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映画『TOURISM』宮崎大祐監督、遠藤新菜、SUMIRE、柳喬之 インタビュー

TOURISM

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3月に開催された第13回大阪アジアン映画祭において、インディ・フォーラム部門で上映された映画『TOURISM』。本作は、神奈川県大和市で共同生活するフリーターの若者が、旅先のシンガポールで迷子になり、現地の人々に助けられながら、従来の観光のスタイルでは知り得ないシンガポールを体験していく物語。メガホンをとったのは、映画『大和(カリフォルニア)』の公開も控える宮崎大祐監督。映画祭のお披露目イベントに出席した、遠藤新菜、SUMIRE、柳喬之ら出演者と宮崎監督にお話を伺いました。
映画『TOURISM』宮崎大祐監督、遠藤新菜、SUMIRE、柳喬之 インタビュー
■映画「TOURISM」あらすじ
東京からほど近い地方都市・神奈川県大和市に住むフリーターのニーナ(遠藤新菜)はスー(SUMIRE)とケンジ(柳喬之)とシェアハウスしていた。ある日クジ引きでペア旅行券が当たったニーナはスーとともにシンガポールを訪れる。あまり大和と変わり映えしないシンガポールの景色に当初少しだけ失望した二人だったが、チャイナタウンでスマホをなくしはぐれてしまってから、各々に本当のシンガポールに触れることになる…。
──どのようないきさつで、シンガポールとの共同制作映画を作ることになったのですか?
監督:2016年から2年連続で、僕が関わった作品がシンガポール国際映画祭に招待されていた関係で、シンガポールの方々と仲良くなっていて、昨年の春、映画祭とアートサイエンスミュージアムという美術館の共同企画として何か出来ないかと打診がありました。最初は映画ではなく、現代美術を制作する話だったんですが、その中でイメージ映像として短編映画を撮る案がありました。予算は、短編映画用の予算だったけど、シンガポールで何か撮れないかと聞いたら、予算内であれば協力できるということだったので、シンガポールで撮ろうと決めました。色々アイデアを練るうちに、せっかくシンガポールで撮るなら、ちょっと無理してでも長編映画として作りたいなと思うようになり、今の形になりました。
──ストーリーはその時点でアイデアとしてあったのですか?
監督:特に決まっていませんでした。展示会のテーマが「亡霊たちと観光客」というもので、観光に絡めた何かを撮ろうというのはありました。もともと自分の経験をもとにアイデアを貯めておく方ですが、このストーリーは、突然ふっと降りてきて、一気にプロットを書き上げました。日本の、若者がふらっとシンガポールに行って、見尽くされた景色とは違う新たな美しさを発見するというストーリーでした。
──キャスティングはすぐに決まったのですか?
監督:もともと遠藤さんは、僕の前作で準主役として出てもらっていて、また一緒に何かやりたいと話していました。遠藤さんはフットワークが軽くて、こういう変わったことを楽しんでやってくれると分かっていたので、すぐにオファーして加わってもらいました。撮影日数も信じられないほど短くて、ほとんど知らない人同士が会ってナチュラルな芝居を構成するのはだいぶ難しいことだったので、遠藤さんとプライベートで仲がいいSUMIREさん、そして、もともと考えていた柳さんにお願いしようと思いました。3人のトライアングルを考えたら、バッチリだったなと思います。
──キャストの3人は、この企画を聞いたとき、どう思いましたか?
遠藤:単純に、楽しそうだなと思いました。キャストもこの3人だし、監督とは前作から一緒だったので、チームとしての信頼が既に出来上がった状態で撮影に入ったので、何があっても大丈夫だなという自信がありました。
SUMIRE:私もキャストの名前を見て居やすい現場だと思ったし、楽しくてナチュラルな映画が作れるなと思いました。いざ現場に入ってみると、思っていた以上に居心地が良くて、3人の共同生活のシーンとかも全然違和感なくて、リラックスして進められました。
柳:僕も、皆と現場以外では会ったことはあるけど、仕事として一緒になることがなかったので、楽しみにしていました。このチームに参加できること自体が嬉しかったし、宮崎監督の作品の中で、空気感を共有できるんだと思ったらワクワクしました。
──こうしてお会いすると、モデルさん、役者さんというオーラがありますが、映画の中では、ブックオフとツタヤで掛け持ちバイトをする柳さん、ABCマート店員のSUMIREさん、工場に勤めつつ夏は屋台を手伝う遠藤さん、それぞれのキャラ設定がハマっていましたね(笑)
監督:僕が神奈川県大和市出身で、前作も大和で撮っていたこともあり、大和の若い世代にインタビューをして情報を仕入れていて、その中からキャラクターを作りました。横浜でも川崎でもない、ちょっと廃れた地域に住んでいる若者たちです。
──3人とも、台本があるのかな?というくらい、素のようなナチュラルな芝居で、観ているほうも、すっと映画の中に入っていける感覚でした。
監督:台本とも言えない、台本の一歩手前のようなものはありました。一応、セリフが書いてあったけど、あえて渡さずに演じてもらいました。台本を読んでセリフを覚えると、演技が固くなってしまうのもあるし、今回は時間がなかったので、どんな話をするのか現場で指示して、僕が思う3人のキャラに近づけていったという感じです。
遠藤:大和には何度も行ったことがあるし、地元の子という設定があったので、自分なりに妄想してキャラクターを作り込みました。3人の中で私の役回りは、頭悪そうだけどチャキチャキしていて、皆をまとめようとするポジション。自分の中にある、ちょっとしたバカっぽいしゃべり方とか(笑)、そういった部分を色づけしていった感じなので、キャラは作っているけど素の部分もある。不思議な感覚なんですけど、無理に演じる必要がなかったという感じです。
SUMIRE:この3人の中では、私は末っ子というか、演技の中で新菜ちゃんが私を引っ張ってくれて、私がそれについていくという感じでした。3人の会話の流れも私はちょっとけだるそうな、相槌を打つだけとか。ナチュラルだけど、やはり普段の自分とは違うわけで、そこは意識していました。
──2人は普段も仲が良いということですが、映画の中のトーンと同じ感じなんですか?楽しそうだけど、テンションが高いような…低いような(笑)
SUMIRE:低いかな…。気持ちは高いつもりなんです…
遠藤:気持ちは高いけど、口がついていかなくて、ボソボソしてしまう(笑)。それでカラオケに行ったりするので、異様な感じかも。映画の中でも、シンガポールですごく感動してテンション上がっているんですけど、そう見えてないかもしれない(笑)
──シンガポールのシーンは、観光名所だけでなく、あまり知られていないシンガポールの街の片隅も捉えていました。撮影は大変でしたか?
監督:現地での撮影が3〜4日しかなかったんですが、現地スタッフが優秀で、トラブルのようなものもなくスムーズに行きました。撮影に入る前に美術展の準備で何度かシンガポールに行って、その合間にロケハンしたりイメージトレーニングしていたので、限られた期間で撮り切ることが出来たと思います。

シンガポールのシーンは、僕自身の体験も反映されていて、観光映画のようなものじゃなく、見て感じたものを本音で撮りました。表向きは日本の都市部とほとんど変わらないけど、決定的に違う部分もある。それも含めて、日本人でも身近に感じてもらえると思います。僕自身が何度も足を運ぶ中で、結果的にシンガポールを愛するようになったので、実感のこもった良さが出ていると思います。
── 一方で、日本に置いてきぼりになってしまった柳さんは、完成した映画を観ていかがでしたか?
柳:お久しぶりです。楽しそうで何よりです(笑)。何で僕だけシンガポールに行けなかったんだろうと、自分の運命を呪いましたね。映画では、とても素敵な街で2人が楽しんでいる様子が伝わってきて、僕も行ってみたくなりました。
監督:シリーズ化されたら(笑)
──物語に続きがあるようなエンディングでしたね。
監督:撮影前に自分の中で「シリーズ化したい」という気持ちがあったけど、出来上がってみたら自信がついたので、その野心はあります。ちょっとづつ色んな街を巡り、最終的にニューヨークで終わる物語にしたいです。遠藤さんもその頃は28歳?今回の役柄で、ニーナやスーといった名前もそうだけど、名前や性別、国も取っ払って、何か大きなものが蠢くような世界観にしたいですね。
遠藤:乞うご期待!ですね。
──最後に、監督からメッセージをお願いします。
監督:つつましい映画ではありますが、平凡な人生を生きている人も、特別な人生を生きている人も、映画を見終わった後、少し世界が輝いて見える、そんな作品になっていると思うので、是非ご覧ください。もう一つ欲を言うと、短い時間ながらもシンガポールの魅力が映っている作品なので、見終わった後「シンガポールに行きたい」と思っていただけたら嬉しいです。
2018年4月6日
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