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映画『ソウルガールズ』ウェイン・ブレア監督オフィシャルインタビュー

ソウルガールズ

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実在したアボリジニ初の女性ボーカルグループ“サファイアズ”の奇跡の実話『ソウルガールズ』が、1月11日(土)より全国ロードショー。舞台で大成功を収めた物語を映画化した本作は、1968年のオーストラリアを舞台に、スター歌手に憧れたカントリーミュージック好きの3姉妹といとこが、“自称敏腕マネージャー”にソウルミュージックを叩き込まれながらスター歌手へと駆け上がるシンデレラ・ストーリーが描かれている。メガホンをとったのは、ベルリン国際映画祭でクリスタル・ベア短編映画賞を受賞し、本作で初の長編を手がけたウェイン・ブレア監督。日本公開を前に、ウェイン・ブレア監督のオフィシャルインタビューが到着した。
映画『ソウルガールズ』ウェイン・ブレア監督オフィシャルインタビュー
──この作品との出会いについて、教えてください。俳優として、元となった舞台“Sapphires”に出演されたそうですが、その時にどんなことを感じましたか?
監督:私をこの物語に導いてくれたのは、トニー・ブリッグスでした。この物語は彼の母親が元になっています。トニーが舞台のために書いた芝居に私が出演していたのです。観客はこの芝居の精神を愛し、最後にはいつも席を立って踊っていたので、この物語がすごい作品であることに気づいていました。それが2005年のことで、その頃からトニーと一緒に映画化へ向けて動き始めていました。
──大好評を博したという舞台作品を映画化するきっかけは?また作品をつくるにあたって気をつけた点や舞台から変更した個所はありますか?
監督:オーストラリアや世界中のほとんどの人が今まで聞いたこともないような、他にはない真実の物語だと思ったからです。心や魂が伝わってくるオーストラリアに根付く物語です。それに音楽も最高でした!

映画化するにあたり、脚本はいろいろと書き換えましたが、伝えるべき魂とエネルギーの部分についてはほとんど同じです。トニー・ブリッグス(元の舞台の脚本家)はキース・トンプソンと一緒に脚本を仕上げました。トニーは舞台と映画の違いをよく理解していましたね。
──映画化するにあたり、参考にした作品はありましたか?そのタイトルは?
監督:映画の物語のアイデアを得るために、いろいろな映画作品を見ました。自分が映画を作るうえで大きな手助けとなった作品を1つ挙げるとすれば『ザ・コミットメンツ』でしょうか。
──ファッションやベトナム戦争シーン等時代背景を描くことも難しかったと思いますが、苦労された点は?
監督:戦争シーンのほとんどはオーストラリア国内で撮影し、その後、ベトナムに行ってサイゴンのシーンを撮りました。今はホーチミンと呼ばれているサイゴンの町は戦後大きく変わり、車とバイクが行き交う大都市です。1968年の雰囲気が残る場所を探すのはとても大変でした。現地で協力してくれたベトナム人のクルーは素晴らしかったですね。衣装は我々の衣装デザイナーが大きな市場で60年代の古着を見つけてきました。ベトナムでは作るための材料が何でも手に入るので、美術スタッフはサファイアズが宿泊するホテルのインテリアも作りました。ホテルの撮影場所となったのはSaigon Art & Galleryで、意外にも我々の撮影を快く許可してくれました。
──監督が一番こだわったシーンはありますか?また一番苦労したシーンは?
監督:最も苦労したシーンはエンディングへ向かう戦闘のシーンで、たくさんのエキストラや銃、戦車やヘリコプターが必要になりました。大人数を動員したので、確認のため何度もリハーサルを行いました。
──家族の絆も重要なテーマになっていると思いますが、姉妹や家族について、どんな店を意識されて演出しましたか?
監督:この映画で伝えたいのは家族の大切さです。アボリジニの人々が苦痛を味わった「盗まれた世代」は1970年代に入るまで続きました。議論を呼んだ政府の方針によってアボリジニの子供たちは自分の家から引き離され、白人の家族や施設へと預けられました。この政策によって家族は引き裂かれてしまったのです。この問題については、映画では“盗まれた子供”の1人であるケイに焦点を当てて、家族から引き離され白人の文化に馴染んだ後、再びアボリジニの家族と一緒になることの難しさを描いています。ケイはサファイアズとしてベトナムを訪れることで、自分の家族と文化へ戻ることになります。
──60年代、米国で公民権運動が盛んだった時代の、オーストラリア先住民の人々に対する厳しい差別が描かれています。脚本のトニー・ブリッグスとはどのような話をしたのか、戦争や差別体験について、ブレア監督ご自身は生まれる前かもしれませんが、当時のことを、ご両親や親戚の人などから伝え聞いていますか?どのようにリサーチをしたのでしょうか?
監督:幸いなことにアメリカの公民権運動については、当時のメディアの詳細な映像が残っていました。
──本作の見どころはやはり4人の主演女優のステージシーンだと思いますが、キャスティングはどのように進めていかれたのですか?また、クリス・オダウドのキャスティングについても教えてください。
監督:サファイアズの女性メンバーをキャスティングするために、全国規模でオーディションを行いました。オーストラリア全土でオーディションを行いましたが、オーディションはとても素晴らしかったですね。そして最終的にすでに有名な2人のオーストラリア人パフォーマーをキャスティングしました。ゲイルを演じたデボラ・メイルマンは素晴らしい役者で、最年少のジュリーを演じたジェシカ・マーボイは、オーストラリアで最も有名な女性ミュージシャンの1人です(オーディション番組「オーストラリアン・アイドル」で発掘された)。そして2つの新しい才能、オーストラリア国立演劇学院を卒業したばかりのミランダ・タプセルとシャリ・セベンズを起用しました。クリスはとにかく面白い人で、『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』での演技を見た時に、デイヴの役を演じるのは彼しかいないと思ったんです。
──本作で60年代のヒット曲が数々と出てきます。音楽プロデューサーであるブライオン・ジョーンズと話し合いながら楽曲を決めていたそうですが、選曲するにあたってのポイントはあったのですか?
監督:音楽プロデューサーのブライ・ジョーンズ(本名ブライオン・ジョーンズ)は、経験豊富かつ成功を収めているオーストラリアのプロデューサーで、ポップ・ソウル音楽ユニット「Rockmelons」結成時のメンバーでもあります。私は彼と一緒に物語の時代に合った音楽を探すことにしました。それで『ソウルガールズ』の音楽についてブライと話をしている時、私がこれまでにストックしてきたお気に入りのソウルミュージックの中から掘り起こそうということになったんです。その後、音楽を映画に合わせて入れていくのはとにかく楽しかったですね。
──オーストラリアからは『ムーラン・ルージュ』のニコール・キッドマンや『レ・ミゼラブル』のヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウなど、歌唱力も素晴らしい俳優が数多くいますが、オーストラリアには独特な音楽文化、素養があるのでしょうか?
監督:オーストラリア人はジャンルを問わず音楽が好きなので、役者たちも演技だけではなく、踊りや歌など、様々な分野のトレーニングを受けています。
──沢山の人が、この作品を観て、夢を諦めずに頑張る素晴らしさを体感されていると思います、本作を通して伝えたいことはどんなことですか?
監督:この映画を観た人に感じてほしいのはまさにそれです。自分の夢や未来への希望を捨てずに、目の前に広がる人生の困難に立ち向かっていく大切さを知ってほしいですね。
2014年1月7日
『ソウルガールズ』
2014年1月11日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー