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伊勢谷友介 VS 田中泯は、僕にとって夢の対決 ── 『るろうに剣心 京都大火編』大友啓史監督インタビュー

るろうに剣心 京都大火編

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2012年に公開され大ヒットを記録した映画『るろうに剣心』の続編として、2部作で連続公開される『るろうに剣心 京都大火編』(8/1公開)と『るろうに剣心 伝説の最期編』(9/13公開)。今作は、原作ファンの間で最も人気の高い「京都編」をベースに、“人斬り抜刀斎”としての過去を捨てた剣心が、“人斬り”の後継者となった志々雄真実との闘いのため、因縁の地・京都へと向かう。前作を大きく上回る超絶アクションはもとより、<不殺の誓い>をたてながらも、日本制圧を目論む最強の敵を前にした剣心の葛藤と、新たな登場人物との緻密なドラマが展開する本作。メガホンをとった大友監督に、本作に込めた想いと見どころを語っていただきました。
伊勢谷友介 VS 田中泯は、僕にとって夢の対決 ── 『るろうに剣心 』大友啓史監督インタビュー
──資料によると、『京都編』の制作を目指しつつ前作の『るろうに剣心』があり、小岩井プロデューサーは前作の撮影の段階で続編への手応えを感じたとのことです。監督としては、いつ頃から手応えを感じていましたか?
監督:僕自身は、作品が出来上がって公開された時のリアクションを見てからですね。海外も含めて熱狂ぶりが凄かったので、やはり「るろうに剣心」は、もの凄く可能性があるコンテンツだなと思いました。90年代の「週刊少年ジャンプ」を代表する作品だし、熱狂的なファンも多いですからね。「ONE PIECE」や「ドラゴンボール」のような海外でも受け入れられやすいキャラクターではなくて、日本という国特有の歴史の部分を描いた「るろうに剣心」が、サムライのキャラクターとして広がっているのは驚きです。

もともと多くの人を巻き込む熱を持っている原作ですからね。その熱を無視して“作りたいから作る”ってわけにはいきません。三部作でやりたいという気持ちでスタートしてはいますが、京都編は、作り手からすると越えなければならないハードルが多すぎるので、挑戦したいという思いと、果たして原作を超えられるかな?という思いとで、常に揺れていました(笑)。実際に公開後のリアクションを見て、待ってくれている人は日本だけじゃないんだと知り、少しずつ前向きになりました。
──前作は“アクション一点突破”と聞きましたが、今回はドラマの部分もより複雑になりアクションもさらに進化していました。前作超えを踏まえつつ、アクションとドラマのバランスをとるのは難しかったのでは?
監督:難しいですね、それは(笑)。前回は、この手のアクションが今までなかったので、初めて見るという鮮度の高さも含めて、アクションの凄さで一点突破できるという判断もあった。今回は当然、色んな人物の関係性や、それぞれの感情がよりうねり始める。志々雄の剣心に対する感情、剣心の志々雄に対する感情、一作目を通して出来上がった仲間達、御庭番衆らそれぞれの感情とモチベーションがドラマとしてうごめく構造になっているんです。

新しい時代が来て士農工商という身分制度が崩れ、刀で生きてきた侍がその地位を失い、彼らの心の拠り所がなくなる。日本が戦争に負けた時もそうだけど、大きく時代の価値観が動く時こそ、そこに上手く乗れる人と乗れない人がいますよね。『るろうに剣心』はある種、時代に置いてきぼりを食らった人たちがメインの物語ですから、当然、嫉妬や怒りなど色んな感情が高まるし、物語の温度が高くなるんです。

それに、前回は神谷薫と出会い、神谷道場を守るというシンプルな話でしたが、今回は新しい時代を守るという話になります。志々雄に殺された警官たちの遺体が並ぶ中庭のシーンで、剣心はリアルに、家族を失う人が何千何万になってしまうかもしれないことを想像していくんですね。国のためとか大義名分ではなく、過去に自分が心を痛めた“巴の慟哭”をこれ以上増やしたくない、そんな思いで剣心は動いていきますから。どうしたってドラマの構造もスケールも大きく深くなります。

アクションは、谷垣健治率いるアクションチームがいるので、その凄さは確実に担保が取れています。間違いなく前回より上のものをお見せ出来ますが、一方でそこに感情をしっかり乗せていかないと、アクションだけがインフレを起こしてしまう。ただ凄いアクションで終わらせないように、闘いに至る経緯、闘う理由を、観ている側が共鳴できるかがもの凄く大事なので、それぞれがどんな思いを積み重ねて剣を合わせているのか、役者にしっかり理解してもらって演技の一部という意識でアクションに臨んでもらっています。
──志々雄真実役の藤原竜也さんとのお仕事はいかがでしたか?
監督:藤原君は舞台役者から始まっているので、会場の隅々まで届けるパフォーマンス、訴求力がもの凄いんですね。顔を隠され、あれだけ動きづらいスーツを着せられてのアクションは拷問ですが(笑)。そのうえでのパフォーマンスとカリスマ性を出すってところの藤原君の凄みは、現場で撮っていても「スゲーな…ハンパねーな」って思いましたね。

志々雄はあの時代に何人もの兵を従え、主役として新しい時代を構築しようとした、いわば“志々雄劇場”の当主です。そういった志々雄のような劇画的なキャラクターでこそ藤原君の持ち味がより活かされると思うんです。『伝説の最期編』での剣心と志々雄の戦いは凄いことになってますよ。藤原君じゃないと出来ないような舞台を用意しているし、映像において彼のベストパフォーマンスじゃないかと僕は自画自賛しています。顔は見えませんけどね(笑)。
──伊勢谷友介さんのアクションも素晴らしかったです。
監督:蒼紫は、『〜京都大火編』では「抜刀斎!」「抜刀斎はどこだー」「どこにいる抜刀斎」しか言ってませんよね(笑)。その辺歩いていたら通報もので、危なっかしくてしょうがない(笑)。

伊勢谷君と田中泯さん(翁役)は、僕にとって夢の対決でした。アクション映画ファンに例えると、ジャッキー・チェンVSブルース・リーみたいなもんです。本当は闘わなくても、表情と佇まいだけ、にらめっこだけで勝負できる二人なんですよ(笑)。知性と驚異的な身体能力を備えた二人が肉体アクションで勝負するってところが良いですよね。野蛮な戦いとはまた違う、この二人ならではの気品ある闘いになっています。

あと、蒼紫が翁を斬る時、蒼紫をよ〜く見ると、目にスッと涙を浮かべているんですね。その辺が、伊勢谷オリジナルなんです。ポロッとでは恥ずかしいし、クールな蒼紫が蒼紫ではなくなる。相手を蔑むように見ながらも、そこに情が見え隠れする。今回の映画ではそういうことを一人一人がしっかりやってるんです。

『るろうに剣心』はどうしても派手なところに目がいくんですけど、観れば観るほどに感情移入と感動するポイントが変わってくると思います。何度でも視聴に耐えるような作りにしているつもりです。細かいディテールまで読み取れなくても、単純に面白いと思いますが、観ていると全ての登場人物に必ず感情移入できるし、グッとくるシーンはたくさんあると思いますね。
──神木隆之介さん、土屋太鳳さんなど他の新キャストについて
監督:子役出身の俳優は小器用に演じる人も多いですが、神木君は全くそれとは逆でもの凄く骨の太い子だと思いました。文系男子のイメージもありましたが、『伝説の最期編』まで観てもらうとわかるけど、アクションを含めた彼の新しい魅力が出ていると思います。太鳳ちゃんも頑張りましたね。『伝説の最期編』ではまた御庭番衆のドラマも始まりますから、新たな魅力を発揮していると思います。あとは、滝藤(賢一)君ですね。ガトリングガン持たせて、ポスト香川照之として楽しんでいただきたい(笑)。そっち系の濃い〜キャラクターも揃ってます(笑)。
──神木さん演じる宗次郎との戦いで逆刃刀が折れてしまいますが、逆刃刀の生みの親・新井赤空が刀に刻んだ「子に恨まれんとも孫の世のため」にも、矛盾と葛藤する剣心の思いを感じました。
監督:剣心は、相手が自分を殺そうとして向かって来るのに、その敵に対しても<不殺の誓い>を守ろうとする。剣心の贖罪の深さや絶望の深さ、剣心のその変わらないスタンスは、繰り返し繰り返し強調されていかなければいけない。

映画の主人公って成長しますが、剣心は成長するというよりは、常に変わらないんですね。「二度と人は斬らない」と誓い、自分の目に映るものを、斬れない逆刃刀で守っている。ただそのことだけをずっと続けてきた。今回はより多くの人々の命と新時代の運命を背負い、敵も強大になりますが、「それでも殺さない」。どんどんハードルをあげても「何が起きても殺さない」と。実は逆刃刀を刀匠も同じ思いを持って生み出していたんだということを再確認して、その思いをより一層強く深くしていく。その辺りが剣心のドラマの見どころだと思います。

そのうえで『伝説の最期編』では、志々雄一派との戦いで本当に殺さずに戦えるのかがテーマになるんです。それを師匠からも突きつけられる。剣心は人斬りに戻って戦うのか、果たしてそれでも<不殺の誓い>を守るのか…。それを見守る薫と一緒にハラハラドキドキしてほしいですね。
──この世界においてなお、殺さずに志々雄を倒せるのか…心配です(笑)
監督:そうですよね。殺さずに志々雄と闘って、結果、何が生まれるのか。倒すってどういうことなのか、結論は誰がどう出すのか。単純に善が悪を倒す物語ではないですからね。

志々雄に対しては、剣心にも複雑な感情があるわけです。最初に大久保利通が剣心に「志々雄を討て」と頼みますが、剣心は大久保と目を合わせないですよね。自分も志々雄と同じ“人斬り”だったし、政府に使い捨てのように扱われたうえ焼かれていたら…と考えると、その時の剣心の気持ちは志々雄に傾いているのかもしれない。結局二人は同じ穴の狢というか、使われた側の人間の一人。歴史に弄ばれた二人が新しい時代に運命の再会を果たし、どんな風に戦うのか、ドラマの構造としても、もの凄いドラマチックになっています。

何度か観ないと気づかない部分もあるので、是非、良いコンディションで何度も観てくださいね(笑)!
2014年8月11日
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『るろうに剣心 京都大火編』
2014年8月1日(金) 『るろうに剣心 京都大火編』、9月13日(土) 『るろうに剣心 伝説の最期編』丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国ロードショー!