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意識がなくなるほど芝居に没頭できて 役者人生が終わってもいいと思えた~『TAJOMARU』小栗旬インタビュー

TAJOMARU

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黒澤明監督『羅生門』の原作としても知られる「藪の中」(芥川龍之介著)をもとに、登場人物のひとり、多襄丸を主役に据えた完全オリジナルストーリー『TAJOMARU』。裏切られても、傷ついても、自分の心に嘘はつかない。馬鹿がつくほど真っ直ぐで熱い男、多襄丸を演じた小栗旬のオフィシャルインタビューが届きました。
画像:『TAJOMARU』小栗旬インタビュー
――後に多襄丸になる畠山直光をどのように演じようと思いましたか?
小栗:台本ができたのがそれこそクランク・インと同時ぐらいだったから、現場で役を作っていくしかなかったんです。でも、2ヶ月半東京に帰らず、地方でずっと撮影をする形だったので、すごく集中してできたし、毎日がリアルで。撮影もほぼ順撮りだったから、自分も直光と同じように、壮絶な人生を克服していくような感じがありましたね(笑)
画像:『TAJOMARU』小栗旬×松方弘樹画像:『TAJOMARU』小栗旬画像:『TAJOMARU』小栗旬
写真:(C)石川拓也
――松方弘樹さんとの森の中での立ち回りはいかがでしたか?
小栗:松方さんが僕ら位の頃は、まさに時代劇全盛期。毎日刀を振り続けていたそうで、そんな人にかなうわけがないですよね。でも、上手い人が相手だと、こっちも上手く見せてもらえるんです。ここは力を抜いてもいいとか、ここだけキメればカッコよく見えるとか、そういう発見があったのはすごくよかったですね。
――普通の人には2手しか見えないけど、実は3手入っているシーンもあるそうですね。
小栗:そうなんです。殺陣師さんにもよるけど、殺陣ってリズムが決まっちゃうんですよ。それに対して松方さんは『それじゃ面白くない。殺し合おうとしてるんだから、スキがあればそこに入れるもんだよ』って言われて、その考え方は新鮮でした。実際、僕が刀を折られる最後のところはすごいスピードで7手ぐらい入ってるんですよね。
――クライマックスの桜丸との戦いの小栗さんはすごい迫力でした。
小栗:あの撮影の2日間は、(桜丸を演じた田中)圭を本気で殺してやろうと思って演じていたんです。桜丸は『ダークナイト』のジョーカーのポジション。その殺気を引き出したくて、現場ではオマエにムカついているという態度をとり続けましたね。
――阿古姫役の柴本幸さんはどうでした?
小栗:柴本幸ちゃんは、逆にダイレクトにびしびしくる人で。毎シーン毎シーンがクライマックスみたいな芝居をする人だったから、こちらも全力でぶつかることができました。
――試行錯誤や変更の多い現場だったそうですけど、小栗さんは共演者に「この映画をいいものにしよう」と檄を飛ばしたそうですね。
小栗:そうですね。駄作になったら恥をかくのは俺たちなわけで。ならば、俺たちはいい映画を作ってるんだと思いながら精一杯やるしかない。でも、その結果、いい化学反応が現場で起きた気がして。死にきれない直光や生にしがみついている阿古姫など、登場人物たちのあり方と、不安だけどやらなきゃいけない役者の必死さが上手くリンクしたと思います。
――その中でも、お白州で直光が絶叫するシーンは鳥肌が立つほどスゴいですね。
小栗:今回は叫ぶシーンが3つぐらいあったんですよ。でも、毎回同じ叫びじゃイヤだなと思って。あの最後のお白州のところは、本当に絶望したときに人は叫ぶのだろうか?と考えた結果、叫ぶというより内臓が全部出ちゃったみたいな、そんなことなのかもしれないなって感じでやりました(笑)。ただ、今回はそのお白州のところも、牢屋のシーンも、阿古姫に裏切られる森の中にしても、自分が行きたいと思っているレベルに少しは近づく芝居ができたかなと思っているんですよ。
――撮影後、緊張の糸が切れたように涙が溢れて止まらなくなったこともあるそうですね。
小栗:そうなんですよ。『よーい、スタート!』って言われた次の瞬間、気づいたらお風呂に入っていたんです(笑)。そのあと涙が止まらなくなっちゃって。で、俺、何をしてるんだろう?と思ったら、悲しくもないのに涙が溢れ出したんです。でも、意識がなくなるほど芝居に没頭できたなんて役者人生が終わってもいいと思えるぐらい幸せなことで。俺も一応役者なんじゃん! みたいな充実感がありました。
2009年9月8日
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『TAJOMARU』
9月12日(土)丸の内ルーブル他全国ロードショー
公式サイト:http://www.tajomaru.jp