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映画『サマーウォーズ』に見る、ネットとアニメのコミュニティ論:細田守監督トークショーレポート

サマーウォーズ

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ふとした事から片田舎の大家族に仲間入りした少年が、突如世界を襲った危機に対して戦いを挑む物語─。大ヒット公開中『サマーウォーズ』の細田守監督を招き、8月2日、Apple Store銀座で、「映画『サマーウォーズ』に見る、ネットとアニメのコミュニティ論」が開催された。
画像:『サマーウォーズ』トークショーレポート

ゲストには細田監督のほか、日本技芸のリサーチャー濱野智史氏、博報堂のクリエイティブ・ディレクター兼アート・ディレクター鈴木克彦氏、そしてモデレーターに、博報堂のクリエィティブ・ディレクター須田和博氏が登壇。

このイベントは、Web広告制作者向けに毎月開催している「月刊インタラ塾」の企画として行われ、イベントの模様がストリーミング配信されたほか、会場のスクリーンには、「Twitter」経由で投稿された意見や質問がリアルタイムに映し出され、『サマーウォーズ』の世界観ならではのイベントとなった。
その中から、『サマーウォーズ』を楽しむためのポイントをいくつかピックアップしてお届けしよう。

■仮想世界「OZ(オズ)」のインターフェイス デザインコンセプト

──ビル群から引いていくと中心があり、全体は観覧車に見えます。人が乗りたいと思うイメージと、機能が両立されて描かれていました。
画像:『サマーウォーズ』細田:10億人が使っているというリアリティを出すのはどうすればよいか考えました。言葉よりも雰囲気で伝えたかったんです。白い球体空間をインターネット世界としたのは、元々映画で描かれるハイテクのイメージは常に黒バックなので、子供にインターネットの世界を伝えるのに、そういうおどろおどろしくて危険な世界のイメージではなく、子供たちや女性が入っていきやすい、楽しい雰囲気を出したかった。デザインは、『ALWAYS 三丁目の夕日』の美術監督・上条氏によるものです。
(OZの世界観が垣間見れる予告編はこちらから


■細田監督の映画の特徴

鈴木:ヴァーチャルとリアルで全然世界が違うのに、リアルが非常にシンボリックに描かれるから、ヴァーチャルとつながっても不自然さを感じない。(細田監督は)ヴァーチャルを描くときにリアルさを追求してますよね。
細田:ワールドクロックのデザインとか、OZの世界の中にある色々な広告のデザインを鈴木さんにお願いしました。
鈴木:10億人が集まるサイトならちゃんとデザインされているだろう、ということでしたね。


■人物芝居

画像:『サマーウォーズ』須田:(監督の前作)『時をかける少女』で、登場人物があまりに自然にしゃべっていることに驚きました。どうやって自然な芝居を引き出すのか、以前のインタビューの際は「台詞だ!」とおっしゃっていましたが、今回は?
細田:オーディション時の要素ですね。自分の中に描いているイメージと一番近い人物を探し、この子だ、と決めたらそれ以上は何もしない。アフレコの時に作ったりされると、折角同じ人物を選んだのに、違ってくるんです。作らないことで醸し出すリアルさが欲しかった。
鈴木:細田監督は主人公が「おバカ」なところを残しますね。「おバカ」な感じは作られた演技では出てこない。愛せる感じの自然さがすごいと思う。
細田:ダメなとこが可愛いというのを芝居でやるのは相当難しいから、そういう素材を見つけるしかない。19歳の仲さんを38歳のおばさん役に起用したのは、今の30代って「いかにもおばさん」な感じじゃなくて、もっと若いんですよね。


■質疑応答

──今回の映画は「何の物語」なんですか?
画像:『サマーウォーズ』細田:デジタルなコミュニケーションと家族のコミュニケーションがあり、どっちが本物とかネットが仮そめで家族が本物とか、家族や親戚関係は面倒でネットの方が便利とか、そういう決めつけはしない。両方に意味合いを持たせよう、と思いました。ネットを悪者にせず、ネットも家族も、どっちも同じ意味合いがあって大事と言うことを描きたかった。
──どうやったら物語は作れますか?
細田:普遍ってことかな。多様な価値観は認めても、普遍はベースにあるんじゃないか、普遍なストーリーを探すことが重要なんじゃないかと思う。


画像:『サマーウォーズ』──今回はアサガオをメタファーとして捉えました。これから見る観客には、どこに注目して観てほしいですか?
細田:やはりアサガオですね。蔓のひとつひとつにこだわりました。アニメの場合、全ては意味があるからこそ描いているんです。意味なく描いているものはないんです。だから自然と、メタファーが多くなっています。これから見る人はアサガオに注目してみてください。


8月1日より、全国127館で公開され、劇場出口調査において、満足度は驚異の96パーセントを記録した本作。日本に続いて韓国でも大規模公開されるほか、スイスで開催される、ロカルノ国際映画祭では、日本のアニメ映画としては初めて、一般コンペティション部門に選出され、今後、更なる世界的な評価も期待されている。

サマーウォーズ』新宿バルト9、池袋HUMAXシネマズ、梅田ブルク7他全国にて公開中!
2009年8月6日
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『サマーウォーズ』
8月1日(土)新宿バルト9、池袋HUMAXシネマズ、梅田ブルク7他全国ロードショー
公式サイト:http://s-wars.jp/