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東ちづるが『光のほうへ』トークショーに出席。自身の経験に重ねて「家族」を語る

光のほうへ

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2011年デンマーク・アカデミー賞で、助演男優賞をはじめとする5部門を獲得した、トマス・ヴィンターベア監督最新作『光のほうへ』。現在、シネスイッチ銀座にて公開されている本作のトークショーが行われ、女優の東ちづると臨床心理士の信田さよ子が登壇した。
東ちづるが『光のほうへ』トークショーに出席。自身の経験に重ねて「家族」を語る

映画『光のほうへ』は、『DEAR WENDY ディア・ウェンディ』などで知られる、デンマークの監督トマス・ヴィンターベアがメガホンをとり、親の愛情を知らず、心に傷を負ったまま大人になった兄弟が母親の死をきっかけに再会し、ふたたび気持ちを通わせようとするさまを描いた人間ドラマ。

トークショーでは、アルコール依存症の父を持ち、自身がアダルトチルドレン(家族として機能不全な環境で育ち成長した大人)であると公言した東ちづると、臨床心理士の信田さよ子をゲストに迎え、「負の社会遺産、そこから光をみつけて」と題し、映画のテーマと家族の問題について語られた。

アルコールをはじめとする依存症のカウンセリングに関わる信田は、「まず、この映画がデンマークで賞をたくさん取っていることが、素晴らしいことだと思います。確かに暗い映画ですが、日々のカウンセリングで、このような問題を抱えた人にたくさん出会います。映画の登場人物たちの親はアルコール依存症ですが、そのような環境が、アダルトチルドレンを引き起こす要因であると考えられています」。そして、アルコール依存症の父親を、「“お酒の好きなお父さん”という認識だった」と語る東に、信田は、「(子供は)自分の置かれている環境を、その時はなかなか気付けなくて、大人になって初めて「ああ、自分は他と違うんだ」と気付くことが多い。この主人公の兄弟たちもきっとそうだと思います」と語った。

東は本作について「観ている最中、あがくような自分の過去を思い出すような、辛いシーンもあり、観終わった後にとても考えさせられ、想像させられる映画でした」。また、全国の刑務所をまわり、受刑者にロングインタビューを行った経験をふまえ、「犯罪者、加害者は家庭の中の被害者である方が多いんです。虐待を受けたとか、親が依存症だったなど、家族のトラブルを抱えています。擁護するわけではないのですが、これが現実にあること。映画の中では、ふとしたきっかけで立ち直り前に進もうとする。偶然が必然的と重なり、とても上手な脚本だと思いました」と感想を述べた。

また、「日本でも共依存やアルコール依存症など多くあるので、映画の題材になると思うのですが、日本で作ると”絆”や”支え合い”とか、美しすぎるものになりそうですね」と東が語ると、信田は、「いまは特にそうでしょうね。東日本大震災のような国難が起きた時、”家族”というものは批判してはいけない対象になってしまいますが、このような時期に”家族”のリアルな部分をきちんと描き、一筋の光が見えるようなこの映画が公開されたことは、非常に意義のあることだと思います。私たちは家族に幻想を持たない方がいいですが、希望はゼロではないのです。非常にシビアな現実を見つめるために、とても良い映画だと思います」

さらに東は、「家族は理解し合うのが当然だと思い込んでいますが、親子であっても夫婦であっても、わからないものだと思います。不安定な団体ですが、それでも、わかり合おうとしている…それが家族だと思います」と語った。
2011年6月13日
『光のほうへ』
2011年6月4日(土)より、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
公式サイト:http://www.bitters.co.jp/hikari/