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『幻肢』主演・吉木遼インタビュー:第一線で戦える力を身につけたい

幻肢

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日本を代表するミステリー作家の一人、島田荘司の初映画化作品にして、映画のために書き下ろした小説をもとにしたラブ・ミステリー『幻肢』(9/27公開)。「喪失のショックが自我の崩壊に向かうのを防ぐ為、脳が防衛機能を発揮し幻をみせて精神の安定をはかろうとする現象」=“幻肢”をテーマに、事故で記憶を失った青年が特殊な治療法によって記憶を取り戻していくさまを、サスペンスフルに描いていく。本作の公開を前に、主演を務めた吉木遼にインタビュー。初の主演作となった本作の現場を振り返っていただきました。
『幻肢』主演・吉木遼インタビュー:第一線で戦える力を身につけたい
──これまで舞台をやられていて、今回は主演で長編映画デビューとなりました。最初にお話があったときの心境は?
吉木遼(以下、吉木):もちろん最初は手放しで嬉しいんですが、共演者やスタッフが決まっていくにつれて、どんどんプレッシャーになっていきました(笑)。自分は舞台しかやってきていなくて、他に何の実績もないと思っているので、プレッシャーは大きかったですね。
──医大生の役柄で専門的な用語もたくさんあり、記憶を失い鬱状態になってしまう役柄ですね。役作りで難しかった点は?舞台の役作りとはまた違いましたか?
吉木:役作りという意味では、舞台も映画も一緒だとは思います。専門用語は、すぐには理解できなかったけど、単語に慣れて何を言ってるかわかると、だんだん面白くなってきました。

今回は、やはり鬱の役柄を演じるにあたって、感情表現が難しかったですね。周囲の話を聞いて、どんなことで怒るのか、何に反応するのか参考にした部分はありますが、聞くだけでは分からない部分が多いので、演じるうえではやはり藤井監督のイメージをもとに相談して補っていきました。抑える演技も新鮮で、勉強になりました。
──藤井監督の現場はいかがでしたか?
吉木:普段は穏やかで本当に優しい方ですが、現場ではとても厳しかったです。自分がまだまだ意識が足りなかったこともあって、「俺たちは命を賭けて映画を作ってる」と仰って、すごく熱い方でした。役についてたくさん話し合って、とにかく良いものを撮ろうと粘ってくれて、難しかったけど刺激になりました。
──恋人役の谷村美月さんとの共演は?
吉木:お互いに人見知りなので、最初は全然喋らなかったんですが、話してどんどん仲良くなっていくうちに、面白い人だなって思いました。演技はすごく参考になって、たとえばケンカのシーンでも、自分のイメージするケンカは熱くなって言い争うものだったけど、谷村さんは、そこに自然で落ち着いたケンカのテイストを持ってきてくれて、素直に乗ることができました。感情表現などもすごく参考になりました。
──舞台って、その場で演じてその場で反応があるわけですが、映画は撮り終わってから公開までが長いですよね。待っている感覚はいかがですか?
吉木:新鮮ですね。出来あがった映像を観るというのは映画ならではなので。初めて観たのは、撮影が終わって3ヶ月後ぐらいだったんですが、1回目は緊張で何が何だかわからず、自分が映ってないところばかり観ていました(笑)。2回目で全体が把握できて、3回目でようやく冷静に観れて、自分の演技の課題が見つかりました。
──演技の世界に入ったのは、どういうきっかけがあったのですか?
吉木:大学2〜3年の頃にエキストラをやったことがあって、そこで役者を目指している人に出会って、勧められたのが、藤原竜也さんの舞台「ハムレット」だったんです。それを見て「演技って凄いな、自分もやりたい」って思いました。そのあと、蜷川幸雄さんのもとで助手をしていた方が主催する「俳優私塾」で本格的に演技を習いました。
──最初に舞台俳優を目指していたんですね。
吉木:舞台を観て面白いと思ったので、最初から舞台をやろうと思ってました。
──では俳優として目指したい存在は、藤原竜也さんですか?
吉木:藤原さんを目指してはいるんですけど、彼はもう唯一無二の存在なので(笑)。最近は、俳優として誰かを目指すというよりも、まずは自分が勝負できる部分を探したいと思ってます。色んな役が出来て通用するのが一番良いんですが、まだ全然そんなレベルではないので、まずは自分が自分らしく輝ける演技、戦える部分をひとつ掴みたいです。これは『幻肢』を撮り終えて強く感じたことですね。

今回は主役ですけど、全然自分だけの力じゃなくて、藤井監督はじめ第一線で戦っている方たちの手助けがあって戦うことができたんです。自分ひとりの力で戦えないのはやはり悔しいので、まずは自分が得意な部分を探して伸ばしていきたい。第一線で戦える俳優になりたいです。
──この経験は得るものが多かったのですね。共演者の方々からはどんな刺激を受けましたか?
吉木:演技ももちろんですが、現場での振る舞い、佇まい、余裕ですね。自分には全然余裕がなかったので(笑)。佐野史郎さん、宮川一朗太さん、遠藤雄弥さん、谷村美月さん、みなさんが余裕を持って現場にいらして、すごく衝撃的で勉強になりました。
──今回の現場は、俳優として目指すところまでのステップのうち、何段階目ぐらいに来た実感がありましたか?
吉木:むしろ振り出しに戻った感じでしたね(笑)。『幻肢』の前まで積み重ねてきたものは、それはそれで大切なんですが、一度ゼロに戻して見つめ直して、そこからまた積み上げていこうと思いました。いらないものは排除して組み直したいですね。それに気づいたのは、階段を上っているって事だと思いたいです。
──ちなみに最近観た映画で、気になった俳優さんや、挑戦してみたいキャラクターはありましたか?
吉木:最近観たものでは、『地獄でなぜ悪い』の長谷川博己さんです。映画自体も衝撃的で面白かったし、感情を爆発させて喋っているキャラクターが好きなので、長谷川さんが格好良かったですね。やってみたい役柄といえば“感情爆発系”ですが、ジャンルとしてはコメディをやったことがないので、コメディも挑戦してみたいです。
──最後にメッセージをお願いします。
吉木:普通のラブストーリーだけではなく、脳科学とか精神科学、最新の医療治療だったり、そういうのも織り交ぜて描いています。どんでん返しもあって、最後までドキドキしながら観られる作品だと思います。音楽と映像もすごく綺麗なので、そこも注目して観てほしいです。
2014年9月24日
『幻肢』
2014年9月27日(土)より K’s シネマほか全国順次ロードショー!