対して一番大切と思っていることは物事を理解する上で、何でも決して1つではないということです。残念ながら、私たちの文明や経済は操作から成り立っております。この操作はみなが同じ方向に向くという性質上成り立っているのです。しかし人生というのはさまざまであり、その美しさを享受すべきなのです。
──ラスト・シーンでルナが見せる凛々しくも澄みきった表情がとても印象的です。ルナの潔く、自分に正直に生きる姿勢がよく表れていると思われますが、このラストに監督が託したメッセージはなんですか?
監督:まさにあの場面のルナは自身の中にある真実にたどり着いたのです。彼女は大いに変化しました。彼女は自分の人生がアマールの人生から違った方向へ進んでいると気づいたのです。そしてその新しい道がどんなに大変なものであっても進んでいこうと決めたのです。それは彼女の決断であり、彼女のための人生なのです。
──最後のルナの決心について伺いたいのですが、何か監督自身の考える結論はありますか?
監督:もちろん!しかし、私は観客たちに、自分たちなりの解釈をしてほしかったのです。これは決して観客をトリックで翻弄しようとか、そうした意図ではないのです。誤解しないでくださいね。私はあくまでも観客たちに結論を委ねどのように話が終わるのかを自分なりに決めてほしかったのです。私がこの映画製作の過程で重なる旅を通じてさまざまな答えに出会いました。西欧ではルナは子供を中絶し二度とアマールには会わないだろうと、東欧では彼女は子供を生んで一人で育てるだろうと。また最後のシーンでのアマールの視線にもいろいろ意見がありました。彼は彼女に戻り、また仕事も得るだろうと。私はこの映画が、人々を自分自身なら人生においてこのような重要な事に対しどんな決断を下すのかという自分の深層心理を知るきっかけになればうれしいです。
『サラエボ、希望の街角』
──日本の観客へ、一言メッセージをお願いします。
監督:この映画を日本の皆様に見て頂く機会を与えて頂きとても光栄に思っております。
私は日本の観客をとても尊敬しており、皆様が映画を気に入ってくださると何よりです。
前回、日本から持ち帰った2つのものを今回の映画の中にとりいれています。どなたか気づきましたら教えてくださいね。
2011年2月17日
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『サラエボ、希望の街角』
2011年2月19日(土)岩波ホールほか全国順次ロードショー!
公式サイト:http://www.saraebo-kibou.com/