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「忘れてはいけない」思い新たに ──映画『救いたい』鈴木京香&三浦友和インタビュー

救いたい

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鈴木京香と三浦友和が夫婦役として共演を果たした映画『救いたい』が、11月22日(土)より公開。震災から3年後、さまざまな記憶が交錯する東北の地を舞台にした本作は、麻酔科医の妻と被災地で地域医療に従事する夫を軸に、傷を抱えながらも明日に向かって生きる人々を描いた感動作。映画の公開を前に、主演の鈴木京香と三浦友和にインタビュー。本作に込めた思いを伺いました。
「忘れてはいけない」思い新たに ──映画『救いたい』鈴木京香&三浦友和インタビュー
──被災地が舞台の作品ですが、どんな思いで臨まれましたか?
鈴木:出身が宮城ですので、それでお声かけてくださったのかなと思います。ですが震災のことだけではなく、特殊な状況下での医療の現場のこと、職業を持つ女性として前向きに未来に向かっていく姿もしっかり描かれていたので、演じさせて頂くには本当にありがたいお話だと思いました。しっかり演じなければいけないと思って取り組みました。
三浦:311のその後の生活のお話ですから、多少重い話でもあるのですが、嘘のないように演じたいとは思いました。でも本が素晴らしかったので、役作りも気張らずに演じました。
──これまでも共演作はありましたが、今作では夫婦役として共演となりました。お互いにどんな印象をもたれていましたか?
映画『救いたい』
鈴木:同じ作品に出ていても一緒のシーンがなかったので、初めてしっかりご一緒できて嬉しかったです。周りの女性たちからも羨ましがられましたし、念願叶って…という気持ちでした。でも、同じスタイリストさんにお願いする事もよくあるので実は「普段はどういう方なの?」なんて聞いたりしていました(笑)。ですので、実際にお会いしたときに、「今日も素敵ですね!」とか、勝手に私のほうからおしゃべりに行っていました(笑)。
三浦:僕がイメージしていた京香さんの印象と変わらなかったですね。ワインがお好きというイメージ通り、ナパから取り寄せているらしくて、僕も美味しく頂きました。撮影中に、地元の素晴らしい牛タン屋さんを紹介して頂いたんですが、分厚いステーキみたいな牛タンで、その辺もさすが地元の方だなと思いました。
鈴木:そんなに牛タンを気に入ってくださっていたとは…本当に嬉しい!牛タン屋さんに感謝しなくちゃ(笑)。
──夫婦役を演じるにあたっては、どんなお話をされたのですか?
「忘れてはいけない」思い新たに ──映画『救いたい』鈴木京香&三浦友和インタビュー
鈴木:映画の中の夫婦は、パートナーとしてそばにいて欲しいけど、仕事のために離れて暮らしている。それでも愛おしいと思える旦那様の役を三浦さんが演じてくださるんですから、これ以上ないくらいの道しるべになりました。夫婦のことは三浦さんをイメージして慕っていれば、全部ちゃんと出来るはず…って、すごく三浦さんに頼り切ってしまいました(笑)。
三浦:そのお言葉、逆の立場でそのまんま僕も思っていました。全く同じです(笑)。
──深い絆で結ばれた、本当に素敵な夫婦でしたが、劇中の夫婦像をどう感じましたか?
鈴木:私自身は結婚生活をしたことがないので未知の世界なんですけど、印象的だったのは、旦那様が「俺の女房の悪口を言う奴は、たとえ女房でも許さんぞ」と言った台詞でした。なんて素敵な関係なんだろうって。自分で自分を卑下していることを叱ってくれ、尚且つどれだけ大事に思っているかも言ってくれる、素晴らしい台詞ですよね。お互いに思いやりながらもベタベタしていない、夫婦が芯の部分でわかり合えているんだなと思えました。
──あの台詞は名台詞でしたね。
三浦:ああいうことが言えるといいですよね。結婚ってやっぱり好いた惚れたでするでしょ。そこから10年、20年経ってベストのかたちになるのかなと思いました。深いところで結びついている、夫婦のかたちとしては本当に素晴らしいと思いました。
──三浦さんは普段から奥様に優しい言葉をかけるんですか?
三浦:ドラマのような台詞は言いませんけど(笑)。結婚して34年経ちますが、そういう関係が築けているとは思います。
──ラストのほうではキスシーンもありましたね。素敵なシーンでした。
鈴木:あのシーンは、「陽が落ちるから」って、ものすごく凄く慌てて撮ったんですよね(笑)。クランクアップの日のラストカットでした。
三浦:ト書きに「意外と長い」って書いてあったんですよ(笑)。どういう長さなんだろうって思いましたけど、ワンテイクで撮りました。どういう風に映るか気になっていたんですが、女性が観て素敵だと思ってくれたならよかったです(笑)。
──お互いのシーンで印象的なところはありましたか?
鈴木:ラストのお祭りのシーンで、地域の方々と一緒に御神輿を担いでいる姿が好きです。三浦さんのはっぴ姿も素敵でした(笑)。何かを願いながら少しづつ前に進むことを表現したこの御神輿のシーンはとても素敵だなと思いました。
三浦:あのシーンは、実際の被災地の方の写真も出てきて、ジーンとしましたね。京香さんの医療現場のシーンは、撮影中に見ていなかったので、凜とした姿が素敵でしたね。
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──三浦さんは意外にもアクションシーンもありました。
三浦:劇画チックでしたよね(笑)。実はあのシーンはもうちょっと極端で、脚本を読んだ時に「ちょっと浮いてますよね?」って監督に抗議したんですよ。そしたら監督が「そこ、僕が書いたんだよ」って(笑)。腰を痛めていたのでアクションを抑えてもらって、カットも相当割ってもらいました。出来上がりを観たら、結構活きているシーンでしたね。
──鈴木さんは、麻酔科医を演じられていかがでしたか?
鈴木:手術室のシーンなどは、その場で川村先生が直々に教えてくださいました。外科医的なことは何となく想像できるけど、麻酔科医の仕事ってあまり知られていないので、こんなにも細やかな段取りを経て外科医の方にバトンタッチされるんだって初めて知りました。麻酔科医に限らず、色んなところで色んな職業の方にお世話になっていながら、それを知らないでいるんだなって思いました。
──役柄のモデルでもある川村先生とは、どんなお話をされたのですか?
鈴木:川村先生のご主人は岩手、ご自身は宮城に勤務されているので、離ればなれでいる時の気持ちとか、震災当時にどうされていたのかとか、そういったことを、女性同士のおしゃべりの一環でお話を聞きました。実際に明るくて華やかな方なので、堅苦しく考えず、自分らしく楽しそうにしているのが「隆子」かなと思って、役作りに活かすことが出来ました。
──地元の方がエキストラとして多く参加されていたそうですね。
鈴木:後で知ったのですが、震災直後の体育館のシーンなどで、自分の知り合いがエキストラとして参加していたらしいんです。そういうのを聞くと、「あぁ、私は本当に自分が生まれ育った場所でロケをさせてもらっているんだ」って嬉しく思いました。
三浦:撮影が慌ただしくて、交流する時間があまりなかったのに、快く協力してくださって、逆に申し訳ないと思いました。実際に被災された方や、今も仮設住宅に住んでいる方もいらっしゃったので、ご迷惑もかけたんじゃないかと思います。
──被災地に立った時のお気持ちは?
鈴木:実際に防潮堤の工事も始まっていました。本当に美しい海だったので、全く元通りということは難しいかもしれないけど、少しでも早く以前の景色が戻って欲しいと思っています。
三浦:自然と防潮堤のギャップが凄かったですね。ああいったものを作らなきゃいけないんだってい気持ちと、自然はこれで全然変わるんだっていう気持ちとで複雑でしたね。今回初めて被災地を訪れたんですが、やはり衝撃でしたね。
『救いたい』鈴木京香&三浦友和インタビュー 『救いたい』鈴木京香&三浦友和インタビュー
──震災を忘れないためにも意義のある映画だと思いました。
三浦:震災当時は、地震や津波にしても原発にしても、これで日本が終わるんじゃないかという恐怖感があった。でも、人間ってあの時の気持ちをどんどん忘れてしまうんですよね。現地の方はもちろん忘れることはありませんが、テレビや新聞で見ていた人たちにとっても凄く衝撃的だったのに、何年か経つとその思いが薄れていくものですよね。あの時の気持ちをもう一度思い出さなければいけない。そういう意味でもこの映画はすごく役立つと思います。映画では、実際の津波のシーンや、被災された方の写真も出てきますが、本当は入れなくてもいいのかもしれないけど、入れることに意味があったんだなと、完成した作品を見て改めて思いました。
──この映画に出演される前と後で、お気持ちに変化はありましたか?
鈴木:遠くから支援し続けていても、何かまだ出来ていないんじゃないかという気持ちがありましたので、実際に役者として現地で体を動かしたことで、私自身の郷土に対する思いも少し救われたというか「出来ることは少しづつやれているんだ」って、ようやくそういう気持ちになれました。
三浦:震災のことを忘れかけていた自分がいたので、自分を戒める意味でもこの作品に出演して良かったと思えましたね。“忘れる”って良いことでもあるけど、こういったことはやはり忘れてはいけないですよね。こういった作品を作ることが、僕等にとっても意義があることだし、役者として使命感みたいなものもあると思っています。
鈴木:被災地の方々は、自分たちが進むべき道をしっかり歩いていらっしゃるので、「忘れないで」というアピールを、彼らにさせてはいけないですよね。私たちひとりひとりが「忘れたくない、知りたい」という気持ちで、これからも震災と向き合っていけたらと思いました。この映画が「知る」ということに少しでも役立ってくれたら良いなと思います。
2014年11月21日
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『救いたい』
2014年11月22日(土)新宿ピカデリー他全国ロードショー
公式サイト:http://sukuitai-movie.jp