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『ゼロ・ダーク・サーティ』ジェシカ・チャステイン オフィシャルインタビュー

ゼロ・ダーク・サーティ

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CIAのビンラディン追跡劇の裏側を描いた映画『ゼロ・ダーク・サーティ』。絶賛公開中の本作は、CIAのビンラディン追跡チームの中心人物が若き女性分析官だったという衝撃の事実とともに、最先端技術による情報収集、過激な拷問、頭脳で闘うスパイ活動、法外な賄賂、そしてシールズ隊員による作戦、という今までに明かされていなかった追跡に至るまでの経緯を赤裸々に描き出している。劇場には40代以上の男性客を中心に集客しながらも、女性主人公の物語ということで30代のカップルや女性のグループなども多く来場し、SNSやWEBのクチコミサイトでは「綿密なリサ-チによる脚本が素晴らしくてドキドキした」「社会性とエンタテインメントのミックス具合が絶妙」「前評判に違わぬ傑作」など満足度の高いコメントが続々と寄せられている。

そんな本作でビンラディンを追いつけた一人の女性CIA分析官マヤを演じたジェシカ・チャステイン。現地時間2月24日に発表となるアカデミー賞にも主演女優にノミネートされ、初受賞に期待がかかる彼女の本作への思いと今の気持ちを聞いた。
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──本作を引き受けた理由はなんですか?
ジェシカ・チャステイン(以下、ジェシカ):監督がキャスリン・ビグローだったからです。彼女は私のヒーローであり、偉大なフィルムメーカー。特に、監督とこのキャラクターで一緒に仕事ができたことは、人生一回きりのチャンスだと思ったし、物語のベースが最近の史実であり、それだけに映画として作る理由があると思ったの。
──監督のキャスリン・ビグローと実際に仕事してどうでしたか?
ジェシカ:普段も現場でも同じように親切で思いやりのある人で、とても賢い方よ。ただ、現場に入ると、彼女が指揮官だから、監督として求めているものをハッキリと明示するの。そのメリハリが私は好き。演じる側としては、とてもやりやすい監督ね。アクションシーンの撮影では、今回は暴力シーンも多かったんだけど、そういう撮影の時に見せる監督の理念のようなものも尊敬してるわ。監督のどの作品にも共通していて、監督の描く暴力シーンには、はっきりとした勝者がいないんだから。
──激しい拷問シーンが目の前で繰り広げられているわけですが…感情をシャットダウンして、ただ冷酷にながめているといった感じですか?
ジェシカ:はい、そのシーンには苦労したわ。私は冷酷で、全てを分析的に判断するよう鍛えられた、非情な役柄だったから。実生活の私とは正反対よ。私は女優として、感情的で繊細で、傷つきやすい女性になるよう訓練を積んできた。だから、このような感情を押し殺したシーンを撮影するときは、役に入り込むため、事前に心の準備をしなければならなかった。これまで通りの演じ方とは真逆の役柄だったので、とても大変だった。目の前の光景に驚きながらも、マヤらしく感情を押し殺し、冷静に演じる必要があったの。

そのシーンは1週間をかけヨルダンの刑務所で撮影したんだけど、何といっても本物の刑務所だったので、演じるよりも怖さの方が勝っていた。スタッフと一緒にいたので、身の安全は保障されていましたが、万が一、何か予期せぬことが起こったらどうしようといつも考えていた。とても危険な出来事が起こったらとか…まさに崖っぷちの心境。そのシーンを見ていただくと、リアルな緊張感が出ていると思うわ。
──自身とは正反対のマヤを演じるにあたって役作りはどうしましたか?
ジェシカ:予め念入りな下調べをして撮影に臨み、ワンシーンを撮るのに演技を変えて10テイク撮りました。納得がいくまで色々試してみたんです。マヤのような女性は、自分の感情を表には決して出しません。ですから、彼女の気持ちが変化していく様や自分を見失う姿を、慎重にゆっくりと演じなければならなかった。そのため、撮影前に精密な演技プランを立てて準備したの。何がどこまで起こっているのかを、台本で慎重にチェックし、矛盾がないようにした。マヤの場合は、演じる彼女の人生を4段階に分け、外見の変化にもこだわった。髪型やメイク、服装にいたるまで段階に応じて徐々に変化をつけているのよ。
──本作は基本的にミステリー作品です。そして、最近の映画では珍しい社会派作品でもあります。本作のような映画に出演された感想はいかがでしたか?
ジェシカ:素晴らしいの一言よ。私は、「大統領の陰謀」のような映画が好き。「帰郷」はフィクションだけど、これも素晴らしい作品。時事問題を扱い、社会に問題提議するような作品は世の中に必要だと思うわ。ベトナム戦争を扱った作品、特に戦争終盤を描いた物などは、偏った価値観を押し付けるのではなく、歴史的な事実を正確かつストレートに描いている。女優として、そのような作品に出演できるのは、とても光栄なことよ。こういった映画こそが、後世にまで残る作品だと思うわ。
──いよいよアカデミー賞の発表ですね。今のお気持ちをお聞かせください。
ジェシカ:ここ数年人生変わってしまって、映画界ではオーバーナイトサクセス(一晩で成功してしまう)という神話があるだけに自分もそうなんじゃないかって、つい最近から顔を見られるようになったから言われがちなんだけど、全然違うわ。私はずっと俳優という仕事をしてきて、大学も行っているし、オーディションも受け続け、テレビも映画も出演して、ようやくここにたどり着いた。だから、賞やノミネーションとして励ましやサポートをもらえることは美しいことよ。もしアカデミー賞をとれたら、夢見ていたことだから本当に光栄。だけど、私の中では受賞しているも同然なの。大好きな監督や脚本家と仕事をしたいというのは夢だったし、実際に色々なキャラクターを演じることも夢だった。ある意味、私は夢をかなえてしまっている中で生きている。アカデミー賞なんて気にしないわ。だって今が十分にハッピーなんだから!
2013年2月19日
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『ゼロ・ダーク・サーティ』
2013年2月15日(金)TOHOシネマズ有楽座他、全国公開