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映画『スターリンの葬送狂騒曲』アーマンド・イアヌッチ監督 オフィシャルインタビュー

スターリンの葬送狂騒曲

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1953年のロシア(旧ソ連)を舞台に、独裁者ヨシフ・スターリンの後継を巡る側近たちの争いや混乱の様子を描いた『スターリンの葬送狂騒曲』が、8月3日(金)より公開。監督・脚本を務めるのは、エミー賞受賞とアカデミー賞ノミネートの経験をもち、政治風刺作品に定評のあるアーマンド・イアヌッチ。映画の公開を前に、アーマンド・イアヌッチ監督のオフィシャルインタビューが到着しました。
『スターリンの葬送狂騒曲』アーマンド・イアヌッチ監督 オフィシャルインタビュー
■驚愕の“事実”をシリアスとユーモアの絶妙なバランスで映画化
悲劇的なコメディを作るつもりでいたんだ。悲劇的なコメディというのが一番ぴったりくる表現だと思う。全編を通してコメディと悲劇があり、しばしばこの二つは同じシーンに起こる。強烈な緊張と不安と恐怖が絶妙に混ざることで、神経衰弱ぎみな状況から奇妙なおかしさが込み上げてくるものだ。

登場人物は皆、残忍で凶悪なところがある。一部のキャラクターは特にそうだ。観客が共感をおぼえる人物や、毛嫌いしたくなる人物もいる。しかし常に覚えておいてほしいことは、たとえ登場人物を応援したくなったとしても、外の世界では彼らの行動が普通の人々にひどく壊滅的な影響をもたらしていたということだ。
■独裁者スターリンとその側近たち
本作を手がけるにあたって意識していたのは、1930年代から40年代、50年代にかけて当時何百万もの人々が命を落とし、姿を消したという事実を決してないがしろにしてはいけないということだ。避けて通ったり、軽いジョークで簡単に片づけられる歴史ではない。映画制作のすべての段階においてこのことを念頭に置き、細心の注意を払う必要があった。

作中の権力者たちの実際の行動にはいじめっ子や子どもみたいな振る舞いが見られ、どこか不思議と喜劇的な部分があった。

政治局の連中がスターリンの後継者を決めた過程の詳細はよく知らなかった。劇中で描くことになった、スターリンが自分の尿にまみれたまま放っておかれたという本当の出来事についても知らなかった。スターリンが自分の護衛をひどく畏縮させていたせいで、誰も彼の様子を見ようとしなかったんだ。
■50年代のソ連をイギリスに再現
私たちはクレムリンを見て回り、スターリンの銅像やモスクワの公園、巨大な公共の建物を訪ねることで、作品の見た目の感覚をつかんだ。そして、その外観をロンドンで再現したんだ。撮影はほとんどロンドンで行い、屋内シーンはすべてイギリス国内で済ませた。けれど、私たちはロンドン市内や近郊で作品の舞台と本当によく似たロケーションを見つけることができた。
■現代と共鳴する物語
最初にこの企画について話し合ったのは2、3年くらい前のことだ。その頃はトランプのことは有名人だから当然知らなかったわけじゃないけれど、誰も彼が大統領になるとは思いもしなかったし、イギリスのEU離脱をめぐる議論もまだ浮上していなかった。でもその当時から私は非常に意識的に、独裁政権や権威主義、実際にカリスマを持ち合わせているわけでもない一人の人物によって国家が恐怖に陥れられるさまなどについて作品を作ろうと志していた。

作品から学んで今日の現実に活かせることがあるとすれば、それは政府が情報の流れをコントロールし、何が真実で何がそうでないかを決めつけだしたときには注意して動向に目を向ける必要があるということだ。それこそが警戒信号だからね。

作品の序盤ではベリヤが悪役で、フルシチョフが面白おかしい男として登場する。そして物語の中で、二人が交わり、フルシチョフは冷酷な人間に変わっていく。一方、ベリヤは善玉になるわけではないが、リベラル派に転身し、より人間らしい一面も少しだけ見えてくる。


2018年8月2日
『スターリンの葬送狂騒曲』
2018年8月3日(金)、TOHOシネマズ シャンテほか、全国順次ロードショー
公式サイト:http://gaga.ne.jp/stalin/