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仕事にならないくらい笑い転げた撮影現場──タイNo.1ヒット『愛しのゴースト』監督インタビュー

愛しのゴースト

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タイで『アナと雪の女王』『アバター』を抑え、歴代興行収入No.1のメガヒットを記録した映画『愛しのゴースト』。本作は、タイに伝わる怪談話に大胆なアレンジを施し、1組の夫婦とその4人の親友の、“ゴースト”をめぐる大騒動をアトラクション感覚満載で描いたホラー&コメディ&ラブロマンス。映画の公開を前に来日した、パンジョン・ピサンタナクーン監督に直撃インタビュー。完成までの経緯と撮影現場を振り返っていただきました。
仕事にならないくらい笑い転げた撮影現場──タイNo.1ヒット『愛しのゴースト』監督インタビュー
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──もともとの題材が、古くから伝わる怪談話「メイナーク」だそうですが、タイ国民の間ではどのように伝えられていた物語なのですか?
監督:100年以上前のお話だと思いますが、愛の伝説であり、怖い話として知られています。16年前に同じ題材で『ナンナーク』という映画が公開されましたが、愛の素晴らしさをドラマの視点で描いており、それが史実に忠実なものとしてよく知られています。
──その怪談話をコメディタッチにしたのは? 日本では四谷怪談に匹敵する怪談話と聞いて、本作のはじけたコメディ要素と怪談話が結びつかなかったもので…
監督:メイナークの話は、変わったバージョンが色々あって、例えば「メイナーク、アメリカへ行く」みたいに、セクシーなメイナークが主人公だったり、「メイナーク、日本突入」「メイナーク、ゴーストに遇う」みたいに、ゴジラやゾンビに会うといった異色のバージョンも沢山あるんです(笑)。

最初からコメディとして進めていましたが、やはりこの物語の核となるのは「愛」なので、最後は愛で終わるという作りにしたかったんです。ですから、コメディ要素となる基本的なアイデアや重要なギャグは、ほとんど1日で決めてしまいました。しかし、愛の素晴らしさとマークの視点という新しい要素が欲しかったし、エンディングについてアイデアが沢山ありすぎて、何度も脚本を書き直し、結局、脚本には1年半かかりました。オリジナルの物語の筋を損なわないように最善を尽くして、他のどの作品とも際だって異なるものになったと思います。
──マークとナークの愛のかたちも素敵でしたが、マークの親友の腰抜け男子4人組が大好きです(笑)。ホラー映画から始終、男性の叫び声が聞こえてくるのも新しいですね。
監督:この4人は、『4B1A』『Phobia2』を作ったときに、面白い仲間で集まってもう1本映画を作ったら楽しいだろうと感じていて、今回のキャラクターに合うと思って選びました。実は、叫んでいるのはドゥー役一人だけなんですが、彼は悲鳴で人気がある俳優なので、それを取り入れておかしみを出したんです。私も時に仕事にならないくらい笑い転げました。俳優達は誇るべき演技をしてくれましたし、配役も完璧に合っていたと思います。
──怖さと笑いがめいっぱい詰め込まれていて、やはりホラーと笑いは紙一重なんだなと感じました。
監督:同感です。人間って、怖すぎると笑う傾向があると思うんです。怖いシーンの後の笑いは、怖さを洗い流す効果があると思うし、他人が怖がっていたり、運が悪いところを見るのは意外と笑えるもんなんですよね(笑)。
──ナーク役のダビカ・ホーンさんは、紅一点ですね。彼女の演技にはコメディ要素が一切ありませんが、現場ではどのように過ごしていたのですか?
監督:笑いたかったでしょうけど、我慢していました(笑)。メインの2人はスーパースターを選びましたが、もちろん演技のオーディションを経て決めています。彼女は当時21歳で、皆を「お兄さん」と慕っていて、すごくフレンドリーなので皆に可愛がられていました。
──撮影で大変だったこと、印象に残っていることは?
監督:物語の80%が夜のシーンだったので、撮影は疲れました。屋外でスモークを焚くので、体調を悪くするスタッフも続出して、私もフラフラしていました。釘を踏んだ役者もいましたが、何より、叫んだり走ったりですごくエネルギーを使う現場なので、声が出なくなってステロイドを打った役者もいました。
──その苦労を経て、タイでは歴代興行収入No.1のメガヒットを記録しました。この結果は製作当時からある程度確信できていましたか?
監督:すごく面白い映画になることは予想できましたが、ここまで成功するとは思っていなかったので、会社は大ショックです(笑)。GTH(製作会社)もそれなりの大作としてこの映画に投資していましたが、これまでGTH社で1億バーツを突破したのが『ATM』('12)という作品だけでした。それが、本作ではたった4日間で1億バーツを超えたので、ビックリです(笑)。
──コメディとホラーは、タイでヒットしやすい要因だったのでしょうか?
監督:やはり受け入れられやすい要素はあると思うし、そういった要素の映画は沢山作られています。しかし、本作がヒットしたのは、やはり感動させる要素とアイデアが良かったんだと思います。ジャンルが良くても、必ずしもヒットするわけではありませんから。
──日本では昨年、福岡・京都の映画祭で上映され、今年はしたまちコメディ映画祭で上映されました。日本の反応はいかがでしたか?
監督:温かい反響でした。タイ映画の熱心なファンがいて、以前、大阪のアジアン映画祭で会った方に、数年後に福岡で会うこともありました。今回のしたまちコメディでは、『心霊写真』のポスターを持ってきてサインを求められ、制作者として感動しました。
──この映画のヒットで、次回作への期待度も要求も高くなると思いますが、今何か考えられていますか?
監督:次はタイ映画ではなくて、中国映画になりそうです。チャウ・シンチー監督からお誘いがあって、中国人俳優で、中国語をしゃべり、中国市場で公開される映画となります。私も凄く興奮しています。
2014年10月9日
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『愛しのゴースト』
2014年10月18日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート六本木ほか全国公開