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松本人志が『さや侍』に込めた“父親としての想い”と“おっさんのプライド”を語る

さや侍

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6月11日(土)より公開される、松本人志の監督最新作『さや侍』のプレミア上映が東京国際フォーラムで行われ、松本人志監督、主演の野見隆明、板尾創路、りょう、國村隼、柄本時生、熊田聖亜、ROLLY、腹筋善之介ら出演者が勢揃いした。
松本人志が『さや侍』に込めた“父親としての想い”と“おっさんのプライド”を語る

上映終了後の舞台挨拶では、「みんなのともだち、松っちゃんです」と松本の挨拶に続き、野見が、「初めまして!野見隆明です!こんな主役だと思ってなかったので、ドキドキです!」と満面の笑みで挨拶すると、会場は大爆笑の渦に。いよいよ公開も迫る中、現在の心境を聞かれた松本は、「ここに至るまでに色んな事があったので、正直疲れました」と語るも、満席の会場を眺め感無量の表情を浮かべた。

映画は、脱藩の罪で捕われの身となった、鞘(さや)しか持たない侍 “野見勘十郎”が、母をなくし悲しみにくれる若君を笑わせるため、30日かけて芸を披露するという≪30日の業≫に挑む様子が描かれる。

主演が、演技経験のない素人ということも話題だが、野見について松本は、「10年くらい前、野見さんに出会った時に、彼はとっくに解約された携帯電話を胸ポケットに入れていたんです。意味のないものだけど、野見さんにとってはステイタスなんですね。映画では「さや」も待たず、丸腰でもよかったんです。でも何か「さや」だけは捨てられない…という部分にヒントがあった。おっさんが持つ最後のプライドというのかな…」と、本作の着想と野見起用への足がかりとなった出来事を感慨深げに振り返った。

しかし、素人主演の撮影は相当苦労した様子で、「本当に最初は大変でした。「人に追われるような感覚で走ってくれ」と説明すると、いきなり「助けてくれ〜!殺さないでくれ〜」と言って走り出して(笑)。この先どうなるんやろうと…。野見さんは、僕と顔を合わせると緊張感がなくなるので、途中まではスタッフを介して指示しました。「とにかく、目の前にいるおかっぱの子供を笑わせろ」と(笑)。追い込めば追い込むほどテンパる人なので、映画では、切腹が嫌でやってるんですけど、実際は、助監督に怒られるのが怖いから一生懸命笑わそうとしてるんですよ(笑)。ドキュメントですね。でも、後半あたりから、下手な役者じゃ太刀打ち出来ないくらいの顔を時折見せてくれたので、ビックリしました」と称賛した。

映画の撮影とも知らず、台本もなく、松本が監督だとも聞かされず、その都度現場で指示を受けていた野見は、「一日一日、始まった以上は、一生懸命やるしかなかった」と語り、「(撮影終了後に台本をもらって)感激しました」と、意に介していない様子。

撮影現場では、脇を固める役者たちへも「野見を完全無視」という戒厳令が敷かれていたようで、殿様を演じた國村は、「テストの時でも、笑ってしまうと野見さんに「ウケた」と思われるので、面白くても笑えなかった。僕は「笑わない業」をやっていた感じでした」。ROLLYや腹筋も「(現場では)さり気なく逃げていてごめんなさい」と野見に謝罪。柄本は、「野見さんが、脚を血だらけにして奥の方にポツンと座っていたので、声をかけたいなと思っていたら、(熊田)聖亜ちゃんが完全無視していたので…(笑)」。そんな裏話を聞かされた野見は、「みなさんがそこまで徹底していると思わなかった」と、相変わらずニコニコ顔で語り会場を沸かせた。

お気に入りのシーンについては、「大砲」「蛇」「切腹」「最後の河原」など、それぞれ意見が分かれ、松本は、「大砲のシーンで殿様の顔を見る伊武さんの表情がたまらなくいいですね。何度見ても笑ってしまう。あとは、やはり河原のシーンですね。あのシーンのために一年を費やした部分もあった」と語る。さらに、河原での重要なシーンとなる「手紙」については、「野見さんが読むのはあれなので…竹原(和生)君(坊主役)に読んでもらった。7割ぐらい自分で書きましたが、内容は自分の内面が出てますね。(娘が大きくなったら)自分もどうなっているか分からないから、そういう思いもあった。家族ってそういうことなのかな…って思います」と、本作に込めた想いを真摯に語った。

また、8月に行われるロカルノ国際映画祭で、『さや侍』のプレミア上映が決定したほか、『大日本人』のハリウッドリメイクも決まり、国際的な注目も高まっている松本。「世界一の巨大スクリーンに野見さんが映るっていうのもね…(笑)。もし、『さや侍』がハリウッドでリメイクされるなら、野見勘十郎は“ジョニー・デップ十郎”ですよ」。さらに、海外での評価については、「僕が面白いと思うことを、世界を絡めながら出来る状況がやっと整ってきた。嬉しいと思うし、頑張って笑いを届け続けるしかない。でも日本の評価がちょっとまだ低い……」と嘆き、その要因を「映画を壊してやろうというところから始まったので、意外と海外の人からはすんなり受け入れられ、でも僕のことを知りすぎている人へは、「ヘタウマ」が通じてないというか「ヘタヘタ」と思われている(笑)」と分析。「でも、今回の『さや侍』で見方を変えてもらえると思う」と、自信のほどを語った。
2011年6月7日
『さや侍』
2011年年6月11日(土) 全国公開
公式サイト:http://sayazamurai.com/