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ポール・ヴァーホーヴェン監督、イザベル・ユペールに全幅の信頼「僕はただうなずくだけ」

エル ELLE

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8月25日(金)に公開が決まった映画『エル ELLE』のポール・ヴァーホーヴェン監督と、主演イザベル・ユペールが、「フランス映画祭2017」の上映に合わせ来日。上映後に、観客とのQ&Aに臨んだ。
ポール・ヴァーホーヴェン監督、イザベル・ユペールに全幅の信頼「僕はただうなずくだけ」

『氷の微笑』のポール・ヴァーホーヴェン監督が、フランスの至宝イザベル・ユペールを主演に迎えて放つ、話題の異色のサスペンス『エル ELLE』。本年度の賞レースでひときわ異彩を放ちながらも、131ノミネート68受賞(2017/6/2時点)と驚異的な数の賞をさらい、フランス映画にしてアカデミー賞主演女優賞ノミネートも果たした。

約10年振りの来日となったポール・ヴァ―ホーヴェン監督と、監督の『ルドガー・ハウアー/危険な愛』を観たことが本格的に“女優”として生きていく覚悟を決めたきっかけになったというユペールは、ふたりで延べ約40社によるメディア取材をこなす傍ら一緒にランチに行くなど日本でもその息はピッタリ。割れんばかりの大きな拍手で迎えられたふたりは満足気な表情で、ヴァーホーヴェン監督は「東京はこれが5回目になりますが、今回はその中でも特に特別な機会になっています。それは、隣にイザベルがいてくれるからです」と挨拶。続いてユペールも「ポールと一緒にこの場にいられること、こんなに沢山の皆さんの前にいられることができてうれしく思います」と挨拶し、それぞれに相思相愛ぶりをにじませる。

常識をはるかに上回る性格や行動力を持つミシェルについて、それに至った背景を聞かれたユペールは、「映画の中での出来事や経験を通して、ミシェルは自分自身を再構築していくのではないかと私は考えています。ミシェルの行動に対して何か原因はあるかもしれないけれど、それはあくまでも情報として描かれているので、皆さんには自由に解釈してもらえればと思います。ミシェルは、自分が(映画の冒頭に)襲われることをポジティブにとまではいかないですが、自分のアイデンティティと関連付けて考えていきます。“男性的な暴力”とはどういう動機から来るのかについて、自分が体験したことによって知りたいと思うようになるんです」と答える。

ミシェルという複雑な人物像を作り上げるにあたり、ユペールとの事前のディスカッションについて聞かれた監督は、「物理的な場当たりなどの最低限必要なもの以外、彼女の性格などについてのディスカッションは一切していません。僕らの中で、それをすべきでないし何の助けにもならないと分かっていたからです。イザベルは、ミシェルとしてやるべきことを完璧に分かってくれていて、コミュニケーションの上で僕はただうなずくだけでよかった(笑)」とユペールに対して全幅の信頼を寄せていたことを明かす。

Q&Aでは映画鑑賞直後の観客の興奮が伝わるような熱い質問が続き、それまで英語で質問に答えたユペールは、自分がフランス語で話し始めていたことに気付き、「私、いつの間にかフランス語になってるわね(笑)」と場内を笑わせながら、「ミシェルはある場面で話し方や雰囲気が突然変わります。彼女には皮肉もあればユーモアもあるけれど、この場面はひとつのゲームのようでもあるんです」と、ミシェルというキャラクターを読み解く上でのヒントとなるものを教えてくれた。

一番大変だったシーンを聞かれたユペールは「何もありませんでしたよ(笑)でもあえて言うなら小さな雀が死んでしまうシーンが一番大変でした。この映画のテーマは命だと思いますが、ミシェルはこんな小さなものでも救おうとするんです」と締めくくった。

本作は、センセーショナルな題材でもすでに話題となっているだけあって映画祭の本作前売チケットは即完売。Q&Aの直後に行われたふたりのサイン会には事前抽選に外れたファンも大勢集まり、会場は黒山の人だかりに。ふたりは笑顔でサインに応じ、短い時間ながらファンとの交流を楽しんでいた。
2017年6月26日
『エル ELLE』
2017年8月25日(金)TOHOシネマズ シャンテ他全国ロードショー
公式サイト:http://gaga.ne.jp/elle/