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男女の愛の形がより豊かな表現になった──『危険な関係』ホ・ジノ監督インタビュー

危険な関係

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1782年にフランスの作家ピエール・ショデルロ・ド・ラクロが発表し、デカダンな世界観とスリルに満ちた恋愛駆け引きの描写で、2世紀の時を超えて読み継がれる恋愛文学の金字塔「危険な関係」。これまで幾度も映像化されてきた本作が、舞台を1930年代の上海に置き換え映画化。チャン・ツィイー、チャン・ドンゴン、セシリア・チャンといった豪華アジアスター競演で絢爛豪華に蘇った。監督は、『八月のクリスマス』『四月の雪』など韓国の恋愛映画の名手として知られるホ・ジノ監督。映画の公開を前に、ホ・ジノ監督が来日。直撃インタビューに応じてくれました。
『危険な関係』ホ・ジノ監督インタビュー
──本作は中国映画として企画され、世界中から監督を探すなかで抜擢されたそうですね。話が舞い込んだ時はどう思いましたか?
監督:この原作をもとに映画化された作品は数々あるので、最初に提案を受けた時はためらいました。原作の小説を読んでから決めますと返事をしたのですが、実際に小説を読むと、心理描写がよくなされており、非常に面白かった。映画では1930年代の上海を舞台にしていますが、とても華やかな時代であり、退廃的で不安も抱えている時代。それが原作小説と符合する部分があるので、内容的にもぴったりだと思い、自分も一度作ってみたいという欲が生まれました。
──韓国映画でもペ・ヨンジュンさんが主演した『スキャンダル』が、この原作をもとにしています。これまで映画化されたものと差別化はどのように考えましたか?
監督:映像化されたものはあまりにも有名な作品ばかりですし、観たことのある作品もたくさんあります。でも、あくまでも原作となっている小説を中心に添えて、できるだけ小説に忠実に作業を進めました。時代背景と、物語が繰り広げられる空間がかわったので、自然と他の作品とは違ったものになったと思います。
──監督のこれまでの作品は、男女の日常的で自然な愛の形を描いていました。今回の男女は自分を欺き、人の愛も弄ぶような愛の形でしたね。
監督:今回の登場人物はそれぞれ、愛に対する考えが違います。チャン・ドンゴンが演じるイーファンの愛は快楽であり、楽しむもの。ジユ(セシリア・チャン)は愛など信じない。フェンユー(チャン・ツィイー)は本当の愛を知らないでいた。それが、3人が関わって行くにつれ、愛に対する考え方が変わっていく。イーファンもフェンユーも真実の愛を知り、ジユは信じていなかった愛にはまり身を滅ぼしていく。3人が絡み合って感情の変化が生まれていくので、私が今まで描いてきた男女の愛の形も、今回の作品を通して、より豊かな表現になったと思う。心理描写の中心に据えられた大切なものだったと思います。
──チャン・ドンゴンさんは今作で意外にもラブストーリーに初挑戦しました。すごく魅力的で、女性ファンは観たい姿であったと思います。
監督:彼自身、何故かこういう役を演じたことはありませんが、演じてみたいという欲望があったと思います。彼とは、イーファンについてたくさんの話をしました。イーファンをどこまで悪く表現するか、その中でもどういう部分で魅力を見せるか、何故イーファンは愛を快楽の一つとして振る舞うようになったのか、そのヒストリーなどを話しました。セリフは中国語ですが、ただ書いてあるのを読むだけではなく、一所懸命覚えて自分のものにしていたのは本当に驚かされた部分であり、俳優の努力は限りがないものだと思いました。情熱を傾けてくれているのがよく分かりました。
『危険な関係』『危険な関係』
──彼から出たアイデアを採用したシーンはあるのですか?
監督:劇中で、フェンユー(チャン・ツィイー)に告白し、涙をためて出て行くシーンがありますが、その時に涙をすっと拭いてフッと笑う、あそこは実は本人のアイデアです。彼から「笑うのはどうでしょう?」と提案を受けた時、一度、笑わないバージョンを撮った後、彼のバージョンで撮ってみたら、とても良かったので採用しました。劇中のイーファンがさらにイーファンを演じている。演技なのか本心なのか分からない緊張感を上手く与えてくれて、より豊かなものになったと思います。
──監督自身、何度観ても我ながら好きだなと思えるシーンをあげるなら?
監督:メインキャストそれぞれにあります。フェンユー(チャン・ツィイー)は、イーファン(チャン・ドンゴン)と室内庭園にいて、絶妙なタイミングで涙を流すシーン。本当に素晴らしいタイミングで印象的だった。ジユ(セシリア・チャン)は、最後のほうでイーファンの寝言を聞いた時の絶望する顔。イーファンは、ジユの家にフェンユーが来ていると言われて、慌てて鏡の前で髪をなでつけた時の表情。それぞれが素晴らしい表情を見せてくれています。
2014年1月6日
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『危険な関係』
2014年1月10日(金)TOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー