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ブッカー賞作家カズオ・イシグロ氏が10年ぶりに来日、映画『わたしを離さないで』記者会見

わたしを離さないで

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3月26日(土)より公開される、キャリー・マリガン、アンドリュー・ガーフィールド、キーラ・ナイトレイ共演の映画『わたしを離さないで』。本作の公開を前に、原作者のカズオ・イシグロ氏が10年ぶりに来日し、英国大使公邸にて来日記者会見を行った。
ブッカー賞作家カズオ・イシグロ氏が10年ぶりに来日、映画『わたしを離さないで』記者会見

映画『わたしを離さないで』は、イギリス最高の文学賞“ブッカー賞”作家カズオ・イシグロの同名小説に基づき、<特別な存在>としてこの世に生を受け、謎めいた寄宿施設で育てられた3人の若者の青春と、彼らの抱える残酷な運命を描いた美しくも切ないラブ・ストーリー。

10年ぶりの来日となったイシグロ氏は、会見前日に相撲観戦を楽しんだ様子で、「非常にエキサイティングでした。とても近い席で観ていたので、中継の間ずっと私の深刻な顔が映ってしまっていたようです(笑)。白鵬さんと共演して映っていたようで、うれしかったです(笑)」と、横綱との偶然の共演を喜びながら挨拶。

映画の原作については、「若い人たちのことを書きたいと思っていました。この物語で描いている命のはかなさなどは、とても日本的だと思います。物語のメッセージは「皆が思うより、人生は短いということ。その中で最も重要で、やるべきことは何なんだろうか?」ということです」と、執筆に込めた思いを語った。

また、映画化については、「私や私より下の世代は(産まれたときから)テレビがあった環境で、物語を映像で考えてしまうので、映画は私にとって非常に身近なものだと感じています。私は小説を書くときには、どうやったらテレビや映画と違うものが出来るかと常に考えていますので、私の作品は映画化は無理だと言われているのです。ただ、書きあげると常にエージェントに「映画化のオファーはないか?」と聞いてしまいます(笑)。この作品は、アレックス・ガーランド(脚本)に、この作品を書いている話を伝えたところ、脚本を書きたいということで、本が出来る前に脚本化が決まっていました。出来上がった脚本を映画会社に持ち込み、その後、マーク・ロマネクが監督に決まりました。彼とも考えが同じだったので、私は完全に彼らを信用していて、まるで車の後部座席に乗っているような(ゆったり安心した)気持ちでした」と説明した。

完成した作品を観たイシグロ氏は、「期待をはるかに超えた素晴らしいものになっていたと思います。特に主人公の3人の俳優たちは素晴らしかった。みんな20代でとても若いですが、才能溢れるこれからが楽しみな俳優たちです。彼らは撮影前から各キャラクターについて深く考えてくれたので、私も知らなかったことまで彼らが教えてくれました」と、大満足の様子。

特にキャリー・マリガンについては、「あまりセリフが多くなく、顔の表情も変えない中で感情を喚起させるといった演じ方が、高峰秀子さんや原節子さんといった40年代の日本の女優を彷彿とさせるような感じでした。イギリス人の俳優が出ている日本映画のような気がしました」と絶賛していた。
2011年1月25日
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『わたしを離さないで』
2011年3月26日(土)、TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマ にて衝撃のロードショー
公式サイト:http://movies.foxjapan.com/watahana/