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映画『英国総督 最後の家』主演ヒュー・ボネヴィル オフィシャルインタビュー

英国総督 最後の家

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1947年、独立前夜、混迷を深める激動のインドで歴史に翻弄された人々を鮮やかに描いた感動の人間ドラマ『英国総督 最後の家』が、8月11日(土・祝)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー。本作で、主人公のマウントバッテン卿を演じたヒュー・ボネヴィルのインタビューが到着しました。
映画『英国総督 最後の家』主演ヒュー・ボネヴィル オフィシャルインタビュー
──『英国総督 最後の家』は監督のファミリーヒストリーを元にしたリアルなストーリーですが、役のオファーがきたときの感想を聞かせてください。
ヒュー・ボネヴィル(以下、ボネヴィル):まず、役の話を頂いた時は、このマウントバッテン卿と僕は似ても似つかないと思いました。これはご本人(マウントバッテン卿)の娘さんにも言ったのですが、「あなたのお父様は映画スターのような非常にハンサムな方ですが、僕はそうじゃない」と。仮に私がエレベーターに顔を挟んだとしても、ああいう面長な顔にはならないから、いかがなものかと思っていました。

監督からは、このマウントバッテン卿を真似できるような人、あるいはルックスが似ている人を探しているわけではなくて、その精神性を表現できる、そしてそのストーリーを語ることができる人を探しているというお話を頂きました。
──これまでイギリス人として、歴史上の人物として思い描いていたマウントバッテン卿と、本作が描くマウントバッテン卿というのは、同じ印象でしたか。それとも違いましたか。
ボネヴィル:僕らの世代は、マウントバッテン卿がイギリス領インドの最後の総督であったことは皆知っています。そして、彼は王族の中でもかなり重要な立ち位置にいて、たとえばフィリップ殿下を今のエリザベス女王(2世)に紹介する役目を果たしたとか、イギリスの王族の中でもとても際立った、ある種煌びやかな存在で、父親的な存在でした。チャールズ皇太子の好きな大叔父であったということもあり、そういったイメージは昔からありました。しかし彼が第二次世界大戦の最中やインド統治の終盤でどういった仕事をしていたかなどはもちろん詳細には知りませんでした。資料を読み進めていく中で、この時期、この時代にはこういった一幕があったのか、この人はこういう人だったんだと改めて見えてきました。
──チャーダ監督は、徹底したイギリス的な礼儀正しさと公正さを具現化した男性としてマウントバッテン卿役にボネヴィル氏をキャスティングされたそうですが、脚本を読まれて、クランクインまでにどのような準備をされましたか。
ボネヴィル:この人物に関しては、正直、資料を読めば読むほど分からなくなってくるんです。準備の過程で思い知ったのは、やはり“歴史には一つの客観的な事実というのはない”ということです。ある物語やある歴史的事実を色んな人が語ったり書いたりしますが、書く人によって色んな視点があり、色眼鏡で語られる。マウントバッテン卿に関しても然りで、彼がどういったアイデンティティを持った人なのか、なかなか紐解くのが難しく、人によっては「あの職に就くべき人でなかった」「能力は十分になかった」という人もいたり、あるいは「あんなとてつもない状況に投げ込まれて、ベストを尽くした」という人もいたりで、やはり真実がどこにあるのか分からない。

ただ役者として意識するのは、彼の“人となり”がどうだったのかということ。これに関してはご遺族と話し、晩年のホームムービーを見せてもらい、色んな特徴をつかみました。一つわかるのは、非常に虚栄心があり、プライドがとても高いということ。そして、考えるよりもまず行動だ、という主義を貫いた。僕に言わせるならば、彼はベストを尽くしたんだと思います。劇中でも誰かが言っていますが、「インドは既に燃えたぎる船なんだ」と。そういう中でベストを尽くしたんだと思います。彼が戦時中に愛用していた帽子を、僕も被ってみると、娘さんがアングルを直してくれるんです。お父さんはちょっとこう斜めに被る癖があったと。その方が映画スターっぽいからということで。

ここで歴史的に一番意識しなければならない重要なことは、あの時点まで英国の占領下にあったインドは、様々な派閥に分かれていたわけですが、ムスリム連盟がジンナー、あるいはネルーがいたりして、その三者あるいはその三派が一緒になって話すということがそれまではなかったんです。だから彼がその三派をとりもつことができた初めての人だということ。これは大事なことだと思います。ただ、解決策は他にあったんじゃないか、とか、分離独立は少し早まったのではないかという声はあるにはあると思います。
──エドウィナ夫人を演じたジリアン・アンダーソンさんとのコラボはいかがでしたでしょうか。
ボネヴィル:彼女は本当に素晴らしい芝居を見せてくれたと思います。ご夫妻の映像素材など僕も観ているけれども、彼女はエドウィナのエッセンスを本当に上手く掴んでいて、崇高な芝居をみせてくれる。そもそも女優として本当に知的な女優で、各シーンにおいてポイントをちゃんと分かっていて、非常に勤勉に役にあたる。それでいて目にきらりと光る何かがあり、軽やかさ、ちょっと笑ったりするところもあり、そういう意味では素晴らしい女優だと思います。

監督と彼女と私とでだいぶ話し合ってこの夫婦役に臨みましたが、話し合った成果はちゃんと映画に出ていると思う。この夫妻は複雑な結婚ではあった。これは誰もが認めるところですが、一つ確実に言えるのは、インド独立後、とんでもない状況になりながらも、二人はベストを尽くした。分離独立がなされた後も現地に残った訳で、そういう夫妻だったと思います。ジリアンさんは、あのキャラクターの精神性をうまく活かし掴めていると思います。もちろん、彼女自身、英国にルーツがあるということもあり、素晴らしかったと思います。
──撮影中に最も印象に残ったエピソードがありましたら教えてください。
ボネヴィル:総督の官邸は現在インド政府が所有している建物なので、現在はホテルとなっているマハラジャの宮殿での撮影だったのですが、8月末のインドは非常に暑い季節で、エアコンを何台も回し、我々も厚い衣装を着ている中で大変でした。しかもホテルが営業中だったんです。階段を降りた向こう側にプールがあるわけですが、撮影だからといって営業をやめるわけにはいかない。最初に総督がインドに来て、それを迎え入れるシーンがありますが、赤いカーペットが敷かれ200人のエキストラが構えている中で、プールで泳ぎたいお客さんが2人ほどいたばかりに、いちいちカメラを止めなければならなくて、大変な撮影でした。
──最後に日本の観客へ一言、お願いします。
ボネヴィル:インド・パキスタンの独立の時期というのは、歴史の中でも非常に重要で、色々な物語が語られています。その中でも『英国総督 最後の家』このマウントバッテン卿の話は、重要なパズルのピースになるのではないかなと思います。ぜひお楽しみください!
2018年8月7日
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『英国総督 最後の家』
2018年8月11日(土・祝)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
公式サイト:http://eikokusotoku.jp/