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二階堂ふみ、NYで“ライジング・スター賞”授賞式に出席、流暢な英語でスピーチ

私の男

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熊切和嘉監督、浅野忠信・二階堂ふみ主演、『私の男』が7月9日に第13回ニューヨーク・アジア映画祭で北米プレミアを迎え、同映画祭においてライジング・スター賞を受賞した二階堂ふみが授賞式に登壇した。
二階堂ふみ、NYで“ライジング・スター賞”授賞式に出席、流暢な英語でスピーチ

日本では6月14日より公開されている映画『私の男』は、第138回直木賞を受賞し、刺激的なテーマと極限的な舞台設定から、映像化不可能と言われた桜庭一樹による50万部超のベストセラー小説を映画化。10歳で孤児となった少女と、彼女を引き取った遠縁にあたる青年の、理屈を超えた禁断の愛を描いたラブストーリー。

二階堂は、ライジング・スター賞授与者であるスクリーン・インターナショナルのマーク・アダムス氏とともに授賞式に登壇。200名を超える観客に大きな歓声と拍手で迎えられ、トロフィー授与の後、にこやかに流暢な英語で受賞の喜びのコメントを述べた。

二階堂ふみ、NYで“ライジング・スター賞”授賞式に出席、流暢な英語でスピーチ

二階堂ふみ コメント ※すべて英語でコメント


皆さんこんにちは、日本から来た二階堂ふみです。このような賞を頂けて光栄です。NYは私にとって特別な街です。少し前に2か月程滞在していましたし、私の好きな俳優であるスティーブ・ブシェミやエイドリアン・ブロディの故郷で、偉大な映画監督ジョン・カサヴェテスもここNYで多くの作品を撮っているからです。本作『私の男』との出会いは運命的なものでした。熊切監督と初めて会ったとき、何か特別なものと恋に落ちた気持ちになりました。それ以来、ずっと監督と魂のこもった作品をつくりたいと思っていました。この年齢だからこそ撮れるものだった、という意味でも非常に私にとって重要な作品になっています。タブーを破っている点においてもとても印象的な作品だと思います。熊切監督、浅野さん、他の出演者・スタッフの皆さん、家族、ファンの皆さんに感謝します。

上映後Q&A


(MC:サミュエル・ジャミエ氏/(NYアジア映画祭 共同ディレクター)
──本作は二階堂さんと浅野忠信さんが演じる登場人物の関係性を中心に展開していますが、浅野さんとのお仕事はいかがでしたか。
二階堂:浅野さんはとてもプロフェッショナルで、彼の現場での存在感といいますか、在り方というのはものすごく私に影響を与えたと思います。そして、やっぱりこの二人の役どころって、関係性というのはカメラが回っているときだけではなくて、現場でふたりが生きている時間だから、作り出される空気感があると思いますので、浅野さんは私に対してずっと緊張感をもって接してくださいましたし、そのおかげで私も浅野さんに寄り添うことができたのではないかと思います。
──熊切監督とのお仕事はいかがでしたか。監督の映画製作のスタイルを教えてください。又、本作は本当に役者重視の作品だと思いますが、セットでの雰囲気はどのようなものだったのでしょうか。
二階堂:今日、何本かここの媒体の取材を受けたんですけど、皆明日上映する園さんの『地獄でなぜ悪い』と去年公開した三池崇史監督の『悪の教典』があって、ここではこの二人がすごく人気があると伺ったのですが、その二人と同じくらい強烈なものを持った監督で、熊切監督はニューヨークでものすごく人気が出るんじゃないかな、と私は今日話を聞いていて思ったんですけど、でもやっぱり熊切監督は私が今までご一緒させていただいた監督の中で最も言葉のいらない関係であったと思いますし、最も深いところで繋がっていた監督だな、と思います。やっぱり現場でも映画作りのプロとしてそこにいますし、世界に対してすごく挑戦的であって、その姿は、私はとてもかっこいいな、と思っていて、ずっと一緒に映画を作りたいと思っていた人だったので、本当に今回ご一緒できてよかったと思います。
──二階堂さんは他にも園子温監督の「ヒミズ」という、同じく東日本大震災に影響を受けた作品に出演されていますが、この2作品と両監督のスタイルの違いについてどう思われるかお聞かせください。
二階堂:すごい難しい質問で。
やっぱり監督によって演出方法は違いますし、園さんと熊切監督を比べることはできないですが、やっぱり二人とも映画作りにものすごい情熱を持っていて、すごくワールドワイドに見ています、映画のことを。とても映画のことを愛していて、そういう共通点はあるのかな、と思いますけど、今日やった『私の男』も3年前の『ヒミズ』も題材は震災を扱ったものではない、と私は思っていて、今回の『私の男』というのはあくまで親子の話だと思っていますし、『ヒミズ』は若い少年と少女の青春の話だと思っているので、ただ、やっぱりそこに3.11以降、震災というものが起きてから、それを無視して…というかシャットアウトして映画作りを続けるのは違うのかな、と思っていて、今現在日本では毎日のように震災以降のいろんな問題について取り上げられていますし、それはもう、すごく風化させてはいけないことだと思うんですけど、日常問題の一つとなっていますので、それは映画の中にあってもおかしくないことなのかな、と思いますね。
──何が花と淳悟の関係性に変化を与えたのでしょうか。なぜ娘として育てておきながらあのような方向に進んでいったのでしょう。
二階堂:また難しい問題が(笑)。
海外に来ると本当に面白くて。日本にいると聞かれないような質問が多いので、私はすごい好きなんですけど。あの二人の関係っていうのは、言葉では言い表せない関係だと思いますね。人間っていうのは文明によって発達してきたと思うんですけど、文明上において人間ていうのは色んな約束事を作っていって、その中でいうと、この二人の関係っていうのは一般的にすごくタブー化されがちなものはあると思うんですけど、でも私はあの二人の関係は“アリ”とか“ナシ”とかそういうことではなく、深いところにある愛といいますか―全部文明上の約束とかを、全部取っ払った時にふたりの世界といいますか―そういうものを見せていったのかな、と思うので、きっとこの映画を観て色んなことを思う方がいらっしゃるのかな、と思うんですけど、ふたりにとってそういう概念はないのかな、と思っていましたね。
──若い女優さんに聞きづらい質問ではありますが、二人の性的な関係を表現するシーンの撮影は難しかったですか。
二階堂:Not difficult.(難しくなかった)。あれはもう、感じたままにやっていたシーンだと思いますし、あのシーン失くしてこの映画はできなかったと思いますし、とても重要なシーンだったと思いますし。でも、あの撮影のとき日の雨が降ってくるときっていうのは、オープンセットだったわけですけど、外温はマイナス10度とかなんですね。その中で部屋の壁をくりぬいて、外からカメラで撮影して、上から冷たい赤い血っていう設定の水が降ってくるわけですよね。だから、雰囲気を大事にしながらも、とにかく寒さと死なないように必死でしたね。
──観客の皆さんからの質問に移る前に、少し一般的な質問をさせてください。日本・海外問わず、今後一緒にお仕事をされたい監督はいらっしゃいますか。また、なぜその方なのでしょうか。
二階堂:アミール・ナデリ
──彼とは面識があるんですか?
二階堂:私の愛しの人ですね。3年ずっとラブコール送ってるんですけど、なかなか返事がもらえない。もっと英語が必要なそうです。だから、頑張ります。
──ナデリの好きな作品は何ですか?
二階堂:初めて観た作品は『CUT』っていう日本で撮られた映画なんですけど、私は『駆ける少年』が一番好きですね。彼自身の、多分幼少期の話なのかな、と思ったりするんですけど、彼はものすごくハングリー精神を持っていて、ものすごく力強くて、いつも会うとものすごいインスピレーションを受けるんですけど、本当に素晴らしい方だな、と思います。
──この監督と仕事しよう、とどうやって決めるのですか?
二階堂:オファーをいただいたときであったり、オーディションに受けに行ったりするのは、たいてい、やっぱり、もちろん監督であったり、脚本であったり、ほかのキャストであったり、物語の内容であったり、すごい色んなものが重要なんですけど、やっぱり一番、映画っていうのは一人で作るものじゃないですし、ディレクターだけでできるものではないし、色んな各部、監督がいて、撮影部がいて、照明部がいて、録音部がいて、メイク部がいて、衣裳部がいて、俳優部がいて…その中の、私の作品に関わりたいかっていうことが一番重要で、現場に行くことが私にとっては一番大事―その現場に行きたいか、っていう気持ちを大事にしてますね。その中で、もちろん監督によって決めることもありますし、明日上映する園監督の映画(*『地獄でなぜ悪い』)は、私、本も読まずに―夜、監督から急に電話がかかってきてオファーされて「オッケー」ってそのまま答えちゃって。そういう信頼関係で決めることもありますし、でも、たいていやっぱり好きだな、と思った監督は、私のことも好きになってくれるので。
──本作は非常に複雑な作品だと思いますが、二階堂さんは観客がこの作品から何を感じ、何を学ぶと思いましたか?
二階堂:そうですね。でも、私は映画から何かを学んだり、伝えたりって、まず、そういう何かを伝えたりであったり、何かを言いたいとか、そういうことを趣旨にした映画ももちろんあるんですけど、この映画はそういう映画ではないのかな、というか―もちろんそれを観た人は分かれますよね、すごい挑戦的な映画ですから。でも、やっぱり私たちはものづくりのクリエイターであって、つまらないものを世の中に出したくないですし、映画のレジェンドを作りたいわけですよね。みんなで本気度の高いものを作りたいので、私はそれを持ってる現場にいましたし、現場でそういう本気度の高いものを作っていて、でも、それは完成するまでわからなくて…やっぱり完成したのを観た時に、ものすごい映画ができたという感想を持ちました。だけど、あとから取材とか、いろいろ映画を観た後にこの題材について海外の方はどう思うんだろう、って思いましたし、あと、やっぱり、モスクワ映画祭に―私は出席できなかったんですけれども―すごいブーイングもあったみたいで、そういう別れる意見の映画ではあると思うんですけど、私は映画としてものすごい力強い、魂のこもった映画だと思っているので、すごいいい作品だと思います。
──血の雨のシーンは実際に冷水を使って撮影したのですか?また、ラストシーンでは花が淳悟の足を実際に触っているのですか?
二階堂:流氷には本当に入りました。もちろん、中にそのまま入ってしまうと、人は死んでしまうので、セミ・ドライスーツっていう、長時間でなければ耐えられるようなものを着て、流氷の上でお芝居をしていたんですけど、流氷の中にはもちろん入りましたし、初めて寒さで人は死ぬんだな、ということを実感したシーンでした。
でも、そのシーンに関してはリアルだからこそできる空気感といいますか…セットで、発泡スチロールとお湯とかでは絶対作れないような、足のもたつきであったり、息切れであったり、息の白さっていうのは、リアルだからこそ出る緊張感だと思うので、これから危険な現場とかいっぱいあると思うんですけど、死なない程度だったらどんなことでもやりたいな、と思いますね。2番目の質問については、ご想像にお任せします。

2014年7月14日
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『私の男』
2014年6月14日(土)新宿ピカデリーほか全国ロードショー