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映画『最終目的地』ジェームズ・アイヴォリー監督 オフィシャルインタビュー

最終目的地

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『眺めのいい部屋』『ハワーズ・エンド』『日の名残り』など映画史に残る文芸作品の名作を生み出してきたジェームズ・アイヴォリー監督最新作『最終目的地』。本作は、南米ウルグアイを舞台に、亡き作家の妻、愛人、兄とその恋人、そして作家の伝記を執筆するために訪れたひとりの青年が織りなす人間模様を描き、人生のあり方と愛を見つめ直すヒューマンドラマ。出演陣にはアンソニー・ホプキンス、ローラ・リニー、シャルロット・ゲンズブール、真田広之など国際的に活躍するスターの競演が実現。人生の“最終目的地”へと向かう人物たちを、静かにかつ情感豊かに演じ、格調高い物語を紡ぎだす。10月6日の公開を前に、名匠ジェームズ・アイヴォリーのオフィシャル・インタビューが到着しました。
映画『最終目的地』ジェームズ・アイヴォリー監督 オフィシャルインタビュー
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──原作は2002年に出版されたピーター・キャメロンの長編小説ですが、この小説のどんなところに惹かれて映画化を決意したのでしょうか?
監督:実際、物語の舞台が南アメリカでしたし、この土地はわたしが十代の頃からずっとこの目で見たかった場所でした。ですから、わたしがそこへ行って撮影するいい口実となりました。作品の主題である、みずから新たな生活に乗り出そうとしている亡命した外国人は、昔ながらのマーチャント・アイヴォリーのひとつのテーマですし、わたしにとっては決して飽きることのないテーマです。わたしたちの以前の作品である『上海の伯爵夫人』もそのテーマを追求した作品でした。
──本作はひとりの亡き作家をめぐる複雑な人間関係、利害、愛憎の物語で、登場人物が多種多様で錯綜していますが、一番興味をもったキャラクターは誰ですか?
監督:今回の『最終目的地』の中で、わたしの好きな登場人物はアダムとピートです。彼らはある意味で、一緒になってひとりの男性的な思いやりのあるキャラクターを作り上げています。それに舌鋒鋭いキャロラインとディアドラもわたしは気に入っています。この二人は意志の強い、いくぶん思いやりに欠ける女性たちですけどね。
──アルゼンチンの熱暑の中での撮影は困難が多かったと思いますが、一番大変だったのはどのシーンですか?
監督:暑さはそれほど大変ではありませんでした。アルゼンチンの撮影クルーは暑さに慣れていましたし、イギリスのクルーは暑い気候を好んでいました。とても暑い時期の都市での撮影のほうがより大変だと思います。最も撮影が困難だったシーンはオマーが蜂に刺されて木から落ちるシーンと、ブエノスアイレスで撮影したラストのモーツァルトのオペラシーンでした。
──長年の同志・盟友であったイスマイル・マーチャントさんが亡くなってから初めての作品ですが、過去のアイヴォリー作品におけるマーチャントさんの役割を教えてください。
監督:以前はいつでもわれわれ二人でプロダクションを率いて、励まし合い、ときには鼓舞し合い、よく愛情も分かち合ったものでした。今ではたったひとりですべてをやらなければなりません。それにイスマイルがいないと、まわりの人間もみんな以前よりずっとつまらなくなりましたよ。彼に代わる人間はどこにもいません。
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──アンソニー・ホプキンスさんとのコラボレーションで最も配慮するのはどんな点ですか?
監督:アンソニー・ホプキンスには、もっとも正確に語られなければならない台詞、プロットに関する情報を提供したり、プロットに彩りを添えたりする台詞が、非常にたくさんありました。それでわたしは、彼がそういった台詞をいつもの力強さと優雅さでいえるように準備をしてリハーサルをするだけの時間があるかを確認しなければなりませんでしたが、これが必ずしも容易なことではありませんでした。彼はあまり長い時間わたしたちと一緒にはいられなかったからです。ちなみにシャルロット・ゲンズブールとローラ・リニー演ずるアーデンとキャロラインも、物語に必要な背景をたくさん伝えなければならない役柄でしたから、二人とも撮影中はほとんどずっとわたしたちと一緒にいました。
──アイヴォリー作品2作目の出演となる真田広之さんはいかがでしたか?
監督:真田広之さんと一緒に仕事をするのは、わたしにとっていつでも楽しい経験です。彼は作品に、人間味のある力強い存在感を与えてくれますし、さらには軽妙なユーモアやセクシーさも醸し出してくれます。
──最後に、日本のファンと観客に向けてメッセージをお願いします。
監督:『眺めのいい部屋』『モーリス』『ハワーズ・エンド』の頃から“マーチャント・アイヴォリー”を応援してくれている日本の観客の皆さんが、私が一人になった今も応援してくれていることを、このうえなく嬉しく感じています。心から感謝と愛を。
2012年10月4日
『最終目的地』
2012年10月6日(土)より シネマート新宿 他全国順次公開
公式サイト:http://www.u-picc.com/saishu/