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家族を守ってきた父親の強さを感じた──『わが母の記』三浦貴大インタビュー

わが母の記

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昭和の文豪・井上靖が45年前に綴った自叙伝的小説を元に、原田眞人監督が映画化した『わが母の記』。伊豆・湯ヶ島など日本の美しい風景を舞台に、記憶を失いつつある母と、その家族の絆と愛を描き、第35回モントリオール世界映画祭の審査員特別グランプリを受賞。役所広司、樹木希林、宮崎あおい他、日本を代表する実力派俳優が共演する本作で、運転手兼秘書として、主人公一家と過ごすことになる作家志望の青年・瀬川を演じた三浦貴大にインタビュー。映画のテーマや撮影現場について語って頂きました。
『わが母の記』三浦貴大インタビュー
──劇中の家族のかたちをどうご覧になりましたか?
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三浦:素敵な家族でした。父親が一番強い家族像って今は否定されるような感じがしますが、今この時代にこういう家族のかたちが戻ってきても良いんじゃないかと思いました。

家族のかたちは昭和から現在まで変わってきていると思いますが、「絆」って理屈じゃないですし、ましてや今回のようにおばあちゃんの記憶が失われていくなかでも、「壊れない絆」というのは何だろうと深く考えさせられました。
──『わが母の記』は監督・キャスト・原作・テーマなど素晴らしい要素がたくさんありますが、一番惹かれたものは何でしたか?
三浦:物語も素晴らしいですし、共演者もすごく魅力的な方々で楽しみな部分がたくさんありました。僕はオーディションで出演が決まったんですが、一番惹かれたという意味では、役柄の「瀬川」という人間が、自分に近しい人物だったことですね。
──以前、インタビューで「物語にあまり絡まないけど、そこに存在している」ような人物を演じたいと仰っていましたね。
三浦:まさに今回の瀬川がそんな存在でした(笑)。
──ご自身に近いと言うことで自然と役柄に入っていけたと思いますが、原田監督からは具体的にどんな指示があったんですか?
三浦:画面の中心にいなくても、人が動いている状態を大事にする方で、とにかく「動いていろ」と言われましたね。セリフのない状態でも、食器を下げるとかお酒をつぐとか、瀬川として本当にその場でずっと暮らしているように見える動きを求められたので、そこを考えながら演じていました。

原田監督の現場はスタッフ・キャストも含め、ものすごい集中力で1シーン1シーンに向かっていたので、静かな現場で緊張もしたんですが、その空気感が独特で、心地よい現場でした。
──役所さんや樹木さん、宮崎さんとの共演はいかがでしたか?
三浦:同じ場所にいて同じシーンに出ているのに、自分がカメラになって映画を観ているような、贅沢な時間でした。「すごい」としか言いようがないので、勉強すると言うよりは、その感覚を楽しんでいましたね。
──撮影現場ではどんな風に過ごしていたんですか?
三浦:共演者のかたは、みんな同じ控え室にいたんですが、女性キャストが多かったので、僕は女性たちのお話を遠くから眺めていました(笑)。
──劇中では、「カタツムリの瀬川」とか「ブーブー兄ちゃん」とか、色んなあだ名を付けられていましたけど、三浦さんはどんなあだ名を付けられたことがありますか?
三浦:「ネクラ」とか、「アクティブな引きこもり」とか(笑)。何にもないときは家にいて、オン・オフの差が激しいからでしょうかね…。たぶんそこから来ていると思いますが(笑)。

──映画のテーマのひとつ、「老い」について身近で感じたりすることは?
三浦:僕の年代だとまだ、(周囲の)老いを感じるというより、自分が大人になったと思うことのほうが多いですね。高校時代に身長が親に追いついて嬉しいとか。親と同じように、仕事をして自分でお金を稼ぐようになってからは、ますますそう思います。
──今、お父さん(三浦友和)と同じ仕事をしていて、改めて父親としての偉大さを感じたことはありますか?
三浦:仕事が忙しくなった今は、僕は自分のことで“いっぱいいっぱい”なんですけど、そんな中で仕事をしながら家族を守ってきた父親の強さはすごく感じるようになりました。母は専業主婦で家にいたので、その偉大さは常々感じていましたけど、今改めて思うのは父親の偉大さですね。家族を守る難しさというか、今の僕に守るべき家族が出来たとして、果たしてちゃんと仕事をしながら家族を守っていけるのかと考えると…まだ無理だと思うので…。いつか出来るようになるとは思いますが。
──最後に、これからご覧になるかたにメッセージをお願いします。
三浦:この映画は家族の話なので、この中の誰かに感情移入できると思います。自分を投影させながら観ると楽しいですし、それぞれ感じ取れるものや、隠れたテーマも見つかると思います。自分の家族のことも思い出しながら観てもらえると、より嬉しいです。
2012年4月23日
『わが母の記』
2012年4月28日(土)全国ロードショー
公式サイト:http://www.wagahaha.jp