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映画とドラマのフィードバックを楽しんで──『続・深夜食堂』松岡錠司監督インタビュー

続・深夜食堂

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賑やかな街のとある路地裏にひっそり佇む「めしや」を舞台に、夜な夜な集まる客たちの悲喜こもごもな人生を描いた「深夜食堂」。2015年の『映画 深夜食堂』に続く劇場版第2弾『続・深夜食堂』が、11月5日(土)より全国ロードショー。またドラマ新シリーズ「深夜食堂 -Tokyo Stories-」もNetflixにて世界190ヵ国で全10話一挙配信中。2009年にドラマ化されて以来、7年にわたって監督を務めてきた松岡錠司監督にお話を伺いました。
映画とドラマのフィードバックを楽しんで──『続・深夜食堂』松岡錠司監督インタビュー
──今回のエピソードは、「焼肉定食」「焼きうどん」「豚汁定食」でした。原作からどのようにピックアップしたのですか?
監督:まずはオリジナルストーリーの「豚汁定食」を最初に考えました。原作は200話以上あるんですけど、毎回、自分が映像化したものも含めて全部洗い直し、脚本チームと調べあげてピックアップするんです。前作の映画でもそうだけど、物語は起承転結ではなく、「序破急」の構成を考えていて、最初の「序」は、相撲の土俵入りで言うところの露払い(つゆはらい)として、喪服のエピソードが面白いかなと。次の「破」は太刀持ち(たちもち)でキムラ緑子さんが大暴れし(笑)、最後の「急」でいよいよ横綱・渡辺美佐子さんが登場する。3話ありますが、時間にしても2話目、3話目と少しずつ長くなっています。
──ちなみに、焼肉定食・焼きうどん・豚汁定食と、メニューにも少し繋がりを持たせたのですか?私は試写を見た後、材料を買って帰って「深夜食堂メニュー」を作りました(笑)、材料も共通するものが多いかなと…
監督:影響されてますね(笑)。メニューに関しては繋がりは考えてないです。エピソードとメニューは原作の通りで、そこを外すと何でもありになってしまうので、基本的には原作を踏襲しています。エピソードが肝心であって、料理にはあまりこだわっているつもりはないんですが、マスター(小林薫)は時々、「炭水化物ばかりじゃないか」って文句言ってますよ(笑)。でも、居酒屋じゃなくて「食堂」だからね。お酒は三杯までって書いてあるし。誰にでも作れる普通の料理を出しているので、たとえ違うメニューだったとしても、あなたは材料を買いに行きますよ(笑)。
──テレビシリーズも含め7年の間で、オリジナルエピソードを入れるときは原作者・安倍夜郎さんと話し合うのですか?
監督:原作がありながら、原作者が書いていないエピソードもありますから、そりゃぁぶつかることもありますよ。「なるほどそういう風に攻めてきたか」という反応があったりもします。一方で、映画に関しては「映画は監督のもの」という考えが彼の中にあって、その言葉をいただいているのはありがたく受け止めています。前作の映画も含めて、7年の間に築けた信頼だと思っています。
──深夜食堂のセットも、7年の間で少しずつ拡張されてきていますね。
監督:毎回、壊して立て直すんですよ。あれは撮影所じゃなくて、300坪の倉庫を借りてセットを作っていて、建てるのに1ヶ月ぐらいかかるんです。撮影所じゃないので照明のレールもないし、まっさらな状態から足場を組んで作る。少しずつは拡張されていますけどね。今回はめしやの通りが前よりまっすぐになったり、店が少し増えています。でも毎回倉庫を綺麗にして返さないといけない(笑)
──ドラマの新シーズン「深夜食堂 -Tokyo Stories-」は、Netflixで配信となりました。今回も山下敦弘監督、小林聖太郞監督らが参加していますが、エピソードのピックアップや脚本など、他の監督との作業はどのようにしているのですか?
監督:基本は自由意志に任せるんだけど、なにしろ原作が200話以上ありますからね。自分が監督したものでさえ毎回1話目から読み直して、エピソードのピックアップやシナリオ化は、ほぼ僕と脚本チームでやっています。まぁ、言い出しっぺとしてはやるしかない。他の監督は忙しいし(笑)。でも撮影は、他の監督が撮っている時に、僕は自分の準備が出来るから良いですね。他が終わったら僕の撮影をいれて…効率がいいからプロデューサーとしても倉庫の家賃が最小限で済む(笑)。
──ドラマ(新シリーズ)では、今回初めて韓国で海外ロケされていますね。韓国や台湾で人気が出たのも理由だったりするのですか?
監督:あまのじゃくって言われてもしょうがないんだけど、海外で人気があるとか、そういうことに全く関心がなかったんです。でも、Netflixは大いに関心があって、「日本人以外の俳優を出して欲しい」とリクエストがありました。そうすると…、深夜食堂にいきなり北米人は出てこないよね(笑)。カタコトじゃキツいし、日本在住なら芸人ぐらいしか思い浮かばない。ケビン・スペイシーが来てくれるなら考えるけど(笑)。で、原作に、韓国人ホステスの話(オムライスの回)があったので、それに決めました。低予算なのに海外ロケ(ソウル)って、おかしくないか?って思ったけど、そこは別枠で予算が出ました(笑)。
──Netflix配信じゃなかったら、海外ロケはなかったんですね。
監督:オムライスのエピソードはなかったですね。ドラマ版は、一つのエピソードを3日間で撮っているんです。それに比べて、スタッフの準備や移動、コーディネーターの手配を考えると、海外ロケは大ごとになりますから。
──ちなみに、韓国版・台湾版はご覧になったのですか?
監督:見てないし、今後も見ないと思います。自分の分だけでいっぱいなので、海外版を見て「ちょっと違う」とかジクジク言いそうなので(笑)、見ないことにしました。でも、台湾はかなり本気モードで、40分40話で作っているらしいですね(笑)。我々が7年かけて作った分ですよね。心意気は凄いと思います。
──最後に、新作を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。
監督:期待している方も少なからずいらっしゃると思いますが、裏切っていないと自負しています。少し新しいスパイスも入れてるかもしれないけど、ドラマも映画も、粒立ったエピソードになっているので、楽しめると思います。映画に出たゲストがドラマに出ていたり、その逆もあり、映画とドラマのフィードバックもあるので、両方見るともっと楽しいです。深夜食堂の世界に浸りたい方は是非ご覧になってください。
2016年11月4日
『続・深夜食堂』
2016年11月5日(土)より全国ロードショー
公式サイト:http://www.meshiya-movie.com/